砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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53 巻, 2 号
FEB.
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  • —工具すくい面および逃げ面に供給されるオイルミストの作用機構—
    小澤 匡史, 細川 晃, 田中 隆太郎, 古本 達明, 上田 隆司
    2009 年53 巻2 号 p. 88-93
    発行日: 2009/02/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,クロム-モリブデン鋼とパーライト可鍛鋳鉄を対象として,ミストホール付きMQL専用バイトを用いたMQL旋削加工を行っている.MQL専用バイトはシャンク内にインサート近傍まで2つのオイル穴を有しており,オイルミストをすくい面および逃げ面の両方にピンポイントで供給することができる.クロム-モリブデン鋼においては工具すくい面にオイルミストを供給することで,100m/min以下の低切削速度域で切削抵抗が大きく減少する.一方,工具逃げ面側からのオイルミストの供給は,30m/min~300m/minの広範囲の切削速度域で仕上げ面粗さの改善に寄与する.工具逃げ面温度については,乾式に比べ逃げ面ノズルからのオイルミスト供給でおよそ70℃,すくい面ノズルからの供給でおよそ30℃低下し,同時に供給することで両者の冷却効果を加算した100℃程度温度冷却される.
  • 第2報:ポリシャ平坦度の加工精度への影響とポリシャ劣化の抑制
    吉冨 健一郎, 宇根 篤暢, 餅田 正秋
    2009 年53 巻2 号 p. 94-98
    発行日: 2009/02/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    半導体デバイスの高集積化に伴い,直径300mmのシリコンウエハ表面に要求される平坦度はますます厳しくなっている.大口径ウエハの平坦化技術として,高精度な修正研磨が可能な揺動速度制御型の枚葉式CMP装置が開発されているが,小径ポリシャを使用するこの研磨方式ではポリシャ平坦度や表面状態などのポリシャコンディションがシミュレーションと加工形状との一致に大きく影響する.本報では,ポリシャ平坦度の加工精度への影響とポリシャ劣化の進行を抑制する方法について検討した.揺動速度制御型研磨装置による等速揺動研磨実験より,ポリシャ平坦度が5μm以下で理論と実験はよく一致することを示した.また,ポリシャ表面の劣化状態をポリシャ全面で均一にするために,ポリシャ上の走行距離が一様になる条件をシミュレーションにより計算した.円盤状工具では正回転・同回転数の条件,外径:内径が2:1の環状工具では逆回転時の条件で走行距離の変動が小さいこと,および最適揺動制御が走行距離に与える影響は小さいことを明らかにした.
  • 成瀬 哲也, 上原 嘉宏, 片平 和俊, 水谷 正義, 大森 整, 小泉 仁
    2009 年53 巻2 号 p. 99-104
    発行日: 2009/02/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    近年の家電製品や携帯用品の小型化・高性能化に伴い,加工ツールに対しても小径化と高性能化が求められているが,マイクロツールは小径化されるにしたがい寸法効果の影響が大きくなるため,ツールの表面性状が工具性能や耐久性に大きな影響を与えることが示唆されている1)2).我々はそれらの要求に対しELID研削を用いることによりマイクロツールの表面粗さを改善し,直径1 mのマイクロツールが作製可能であることを報告してきた3).しかしながら,極小径マイクロツールを作製できたとしても,エンドミルなどの回転工具として使用する場合,工具の振れが加工精度や表面粗さに大きな影響を与える.本報では,極小径のマイクロツールを用いて加工するためのシステムを構築し,その加工システムの有効性を検証するとともに,ELID研削による表面改質効果がマイクロツールの機械的性質に何らかの影響を与えているのではないかと考え,ELID研削により作製したマイクロツールの表層内部の化学的性状を調査するためにXPS(X-ray photoelectron spectroscopy)による分析を行った.その結果,酸素原子の浸透および拡散によりマイクロツールが強靭化されたことが示唆された.
  • 福田 明, 福田 哲生, 檜山 浩國, 辻村 学, 土肥 俊郎, 黒河 周平
    2009 年53 巻2 号 p. 105-110
    発行日: 2009/02/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    半導体デバイス製造におけるリソグラフィプロセスやCMPプロセスにおいて,ウェーハエッジ領域近傍まで均一な処理を行なうためには,シリコンウェーハのエッジロールオフをより小さくすることが必須となる.そこで,シリコンウェーハ製造時のCMPプロセスにおいて,エッジロールオフの指標であるロールオフ量(Roll Off Amount: ROA)を小さくする方法のひとつとしてエッジ形状の最適化を提案した.また,両面研磨と片面研磨の研磨レート分布がウェーハ表面の面圧分布のみに比例すると仮定し,FEM解析を用いた面圧分布計算によりウェーハエッジ領域近傍における面圧分布を評価した.その結果,両面研磨,片面研磨のどちらにおいても,エッジ幅(edge width)が小さいほどROAを小さくできることがわかった.また,これは研磨パッドのヤング率が1~15MPaの間ではヤング率によらないこと,さらには両面研磨においてキャリア厚さがウェーハ厚さ以下の場合にはキャリア厚さによらないことがわかった.
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