砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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64 巻, 1 号
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  • 千葉 翔悟, 久住 孝幸, 赤上 陽一, 野老山 貴行, 村岡 幹夫
    2020 年64 巻1 号 p. 32-38
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    電子デバイス向け単結晶基板の形状創成工程として,軟質金属製定盤とダイヤモンド砥粒を用いたラップ技術が広く用いられている.一方,このラップ工程で形成される加工変質層深さは,プロセス全体の加工時間およびコストの増加に影響を与えている.本研究は,第一に従来の金属製定盤をポリウレタン樹脂製のパッド(樹脂パッド)に代替し,加工変質層の低減を図る.更に砥粒の配置制御技術である電界砥粒制御技術を導入することで研磨効率の向上を実現する.これらより,低加工ダメ-ジと高効率を両立する新たな機械研磨技術について提案する.サファイアをワ-クとした基礎研磨実験により,樹脂パッドを用いた加工では従来のラップ技術と比して,形成される加工変質層深さを0.16倍程度に低減可能であることを明らかにした.また,電界砥粒制御技術を前述の加工法に導入することで,定盤径φ910㎜の大型装置において,その加工品位は維持し,加工レ-トは従来ラップ技術と比して1.50倍となることを得たので報告する.

  • —重力落下式粉末供給手法による壁構造の評価—
    前花 英一, 臼沢 太一, 石橋 信治, 嶋田 慶太, 水谷 正義, 厨川 常元
    2020 年64 巻1 号 p. 39-46
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,レ-ザを用いた金属3Dプリンタ技術を基盤とした,機能を有する多孔質構造をバルク材表面に付与する,微細ラティスコ-ティング技術の開発を目的とする.本報では新たな粉末供給手法である重力落下式供給法を提案し,これを用いて微細ラティス構造の土台となる壁構造の造形を行うことで,その積層過程における最上層の表面プロファイルについて考察した.その結果,積層過程の堆積状態によって堆積層が一定値を超えるとレ-ザ走査による造形体表面が平滑となることを明らかにした.また本供給手法で造形した壁構造は,直立状態で0.4 mmの高さまで造形することが可能となり,重力落下式供給手法を用いたレ-ザ走査による造形の有効性を示した.

  • 藤本 正和, 梅田 拓望, 大石 進
    2020 年64 巻1 号 p. 47-51
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,クリ-プフィ-ド研削における加工機構を,研削抵抗からみることによって解明するものである.本報では,とくに砥粒切れ刃1つに作用する研削抵抗を測定し,考察を試みた.そのために,圧電型3成分力変換器を中心とした高応答の小型動力計と,接触弧長さ以上の切れ刃間隔となるように成形した砥石を用いた単粒研削試験を行った.はじめに,アップカットとダウンカットの研削機構の相違について検討し,アップカットでは砥粒切込み深さの小さい領域において二分力比が大きいことから,上すべりや掘り起こしが発生しやすいことを実験的に確かめた.また,砥粒切れ刃形状を変化させたときの,単粒研削試験を行った.破砕による凹凸のみで形成された砥粒切れ刃だけでなく,平坦面と破砕による凹凸が混在した切れ刃形状でも,ダウンカットであれば上すべりや掘り起こしが発生しにくいことが二分力比から確かめられ,クリ-プフィ-ド研削条件の設定に関する新たな指標を示した.

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