砥粒加工学会誌
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53 巻, 6 号
JUN.
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論文
  • 上原 嘉宏, 山形 豊, 森田 晋也, 成瀬 哲也, 片平 和俊, 大森 整, 林 偉民, 三石 憲英
    2009 年 53 巻 6 号 p. 356-361
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    複雑形状や微小サイズの加工物では,表面性状のコントロールに用いられるELID研削加工システムが,電極の設置において被削材との干渉問題から適用できない場合がある.そこで,ELID研削加工システムと同様な砥石のドレッシング効果を得ることを目的として,電極をノズル先端部に設置し,電解した研削液を砥石に噴射するイオンショットドレッシング研削システムを開発した.本報では,ドレッシング条件や研削液濃度と生成される被膜厚さとの関係などから,ドレッシングのメカニズムについての調査を行い,その効果について実験を行った.その結果,イオンショットドレッシング研削システムにおける不導体被膜生成では,塩素イオンの存在の寄与が大きいことが判明した.また,加工実験からは,ELID研削加工システムと同様の効果が得られることを確認した.
  • 第1報:その基本特性と切削用バイトの尖端加工
    足立 達哉, 皆藤 孝
    2009 年 53 巻 6 号 p. 362-367
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam:FIB)による天然ダイヤモンド加工と,その加工面の鏡面仕上げを目的に基本特性を測定し,最適条件を求めた.(100) (110) (111) の結晶方位を,Ga+ ,30KeV,1.6nA~17nAのビームにより,法線よりの入射角度(θ)を0°~88°まで変化させ,加工レート(Yield:η)を測定した.結晶方位によるηの差は認められず,θ=0°ではη≅0.08μm3/nCであった.ηはθを大きくするにつれ徐々に大きくなり87°付近で最大となり,0°の6倍程度である.しかし加工面がθ≅45°~86°程度の範囲では,縞状の凹凸ができ,平滑な加工面ではなく荒れた面となった.加工面が平滑となるのはθ=0°~40°および,ηが最大値になる87°を超えた値のときであった.この条件では仕上げ加工ができる.またH2Oガスアシストによる増速エッチング(GAE) の実験を電流量230pAで行なった.その結果,約4倍の増速効果が得られ加工面の縞状の凹凸も少なかった.実用加工速度はガスアシスト無しで,0.14~1.1μm3/s (1.6~17nA)である.
  • 第2報:ビーム径の測定およびAFM方式加工機用加工針の試作とその評価
    足立 達哉, 皆藤 孝, 高岡 修, 中上 卓哉
    2009 年 53 巻 6 号 p. 368-372
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam : FIB)による天然ダイヤモンドを精度良く加工できる方法を開発している.本報告では,3次元加工の端部の急峻性の限界を決めるビーム径の実測値を測定し計算値と比較した.応用技術開発としてAFM(Atomic Force Microscope)方式の加工機に用いられる加工針を,ダイヤモンド砥粒から適当なサイズの粒を選択し予備加工を行い,カンチレバー(Siの板ばね)の先端に移植し,ダイヤモンドを探針にもつカンチレバー(DCL)を試作した.このDCLにより最先端のフォトマスクの欠陥部(Cr残り)を修正し,実用に供する良好な結果が得られた.本方式では,機械研磨では困難な先端形状,たとえば先端角20°の針や,オーバハングした形状などの加工針が作成できる.また軽量化により共振周波数(fc )の高い応答性の良い針が作成できる.
  • 宋 哲源, 青山 英樹
    2009 年 53 巻 6 号 p. 373-378
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    ボールエンドミルによる曲面加工においては,加工面の傾きによって被削材と接する切れ刃の位置が変化するとともに,切れ刃位置によって切削条件が大きく異なるため,切れ刃の各位置の摩耗を予測することは極めて困難である.本研究では,摩耗基礎実験に基づいて,ボールエンドミル切れ刃の各位置の摩耗予測式を導出し,ボールエンドミル切れ刃の各位置の切削条件と切削距離を認識するシステムを基に,切れ刃の摩耗分布を予測するシステムを開発するとともに,基礎実験によりシステムの有用性を検証している.
  • 田中 隆太郎, 鬼頭 昴志, 細川 晃, 上田 隆司, 古本 達明
    2009 年 53 巻 6 号 p. 379-384
    発行日: 2009/12/10
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,炭素鋼の正面フライス加工において,加工能率を維持したままバリの抑制を図る手法として,レーザを用いた被削材の部分的な改質による方法について提案した.実験では炭酸ガスレーザを用いて選択的に熱処理を行った炭素鋼JIS S45Cの正面フライス加工において,切削後の被削材端部の形状についてバリの高さの測定と断面の組織観察を行い,被削材へのレーザ熱処理によるバリの抑制効果について検討を行った.切削後における被削材の端部の形状はレーザ照射条件に依存し,表層にマルテンサイト組織が生成されていると微小なコバ欠けが生じる.またマルテンサイト組織が生成されていなくても,レーザ熱処理により硬度が母材よりも高くなっていると発生するバリの高さが小さくなる.最終切取り予定線へレーザ熱処理を行えば, それ以前の切削でバリが発生していても最終切削においてバリの発生を抑制することができる.仕上げ面粗さは,レーザ熱処理の影響をほとんど受けない.
速報
  • 小森 圭悟, 森田 昇, 高野 登, 山田 茂, 大山 達雄
    2009 年 53 巻 6 号 p. 385-387
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/10/12
    ジャーナル フリー
     本研究では,AFM機構に加工用カンチレバーを用い,LSI多重層の薄層除去特性について検討を行った.剛性の異なる加工用カンチレバーを用いて,LSI表面から除去加工を行い,加工条件を変化させた時の除去深さ,ダイヤモンド切れ刃の摩耗,加工面形状の観察を行った.その結果.低剛性の加工用カンチレバーでは,切れ刃の摩耗が生じるとともに,目的とする深さや良好な表面性状を得ることができなかった.一方,高剛性の加工用カンチレバーを使用すると,工具摩耗は大きいが,最大で3.0μm以上の加工深さを得ることができた.また,負荷荷重を適度に調節することで各配線層を表出し,観察することが可能となった.
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