砥石軸と工作物軸を直交あるいは所定量傾斜させるTurn Grindingは,一般的な円筒研削と比べて,砥粒切込み深さと切込み角が小さくなることで,切りくずの形状が薄くなり,表面粗さの向上や研削抵抗の抑制効果が期待できる手法である.しかし,砥石-工作物周速度比が大きくなると砥粒切込み深さと切り込み角が極端に小さくなるため研削条件の選定が難しい.本研究では,Turn Grindingの研削条件の選定指針を得ることを目的に,砥石-工作物周速度比が研削抵抗と工作物表面粗さに及ぼす影響を実験的に検討した.その結果,砥石周速度を一定として砥石-工作物周速度比を小さくする,あるいは砥石周速度と砥石-工作物周速度比をともに増大させたとき,表面粗さが減少傾向にあることがわかった.
工作機械の熱変形を抑制するためには,主軸等の構成要素の温度変化を抑える必要があり,しばしば冷却流体による強制冷却が用いられる.工作機械の発熱は,運転条件や加工条件により変化するため,本来,これらの条件に応じた効果的な冷却が望まれる.しかしながら,既存の冷却装置では発熱の変化に追従できるだけの応答性や制御精度が得られない.本研究では,冷却流体の温度を高速かつ高精度に制御する手法を提案し,温度制御された冷却流体によって,制御対象を所望の温度に制御するシステムの開発を行い,その制御性能を評価した.