砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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63 巻, 6 号
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  • 山本 優, Anand NAMBIAR, 松本 耕, 塚本 真也, 大橋 一仁
    2019 年 63 巻 6 号 p. 303-308
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル フリー

    機械加工の系に生じる振動は,工作物の加工面性状に直接影響を与える.とくに研削加工の場合,振動の測定と解析は,最適ドレッシングサイクルを導出するのに有効であると思われる.そこで本研究では,円筒プランジ研削において砥石と工作物との干渉により引き起こされる振動が研削抵抗に重畳することに着目し,研削抵抗の振動成分と工作物表面粗さ等の研削結果との関係ついて実験的に検討している.すなわち,背分力および主分力の2方向成分を計測可能な2軸圧電型力センサを用いて研削抵抗をインプロセス測定し,定常研削状態における研削抵抗の振動をFFT解析するとともに,工作物の研削面プロフィルおよび表面粗さとの関係を検討することで,円筒研削の進行による研削性能の低下が,研削抵抗の振動成分の遷移として現れることを明らかにしている.また,ドレッシング条件による砥石作業面の変化が,研削抵抗の振動成分の変化として現れることを確認している.その結果,ドレッシングのタイミングの管理に研削抵抗の振動解析が有効であることを明らかにしている.

  • 諏訪部 仁, 廣川 健悟, 石川 憲一
    2019 年 63 巻 6 号 p. 309-314
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル フリー

    ラッピング加工ではスラリ-中の砥粒が加工部で転動し,ウェ-ハ表面を微小に削り取ることで研磨が進行する.このような加工原理であるため,スラリ-をラップ定盤上に均一かつ広範囲に広げることが表面性状や研磨能率の向上のため重要であるといえる.このため別報では数ミリサイズの気泡を含有するスラリ-を供給することで溝なし定盤上に広範囲な供給を行えるようにし,研磨特性の観点でも有意であることを示した.そこで,本研究ではラッピング加工に一般的に用いられる格子溝定盤上のスラリ-挙動について観察を行った.その結果,ラッピング加工における定盤表面の格子溝はスラリ-供給幅の拡大の効果があることを明らかにした.そして,数ミリサイズの気泡を含有するスラリ-は格子溝定盤を用いることによりさらに定盤上で広がりやすくなり,スラリ-中の気泡は格子溝定盤とウェ-ハの間には入り込まないことを示した.

  • 森川 浩次, 中江 道彦, 西山 健太朗
    2019 年 63 巻 6 号 p. 315-321
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル フリー

    遊離砥粒とナイロン歯車を用い,鋼歯車の歯面粗さを低減させるラッピング技術を開発した.本研究では,微粒子ショットピ-ニングを施したガス浸炭歯車の歯面粗さを低減し,歯面強さを向上させるため,被加工歯車である鋼歯車とラップ工具としての加工歯車であるナイロン歯車をかみ合わせた.このようにして,ショットピ-ニングを施したガス浸炭歯車歯面にナイロン歯車工具によるラッピングを試みた.これらの試験歯車の歯面性状を調査し,歯車運転試験を実施することで,ショットピ-ニング浸炭歯車のような高硬度歯車の負荷能力に及ぼすラッピングの効果を調べた.その結果,ショットピ-ニングによって付与された硬さと圧縮残留応力はそれぞれ維持されつつも,ショットピ-ニングによって約 5 μmRz であった歯形方向歯面粗さは,ラッピングによって歯面上の極めて薄い表層部(歯面粗さの突起部)が除去されることで約 1 μmRz にまで低減できた.この歯車を用いた歯車運転試験結果から,ラッピングを施した試験歯車の疲労寿命は改善され,耐久限はピッチ点での最大ヘルツ応力 σH=2200 MPa に達し,ラッピング前に比べて約10 % 向上することが明らかとなった.

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