両面ラッピング加工中はキャリアとウェ-ハが下定盤および上定盤に挟まれており,加工中のウェ-ハの挙動を観察することが困難である.そのため,加工中のウェ-ハ挙動に影響を与える因子は不明な部分が多い.そこで,本研究では4wayラップ盤の上定盤の代わりにアクリル板を用いてウェ-ハ挙動を可視化し,観察を行った.その結果,ラッピング加工中のウェ-ハは自転しているが,キャリアの回転位置によってかなり変動することが明らかとなった.また,ウェ-ハの自転に対する影響因子として定盤の格子溝ピッチやキャリアの材質などが挙げられることを明らかにした.そして,キャリアに保持されたウェ-ハの回転が加工に与える影響を実験的に明らかにした.
超硬合金やセラミックなどの硬質材料は高硬度であり,せん断工具や金型に使用すると寿命が長いなどの利点がある一方で,これらを加工する場合は,その研削砥石が頻繁に目づまりし,ツル-イング・ドレッシングに要する非加工時間が長いなどの問題がある.直径が0.1mm以下の微小なバブルはファインバブルと呼ばれ,これをク-ラントに生成すると研削抵抗が低減するなど一定の効果が報告されている.従来から,その生成原理に微細孔を適用した事例は報告されているが,超微細孔はほとんど報告されていない.本研究グル-プでは多孔質セラミックスを応用した,超微細孔ファインバブル生成器を新たに開発し,生成されるファインバブルの密度・溶存酸素・表面張力の観測を行い,ダイヤモンドホイ-ルによる超硬合金の平面研削実験を行って法線方向の研削抵抗が15%低減することを明らかにし,超微細孔ファインバブル生成器を超硬合金の研削加工に適用することが有効であることを示した.