砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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67 巻, 2 号
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  • 尾崎 信利, 廣垣 俊樹, 青山 栄一, 松田 亮
    2023 年 67 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2023/02/01
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー

    エンドミル側面切削時に再生びびり振動が生じると,加工面にびびり模様が形成されることが知られている.本研究では,加工面びびり模様の2次元離散フ-リエ変換を基に,切削時に生じたびびり振動の振動情報(びびり振動数と再生効果の位相差)を逆解析する手法を提案している.本報では,主軸回転数を変化させながら切削した際に生じた高い振動数(4.5 kHz程度)のびびり振動現象をびびり模様から提案手法によって逆解析し,工具ホルダに内蔵された加速度センサで計測した工具振動の解析結果と比較検討した.これにより提案手法が,高い振動数でも十分な精度で振動数と位相差の逆解析が可能であること,また安定ロ-ブに従って変動するびびり振動現象を明確に捉えられることが確かめられた.

  • 吉村 博仁, 小野寺 史弥, 赤木 貞之
    2023 年 67 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2023/02/01
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的はタップに対するコ-ティングの膜特性が被削材の溶着状態や切削トルクに及ぼす影響,およびコ-ティング膜の機械的性質とタップを用いての切削実験結果との関係を明らかにすることである.高速度鋼を母材としたノンコ-ティング,TiNコ-ティング,DLCコ-ティング,およびTiNの上にDLCを複合コ-ティングしたTiN/DLCコ-ティングの4種類のタップを用いてステンレス鋼SUS304のタップ加工を行った.いずれのコ-ティングタップもノンコ-ティングタップに比べて,逃げ面の溶着面積は減少し切削トルクは低減する.ノンコ-ティングタップは,外周逃げ面だけでなく横逃げ面にも溶着が発生し,切りくずの付着がみられ切りくず排出の悪化が示唆される.コ-ティングタップでは,逃げ面に発生する溶着状況がコ-ティングの種類によって異なる.TiNコ-ティングタップでは,刃先稜線付近から逃げ面全体へ斑点状の溶着が発生している.一方,DLCおよびTiN/DLCコ-ティングタップでは,逃げ面全体ではなく刃先稜線付近に溶着が発生している.TiN/DLCコ-ティングタップは,TiNコ-ティングタップおよびDLCコ-ティングに比べて逃げ面の溶着面積が小さい.コ-ティング膜の摩擦試験から得られた摩擦係数およびスクラッチ試験から得られた剥離臨界荷重との比である摩擦係数/剥離臨界荷重が小さくなるに伴い,タップ加工における逃げ面の溶着面積は減少し耐溶着性が向上する.

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