CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
28 巻, Supplement5 号
選択された号の論文の83件中51~83を表示しています
  • 山田 好則, 花谷 勇治, 石引 久弥, 相川 直樹, 山本 修三
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 487-494
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用cephalosporin剤Ceftizoximeの外科領城における感染症に対する臨床効果を検討した。
    成人の外科的感染症12例を対象に, 本剤を1回1~2g, 1日2回one shot 静脈内投与を行った。上投与日数は4~14日, 総投与量は8~56gであった。急性化膿性腹膜炎の5例中5例, 急性胆嚢炎の1例, 創感染の4例中2例だ本剤投与効果を認め, 有効率は66.7%であった。
    副作用としては, 臨床症状の面でとくに認められず, 検査成績上, 本剤投与との関連の可能性の考慮されなもの-AIPの上昇した1例だけであった。
  • 中山 一誠, 秋枝 洋三, 田島 華陽, 川村 弘, 川口 広, 西本 章子, 石山 俊次
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 495-510
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximeについて基礎的・臨床的検討を行なった。
    抗菌スペクトルは広く, 抗菌力は病巣分離S. auresでは他のセファロスポリン系およびセファマイシン系薬剤より劣るが, E. coli, K. pneumoniae, EnterobacterおよびS. marcescensに対しては最も優れた感受性分布を示した。P. aderuginosaに対してはCBPCと同等の抗菌力を示した。
    血中, 尿中濃度を健康人3名に本剤を1,000mg one shot静注し, B. subtilis ATCC 6633株を検定菌とするcup法ならびにdisc法にて測定した。その結果, 血清中濃度は投与後5分でピークとなり, 平均106μg/mlの濃度を示した。尿中濃度は投与後, 1時間でピークとなり, 平均4, 850μg/mlの濃度を禾し, 6時間までの平均尿中回収率は51.7%であった。血清中濃度のデーターについて薬動力学的に検討した結果, Kl2 (hr-1): 1.72, K21 (hr-1): 1.11, Kel (hr-1): 2.01, T1/2 (β): 1.35 (hr), AUC: 64.1 (μg・hr/ml) の値を得た。
    生体内代謝について, TLC, bioautogramを用い人尿について検討した結果Ceftizoximeは生体内で代謝されないことを証明した。臓器内濃度は, SD系ラットに20mg/kg筋注した成績では, 腎血清, 肝, 肺の順であった。
    臨床成績は外科感染症24例に使用し, 著効4例, 有効18例, 無効2例であった。
    副作用については発疹2例, 悪心・嘔吐1例, GPTの上昇を1例に認めた。
  • 由良 二郎, 品川 長夫, 鈴木 芳太郎, 石川 周, 松垣 啓司, 花井 拓美, 柴田 清人, 伊藤 忠夫
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 511-517
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    外科領域においてCeftizoxime (CZX) の基礎的, 臨床的検討を行ない, 次の結論を得た。
    1) 抗菌力: 外科病巣分離のE. coli, Klebsietla, E. clcacaeに対してCZXはCEZ, CBPCより優れた抗菌力を示し, とぐにE. coli, KlebsiellaではMICのピークは0.1μg/mlないしそれ以下であった。
    2) 臨床使用成績: 外科的感染症15例にCZXを使用し, 著効1例, 有効12例, やや有効1例, 無効1例であった。副作用として両下肢の軽度な発疹と好酸球増多を1例に認めたが, その他には自・他覚的副作用は認めなかった。
  • 谷村 弘他
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 518-532
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセファロスポリン系抗生物質の1つであるCeftizoximeの胆汁中移行, 胆嚢組織内濃度およびその臨床的効果について, 胆道感染症を含む胆道疾患63例において検討し。以下の結論を得た。
    1) 胆嚢摘出術時投与21例において, Ceftizoxime 1g静注5分後の血中濃度は125.9±13.4μg/ml, 1~2時間後の胆嚢胆汁中濃度 (胆嚢管開存例だけ) 71.3±22.5μg/ml, 総胆管胆汁中濃度44.0±13.7μg/ml, 胆嚢組織内濃度は68.4±26.0μg/gであった。
    2) Tチューブ挿入5例に対して行なったCeftizoximelg静注のcrossoverではCEZのほうが最高血中濃度および持続時間ともに高値を示したが, 胆汁中濃度は本剤とCEZはほとんど同じ動きを示した。その平均胆汁中最高濃度は, 1g静注2時間後で, 本剤39.0μg/ml, CEZ28.3μg/mlであった。
    3) その臨床的効果は, 細菌検出陰性例など10例を除外し, 胆嚢炎18例および胆管炎9例, 計27例について検討した。本剤1g1日2回静注または点滴静注し, 5~31日 (平均10.9日) 間投与し, 著効4例, 有効18例, やや有効4例, 無効1例で, 有効率は81.5%であった。胆嚢炎だけでは94.4%であった。
    4) E. coli, Klebsiella, E. cloacae単独感染例で著効を認め, 菌の消失もそのMICどよく一致した。
    5) GOT, GPTの上昇例が37例中7例認められたが, このうち原疾患によるものが6例で, 他の1例も本剤との関連性は断言できなかった。
  • とくにCeftizoximeによる臨床的効果について
    谷村 弘他
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 533-542
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された広域抗菌スペクトルを有するセファロスポリン剤の1つであるCeftizoximeを急性化膿性腹膜炎12例に臨床応用し, 以下の結果を得た。
    1) 虫垂穿孔6例, 十二指腸潰瘍穿孔2例, 術後腹膜炎2例, 外傷性および異物性腹膜炎各1例, 計12例に対し, Ceftizoxime 1回1g点滴または静注 (1例だけ筋注) 1日2~3回, 平均11日間投与し, その臨床的効果として, 著効5例, 有効6例, 無効1例, 有効率91.6%を得た。
    2) とくに, TOB, CET, CEZ, ABPC, PMPCなど, 他剤無効例もCeftizoximeはすべて有効であった。
    3) 起炎菌の明らかな9例中, 著効例はすべてE. coliを主体とするものであり, その他Klebsiella, Proteus, Clestridiumはすべて消失し, Serratia, Alcaligenesが一部残存しただけである。
    4) 19点滴静注1日2回連日投与時の腹水移行は手術翌日376μg/ml, 2日目41μg/ml, 4日目31μg/mlに達した。
    5) Ceftizoximeによる自・他覚的な副作用はなんら認めなかったが, 一過性のGOTあるいはGOT, GPT, Al-Pの上昇例が各1例あった。
    6) 臨床的ならびに細菌学的効果から, 本剤は腹膜炎の化学療法剤として有用なものの1つであるといえよう。
  • 小川 道雄, 高田 直樹, 藤本 憲一, 浜 正純, 神前 五郎, 小林 延行, 杉中 秀寿
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 543-558
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximeに関する基礎的ならびに臨床的研究を行なった。Ceftizoximeは臨床分離グラム陰性桿菌に対し強い抗菌力を示した。また従来のセファロスポリン剤が無効であったインドール陽性のProteus spp., Serratia marcescens, Enterobacter cloacae, Enterobacter aerogenes, Citrobacter spp. に対しても抗菌力を有していた。Ceftizoximeの胆汁中への移行は良好で, 最高濃度は閉塞性黄疽患者の胆管内胆汁で20μg/mlを越え, 胆汁中回収率は5時間までで0.11%であった。
    外科的感染症11例にCeftizoximeを投与し, 著効7例, 有効3例, やや有効1例の成績を得, Ceftizoximeは外科的感染症とくに胆道感染症, 腹膜炎に対し有用な薬剤であることが示唆された。
    1例に下痢をみた以外特記すべき副作用をみなかった。また本剤投与による臨床検査成績の悪化は認められなかった。
  • 上田 隆美, 藤本 幹夫, 酒井 克治, 川畑 徳幸, 前田 貞邦, 佐々木 武也, 沢田 晃, 土居 進, 政田 明徳
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 559-565
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximeを14例の外科的感染症に投与した。対象の内訳は腹膜炎6例, 術後感染4例, 胆のう炎, 膿胸, 肛門周囲膿瘍および副睾丸炎各1例であった。本剤の投与は点滴あるいはone shot静注で1日量2~6g, 5~17日間とした。その結果, 著効, 有効あわせて11例, 無効3例の成績を得, 有効率は, 78.6%となった。しかも重篤な副作用はまったく経験されなかった。本剤は, 外科的感染症に対する新しい治療剤として期待されるものと考えられる。
  • 山本 泰寛, 浅川 昌平, 井上 隆人, 原田 敏郎, 志村 秀彦
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 566-571
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    胆石症および総胆管結石症のために紛胆管ドレナージを施行した2症例についてCeftizoximeを1.0g, 1回静注後経時的に血中, 胆汁中濃度をdisc法で測定した。血中濃度は静注後30分から測定し, 平均61.9μg/mlであり1時間後には39.8μg/mlとなり漸次下降し6時間後には5.1μg/mlであった。また24時間後には0であった。
    胆汁中濃度は症例AのGOT, GPT上昇例においては1~2時間後に高濃度に排泄され, それぞれ133.0μg/ml, 113.0μg/mlとピーク値を示し, 症例BのGOT, GPT軽度上昇例においては2~3時間後にそれぞれ55.8μg/ml, 42.4μg/mlとピーク値を示し, 平均すると1~2時聞後にピーク値を示し, それぞれ81.4μg/ml, 84.4μg/mlであり3~4時間後はそれぞれ54.8μg/ml, 30.1μg/mlとなり漸次下降し, 6時間後は6.5μg/mlとなり24時間後は0であった。
    次いでCeftizoximeの臨床的使用効果についての検討では術後創感染2例, 腹腔内膿瘍4例, 肛門周囲膿瘍1例の計7症例に1回1gを2回点滴または静注にて5~12日間投与し, 有効6例, 無効1例の臨床効果85.7%の有効率を得た。細菌学的にはE.coli, Enterrobacter, Bacteraides, pseualommsに2/3以上の消菌効果を見た。16株中12株に有効であった。副作用としては特記すべきものを認めなかったし, また, 臨床検査データにおいても投与前後における異常値を経験しなかった。
  • 三宅 正文, 西尾 彰, 塚本 泰司, 坂 丈敏, 熊本 悦明
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 572-584
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) の感受性分布は,E.coliをはじめ,Proteussp,S. marcescensにおいてほとんど0.39μg/ml以下にみられた。K.pneumoniaeは≦0.39μg/mlと400~800μg/mlにPeakを有し, Enterobacterは≦0.39μg/mlから400μg/mlに比較的広く分布している。P. aeruginosaは 25~800μg/mlに分布し, MICが, 他細菌に比し高めであった。CEX, CEZと本剤を比較すると明らかに本剤がすぐれていた。
    臨床上19例に本剤を使用し, UTI薬効評価基準による効果判定可能な13例の成績は著効8有効9例 (69%), 無効4例 (31%) であった。無効4例ではいずれも菌交代現象が認められた。
    副作用としては, 悪心・嘔吐による投与中止例が1例あった。
  • 岸 洋一, 富永 登志, 新島 端夫, 西村 洋司, 斉藤 功, 宮村 隆三
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 585-600
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セファロスポリン系薬剤Ceftizoximeについて基礎的, 臨床的検討を加えた結果, 次のような結果を得た。
    臨床分離のグラム陰性桿菌について本剤のMICを測定した。E. coli, K. Pneumoniae, P.mirabilisに対しては, 本剤の抗菌力はきわめて優れており, 108cells/ml接種で夫部分の株は0.39μg/ml以下であった。インドール陽性Proteusに対して, 108cells/ml接種でのMICは, 18株中14株が0.05μg/ml照下であった。S.marcescens の場合, 108cells/ml接種でも20株中18株はMICが 6.25μg/ml以下であり, またGentamicin耐性菌に対しても感受性を示した。P.aeruginosaではほとんどの株が25μg/ml以上のMICを示し, Gentamicinのほうが優れていた。
    健康成人男子6名に対し, Ceffizoxime, Cefotiam (CTM) を各々1g静注し, cross over法にて血清中濃度, 尿中排泄を比較検討したところ, Ceftizoximeのほうが血清中濃度は高く保たれ, 尿中回収率は優れていた (0~8時間尿中回収率: Ceftizoxime 88.3%, Cefotiam 75.6%)。
    複雑性尿路感染症23例に1日0.5g~2.0g, 5日間使用した結果, 著効9例, 有効6例, 無効8例で, 有効率は65.2%であった。腎盂腎炎から敗血症を生じた1例に本剤とTebramycinを併用し, 治癒させた。
    臨床検査では, BUNの上昇1例を認めた。
  • 三橋 慎一, 日景 高志, 熊谷 章
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 601-607
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新注射用cephalosporin剤, Ceftizoximeの尿路感染症に対する臨床効果および安全性の検討を行った。慢性腎盂腎炎5例 (急性増悪2例を含む) および慢性複雑性膀胱炎10例を対象に1回0.5g~2g, 1日2回。5日間点滴静注により投与した。UTI薬効評価基準に従い効果判定を行い, 著効1例, 有効10例, 無効4例, 有効率73.3%の総合臨床効果を得た。自他覚的副作用は何ら認められなかった。
  • 岡田 敬司, 村上 泰秀, 河村 信夫, 大越 正秋, 斉藤 豊一, 鈴木 恵三
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 608-628
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生剤Ceftizexrmeについて, 賦験管内抗菌力, 血清中濃度, 尿中排泄率を測定し, さらに尿路感染症患者を対象に, 臨床的検討を行った。
    尿路感染症由来菌株に対するCeftizoximeの抗菌力は, CEZ, CTX, CTM, CEXと比較すると, E.coli, K.pneumoniae, P.mirabilis, S.marcescensに対してはもっとも強いものであった。グラム陽性菌に対してはやや劣る成績であった。1時間点滴静注後の最高血清中濃度は, 500mg投与の場合, 平均26.3μg/ml, 1,000mg投与の場合, 54.8μg/mlであり, 8時間までの尿中排泄率はいずれもほぼ85%であった。
    臨床効果の検討では, 尿路感染症患者22例に対してCeftizoximeを1日量500mgから2gで筋注, 静注または点滴静注によって投与した。その結果, 効果判定可能例18例中著効3例, 有効9例, 無効6例で有効率66.7%であった。
    副作用は全例に認められなかった。
  • 鈴木 恵三
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 629-650
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生物質Ceftizoximeの試験管内抗菌力を, グラム陰性桿菌100株について検討した。対照薬剤としてCefamandoleを用いた。とくに強い抗菌活性を示した菌種は, E.coli, K.pneumoniae, P.vulgaris, P.rettgeriで, その抗菌力はCefamandoleよりおよそ5~6管程度強いが, 菌株によっては10管以上のものが認められた。このうちとくに対照薬と大きな抗菌力の差があっためは, K.pnoumonilae, P.vulgaris, P.roftgeriで, 106cells/ml接種で大半が≦0.05 μg/mlときわめて低いMICを示した。P. morgaiiでは上配菌種よりややMICは高いが, それでも大半が≦0.1μg /mlであった。S.marcescensでは, Cefamandoleに比して明らかに抗菌力は優っているが, 先の菌種よりMICは高く, 3.13~50μg/mlであった。E.cloacaeでは, 多少抗菌力の優る株もみられたが, 多くが耐性を示した。P.aeruginosaには, 12.5~100μg/mlのMICであった。
    吸収, 排泄について2名の健康成人と6名の入院患者で検討した。健康成人にCeftizoxime 500mgをone shot静注すると, 血清中濃度は15分後ピーク値43.4μg/mlに達し, 以後急速に減少して6時間後にはほとんど消失した。6時間までの尿中回収率は91.0%であった。入院症例のうち, 中等度腎機能障害2名に250mgを投与した結果, 明らかな排泄遅延が認められた。腹膜透析を行っている高度の腎障害例では, 250mg投与で血清中濃度が約300μg/mlに達した。
    前立腺液内への移行を9名, 14検体について測定した。1g静注後1時間の前立腺液内濃度の平均は1.68μg/mlで, 対血清中濃度比は, 0.054であった。2g静注後1時間では, 5.58μg/mlでdose responseがみられた。
    臨床検討症例は合計30例である。慢性複雑性尿路感染症18例に対する治療は1日0.5~2.Og, 5~8日間で行ない, UTI薬効評価基準で70.6%, 主治医の判定では78.8%と優れた成績であった。腎盂腎炎4例を含めた急性単純性尿路感染症5例は, すべて著効を示した。尿道炎6例のうち, 淋菌性の4例には, 1日0.5~1gのone shot静注ですべて優れた反応をみたが, 非淋菌性の2例には効果を認めなかった。急性副睾丸炎の1例には有効であった。
    副作用では, 全症例で自覚的異常をみた例はなかった。臨床検査値では, 肝機能と腎機能の値に上昇を認めたものが2例ずつあったが, いずれも軽度で, 中止後正常に復した。
    Ceftizoximeは, 既存のセファロスポリン系抗生物質にみられない特長を有する優れた注射製剤であり, 安全度も高い薬剤であると考えられた。
  • 和志田 裕人, 渡辺 秀輝, 神野 浩彰, 竹内 賢次
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 651-666
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    慢性複雑性尿1路感染症についてCeftizoximeの臨床的検討を行なった。
    慢性複雑性尿路感染症患者31例を対象とし, Ceftizoxime1回0.59または19を1日2回静注にて5日間投与した。効果判定はUTI薬効評価基準によるものと主治医によるもので行なった。
    投与例31例中UTI薬効評価基準に合致しない5例を除く26例について効果の判定を実施した。
    UTI基準による効果は1日量1g群16例中著効4例, 有効5例, 無効7例で有効率は56.3%であった。1日量29群では10例中著効1例, 有効4例, 無効5例で有効率は50%であった。
    細菌学的効果をみるとS. marcescens, P. morganii, E. coliおよびS. faecalisなどの尿中分離菌44株中33株, 75.0%の消失率であった。
    副作用は31例中嘔気・嘔吐のため1日で投与を中止した1例だけであった。臨床検査は29例において実施し, 2例に軽度の血液または肝機能の異常値を認めた。
  • 小幡 浩司, 夏目 紘, 本多 靖明, 坂田 孝雄, 伊藤 博夫, 安積 秀和, 瀬川 昭夫
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 667-680
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime を20例の複雑性尿路感染症患者に用い, UTI効果判定基準に基づく総合効果で著効20%, 有効45%, 無効35%の成績を得た。
    投与量は, 1日2回投与で0.25g, 0.5g, 1g の3種の投与量を選択したが, いずれも大差のない臨床成績を示した。
    副作用としては, 自他覚症状のみられた症例はなく, 高窒素血症の患者に用いても, 血清クレアチニン値の上昇をみなかった。
  • 名出 頼男, 藤田 民夫, 浅野 晴好, 山越 剛, 玉井 秀亀
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 681-695
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime の抗菌力, 筋注後の血中濃度および尿中回収率, および10例の尿性器感染症に用いた成績から評価を加えた。
    1) 抗菌力比較では, Ceftizoximeは, ABPC, SBPC, CEZの3者に比し, E.coli, KlebsiellaおよびEnterobacterに対しては明らかに高い抗菌力を示し, Enterobacterで, 少数の耐性菌を見ただけであった。Serratiaに対してもSBPC, CEZより明らかに優ったが, 中等度以上の耐性菌も約1/3に認めた。Proteus群でも, 大部分は感受性菌であった。P.aeruginosaではSBPCに近いMIC値分布を示したが, GMよりはやや耐性菌が多かった。
    2) 筋注後の血中濃度は, 注射15分後から30分後にかけて最高血中濃度に達し, また, T1/2は250mg筋注群では1.30時間, 500mg群で1.45時間と, cross overで筋注したCEZの2.28時間より短かかったが, 有意差は (P<0.05) 250mg群とCEZ (500mg筋注) 群との間だけに認められた。尿中排泄は, CEZが6時間までで, 87.7%排出したのに比し, 250mg群で66.4%, 500mg群で67.1%とやや低値であった。
    3) 臨床成績
    4例の前立腺炎のうち, 1例はDICも起こすような特殊例で, 菌も検出されず, 発熱だけを指標としてもGM併用した点もあって判定不能としたが, 他の3例では2例著効, 1例有効と判定した。4例の尿路感染症 (いずれも基礎疾患あり) ではいずれも有効と判定された。腎周囲炎の1例では無効, 副睾丸炎の1例では有効であった。
    なお, 腎移植後発熱を見た1例は原因が尿路感染でなく, 脱落とした。
    副作用は1例も認めず, 臨床検査所見も本剤に起因すると考えられる異常を認めなかった。
  • 嶋津 良一, 加藤 直樹, 坂 義人, 河田 幸道, 西浦 常雄
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 696-705
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) について基礎的ならびに臨床的検討を行なった。本剤の抗菌力をE. coli, Klebsiella, S. marcescensについてCEZを対照薬剤として測定した。E, coli, Klebsiella では著しい抗菌力の差を認め, S. marcescensにおいて CZXは0.78 μg/mlから3, 200 μg/mlまで幅広く分布していたがCEZは全株3, 200 μg/ml以上であった。
    本剤1.0g, 0.5g, 0.25gを健康成人6人に静注し, 血中, 尿中濃度を測定した。血中濃度は投与5分後にピーク値を認め, dose responseが認められた。尿中濃度は0~2時聞にピーク値が認められた。CZX静注後の尿について尿中抗菌力を, E.coli, Klebsiella, S.marcescensの3菌種について測定した。CZX1.0g投与後の0~2時間の尿はいずれの菌種に対しても210倍以上の高い抗菌力を認めた。CZX投与群の尿はCEZ (1.0g) 投与群の尿よりもいずれも高い抗菌力を示した。
    慢性複雑性尿路感染症7例にCZXを1日2.0g (4例), 1.0g (2例) あるいは0.5g (1例) 静脈内に投与し, 71%の総合有効率を認めた。また前立腺摘出後の尿路感染症の1例について尿中濃度と尿中細菌, 膿尿の変化を経時的, 経日的に検討した。本剤投与による自覚的副作用は認められず, 1例に軽度のGOT, GPT, Al-Pase, BUN, 血清クレアチニンの上昇を認めたがこれは基礎疾患によるものと思われた。以上の成績から, 本剤は尿路感染症に対して安全ですぐれた薬剤と思われた。
  • 大川 光央, 菅田 敏明, 岡所 明, 黒田 恭一, 宮城 徹三郎, 佐藤 隆
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 706-714
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用半合成セファロスポリン系抗生剤Ceftizoxime (CZX) の500 mgを, 種種の程度の腎機能を有する33例に筋注した際の血清中および尿中濃度を測定した。濃度測定はBacillus subtilis ATCC 6633を検定菌とする薄層ディスク法で行い, 薬動力学的解析はone-compartment open modelに従った。なお腎機能の指標としては, 24時間内因性クレアチニンクリァランス (Ccr) を用い, 各種薬動力学的パラメータとの関連性について検討した。腎機能正常例における最高血清中濃度は, 筋注30分後に得られ平均14.7μg/mlで, 血清中濃度半減期は平均1.45時間と計算された。また消失速度定数 (Kel) とCcrとの間には有意の相関関係 (P< 0.001) が認められ, 回帰直線方程式Kel=0.0202+0.00483 Ccrが得られた。腎機能正常例における筋注後6時間後までの尿中回収率は平均77.6%で, 腎機能の低下に伴い減少した。腎機能障害, ことに高度な障害を有する患者に本剤を投与する際には, 投与量, 投与間隔の調節の必要があるものと考えられた。
  • 大川 光央, 池田 彰良, 竹前 克朗, 岡所 明, 黒田 恭一, 宮城 徹三郎
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 715-724
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用半合成セファロスポリン系抗生剤Ceftizoxime (CZX) を尿路感染症および男子性器感染症の計31例に使用し, 29例で臨床効果を検討した。投薬方法は, 本剤500mgを1日2回 one shot静注し, いずれも原則として5日間投薬終了後に効果を判定した。複雑性尿路感染症21例の総合臨床効果は, 著効1例, 有効8例, 無効12例で, 有効率は42.9%であった。急性単純性腎孟腎炎2例の総合臨床効果は, 著効1例, 有効1例で, 有効率100%であった。また臨床症状から判定した急性男子性器感染症6例の臨床効果は, 著効5例, 有効1例で有効率は100%であった。副作用として, 臨床症状を呈した症例はなく, 2例にGOT, 1例にGPTの軽度かつ一過性の上昇が認められた。
  • 守殿 貞夫, 安室 朝三, 梅津 敬一, 石神 襄次, 広岡 九兵衛, 吉田 実央, 大部 享
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 725-742
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セファロスポリン系抗生物質Ceftizoximeについて基礎的・臨床的検討を行なった。
    当科入院患者の尿路感染症から分離した菌株について本剤とCEZ の抗菌力を比較した。106接種では E. coli の場合本剤は0.2μg/mlにピークを有し, CEZの3.12μg/mlより優れていた。KlebsiellaではCZX の95%が≦0.39μg/mlであり, P.mirabilis も同様な傾向であり, 明らかにCEZ よりMICが低かった。P.vulgaris, Pseudomonas, Enterobacter および Serratia でも明らかにCEZ より本剤のMIC が低く, 本剤はP.vulgarisで≦0.2~0.39μg/mlと100~>100μg/ml の2峰性の分布を示し, Pseudomonas では25μg/ml にピークを有し, Enterobacter では0.39~>100μg/mlに分布, Serratia では3.12μg/mlにピークを示した。
    臨床検討は複雑性尿路感染症患者26例に本剤を主として1日0.5~2g (分2) 5日間静注した。UTI基準による効果は24例中有効以上18例 (75.0%) であり, 投与量別に有効率をみると0.5g投与群57.1%, 1g投与群70.0%, 2g投与群100%とdoseresponseが認められた。細菌学的効果は53株中45株消失で消失率84.9%であった。主治医判定は26例中著効7例, 有効14例, やや有効1例, 無効4例で有効率80.8%であった。
    副作用は悪心・頭痛を静注時に認めた1例だけであった。臨床検査値の異常は好酸球増多の1例だけであった。
  • 鎌田 日出男, 石戸 則孝, 宮田 和豊, 高本 均, 平野 学, 近藤 捷嘉, 荒木 徹, 大森 弘之, 小野田 廉雄, 近藤 淳, 難波 ...
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 743-755
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) は藤沢薬品中央研究所で開発された新しい半合成cephalosporin系抗生物質で, β-lactamaseに対し抵抗性の強いbroad spectrumの新物質である。
    本剤について基礎的, 臨床的検討を加え, 次の結果を得た。
    1. 尿路感染症から分離, 保存したグラム陽性球菌11株, グラム陰性桿菌135株に対するCZXのMICを測定した。106/ml接種でE. coli, P. mirabilis, Klebsiellaに非常に強い, 優れた抗菌力を示し, P. vulgaris, Serratiaにも良い抗菌力を示した。P.aeruginosa, Acinetobacter, P. putidaにも中等度の抗菌力を示した。Cefotiam (CTM) との感受性相関をみると, S. aureusではやや悪く, E. coliでほぼ同等, P. vulgaris, P. mirabilisでは本剤のほうが優れた抗菌力を示した。
    2. 泌尿器科領域の感染症33例にCZXを1日1~2g, 5~7日間投与した。複雑性腎盂腎炎13例では著効4例, 有効6例, 無効3例, 複雑性膀胱炎18例では著効6例, 有効9例, 無効3例, 急性前立腺炎2例では2例とも著効であり, 全体の有効率は81.8%であった。複雑性尿路感染症の起炎菌消失率は35株中30株, 85.7%であった。
    3. 本剤投与の影響と思われる自他覚的副作用は認められなかった。
  • 北野 太路, 畑地 康助, 藤井 元広, 仁平 寛巳, 中原 満, 白石 恒雄, 安川 明廣, 碓井 亜, 中野 博
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 756-766
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximeについて基礎的ならびに臨床的検討を行なった。
    Ceftizoximeの体内動態に関して, 症例の腎機能障害の程度を内因性クレアチニン・クリアランス (以下Ccr) を指標として高度機能障害群 (Ccr<30ml/min), 中等度機能障害群 (30≦ Ccr <70ml/min), 軽度機能障害および正常群 (Ccr≧70ml/min) の3群に分けて検討した。腎機能障害の高度のものほど血中濃度半減期は延長し, かつ尿中回収率も低下の傾向であった。
    抗菌力については, 尿路感染症から分離したE.coli50株, Serratia21株について GM, CEZのMICを測定し, Ceftizoximeのそれと比較した。E.coli, Serratiaの両菌株においてCeftizoximeのほうがGM, CEZよりMICが低く, 抗菌力がすぐれていた。
    複雑性尿路感染症41例に本剤1回500mg点滴静注, 1日2回, 5日間投与により臨床効果を検討した結果, 著効12例, 有効17例, 無効12例で, 有効率は71%であった。
    投与前分離した菌株49株中41株 (84%) が消失し, 8株が残存した。E.coli15株は全株消失し, P.aeruginosa9株は5株 (56%) が消失した。Serratia, P. vulgaris, P. rettgeri, Klebsiella, Enterobacter, Citrobacter の16株中15株 (94%) が消失した。
  • 藤村 宣夫, 福川 徳三, 淡河 洋一, 黒川 一男
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 767-776
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    泌尿器科領域の複雑性尿路感染症24例 (上部尿路感染症10例, 下部尿路感染症14例) にCeftizo-Ximeを1日1,000mg (朝夕2回, 経静脈投与) 5日間投与し.
    1) 著効3例 (12.5%), 有効16例 (66.7%), 無効5例 (20.8%) で, 79.2%の有効率を得た。
    2) 細菌学的効果は31株中, 消失20株 (64.5%), 存続11株で, なかでもSerratia marcescensは11株中, 7株 (63.6%) 消失した。また, CEZ耐性 (3濃度disc) の18株中, 11株 (61.1%) が消失し, 5株 (22.2%) が減少した。
    3) 副作用は1例もみられなかった。
  • 魚住 二郎他
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 777-788
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 昭和53年9月から昭和53年11月まてに九州大学泌尿器科および関連病院に入院した患者で尿路感染症を有する35例にCeftizoximeを投与し, 28例について臨床効果の分析を行なった。
    2. 投与期間は5日間で, 効果判定例は250mg×2回/日の静注7例, 500mg×2回/日の静注8例, 1000mg×2回/日の静注13例であった.
    3. 急性単純性膀胱炎は1例であったが著効を示した.
    4. 複雑性尿路感染症27例については, 著効3例, 有効17例, 無効7例で有効率は74.1%であった。
    5.細菌学的には35株中28株が消失し, 消失率は80.0%であった.
    6. 自覚的, 他覚的副作用は35例全例に認められなかった。
  • Ceftizoxime (FK 749) とCefotiam の比較を中心として
    大井 姫忠, 川畠 尚志, 後藤 俊弘, 小畠 道夫, 岡元 健一郎
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 789-796
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路感染症患者から分離されたE.coli, Klebsislla, Enterobacter, serratiaの計4株にたいするCetisoxime 500mg. Cefotiam 1.000mg静注後の尿中抗菌力を, 人工尿を希釈液として測定した。尿中抗菌力の測定結果は尿中濃度, 尿中細菌による抗生剤の不活化と抗生剤の抗菌力を総合的に反映しており, 複数の抗生剤の尿中におけるin vivo効果の比較の予測をおこなうことが可能であると思われた。今回の実験成績から尿路感染症治療のためにはCeftizoxime 500mg静注のほうがCefotiam 1,000mg静注よ有用であろうと思われた。
  • 川畠 尚志, 大井 好忠, 小畠 道夫, 後藤 俊弘, 柿木 敏明, 岡元 健一郎, 阿世知 節夫, 坂本 日朗, 新村 研二
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 797-811
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路感染症から分離した E. coil, K. pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Enterobacter, S. marcescens, P. aeruginosa 計165株について Ceftizoxime と CTM の抗菌力を測定した。その結果すべての菌種にわたり, Ceftizoximeの MIC 値は小であり, CTM よりも抗菌力がつよいことが証明された。しかし, 108/ml接種の成紋と比較して, 106/ml接種のそれは各菌種とも大きく感受性側に推移した。
    Ceftizoxime 500 mg静注5分後に血清中濃度のピーク値56.0μg/mlが得られた。薬動力学的には血中半減期は Ceftizoxime は1.24時間, CTMは1.06時間であり, area under the concentrationcurve it Ceftizoxime のほうが大きく, A. U. C.からみた bioavailability については本剤500mg 静注は CTM 1,000mgと比較して遜色ないものであった。12時間までの尿中回収率はCeftizoximeは92.1%, CTMは68.8%であり, 本剤は腎からの排泄が大であると考えられた。
    慢性複雑性尿路感染症30例に対する Ceftizoxime の治療成績は, 著効10例, 有効11例で総合臨床効果は有効率70%となった。自覚的副作用は全く認められず, BUN, GOT 軽度上昇例が各1例みられたにすぎなかった。
  • 松田 静治, 清田 明憲, 丹野 幹彦, 柏倉 高, 国保 健太郎
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 812-820
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新注射用cephalosporin剤, Ceftizeximeの旅婦人科領域における基礎的検討として, 各種病巣由来のグラム陰性桿菌, グラム陽性球菌について抗菌力の検肘を行なうほか, 母児間移行の面では本剤1g静注後の母体血清, 臍帯血清および羊水中濃度を18例につき検討した.グラム陰性桿菌に対する木剤の抗菌力はCEZより強く, E. coli, Klebsiella, Proteus mirabilisにおいて0.09μg/ml以下のMICのものが大部分を占めた。また, 木剤の母児間移行も良好で, ピーク値は臍帯血清中濃度では1~2時間, 羊水中濃度では3~4時間後に認められ, いずれも約26μg/ml程度の高い移行濃度が得られた後, 漸減傾向を示した。また, 本剤の臨床応用の成績では, 骨盤内感染症8例, 尿路感染症6例など計16例に, 1日1~2gを筋注, 静注および点滴静注にて投与し, 著効, 有効あわせて14例 (有効率87.5%) の成績が得られた。副作用としては特記すべきものを認めなかった。
  • 張 南薫, 福永 完吾, 国井 勝昭
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 821-830
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生物質Ceftizoximeについて産婦人科領域で検討を行ない, 以下の結果を得た。
    Ceftizoxime 1g静注後の臍帯血, 羊水中移行を15例について測定した, 臍帯血移行は連く, 30分前後で4.4-12.5μg/ml, 1時間前後で9, 2~13.gμg/ml, 5時間後で3, 4~5.2μg/mlの移行が認められたcr羊水中にも30分前後で1.69~3.7μg/mlが移行し, 2時間30分前後では最高値8.4~10μg/mlの移行が認められた。
    Ceftizoxime 1g静注後の血清中濃度および子宮・卵管・卵巣等の骨盤内臓器組織内濃度を測定した。血湾中濃度は平均30分値41μg/ml, 45分値39.7μg/ml, 60分値3405μg/ml, 80分値26.5μg/mlであった。骨盤内臓器組織内濃度は血溝中濃度と同様な消畏をたどって経時的に減少するか, 子宮頸管がもっとも高く, 漿膜, 卵巣, 子宮筋層, 卵管, 子宮内膜の順に低くなり, その濃度は血清の50~90%程度であった。
    臨床成績は, 産褥子宮筋層内膜炎1例, 流産後子宮筋層内膜炎2例, および子宮付属器炎合併2例, 流産後子宮内膜炎1例および乳腺炎合併1例, 産褥乳腺炎3例, 合計10例の産婦人科的感染症に対し1回1.0g, 1日2回静注の投与法で全例に効果を認めた.
    副作用はまったくなく, 臨床検査所見で異常変化を認めなかった.
    以上の成績から, Ceftizoximeの産婦人科領域における有用性を認めた。
  • 子宮, 付属器濃度および臨床的検討
    中村 英世
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 831-844
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生物質Ceftizeximeを子宮筋腫にて腹式子宮全摘術を行った32例に1g静注し, 血濟中濃度, 子宮および付属器組織濃度を測定した。血清中濃度はtwo compartmentopen model, 子宮および付属器組織濃度についてはthree exponential model式により薬動力学的解析を行った。
    子宮各組織最高濃度に達する時間は子宮筋層が3.6分間と最も速く, 最も遅かった卵巣との間には約9分間の差があった。組織対血清中最高濃度比は子宮内膜46%, 筋層42%, 卵管41%, 頸部34%, 卵巣23%の順で, 回帰した各組織濃度推移と各種細菌に対する本剤の抗菌力との関係から, E. coli, K. Pneumoniae, P. mirabilisをはじめとするGNB, さらにS.pyogenes, S. aureusやその他のGPCが原因の子宮内感染症に対して, 本剤の有用性が認められた。
    子宮付属器炎3例 (Lactobacillus 1, unknown 2), 骨盤腹膜炎3例, 内付属器炎合併2例 (E. coli2, unknown 1), 急性腎孟腎炎3例 (E.coli 2, Klebsiella 1) およびStaphylococcus aureusが検出された化膿性外陰炎1例の計10例に, 本剤を1回0.5~2g, 1日2回, 4~8日間, 点滴1例を除き静注し, 著効7例, 有効2例, 無効1例の臨床効果が得られた。副作用は1例も経験せず, 投与前後の末梢血, 肝機能, 腎機能, および電解質諸検査成績においても著明な変化を認めなかった。以上の薬動力学的ならびに臨床成績から, 本剤は産婦人科領域においてfirst choiceとなる新しいセファロスポリン系抗生物質の資格を有するものと考えられた。
  • 青河 寛次, 皆川 正雄, 柄川 二郎, 山路 邦彦, 杉山 陽子
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 845-862
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗生物質Ceftizexime (CZX) を臨床評価するため, その抗菌作用, 吸収排泄ならびに臨床成績を検討して, 以下の所見を得た。
    1. 産婦人科領域で臨床分離した諸種細菌215株の感受性分布を測定したところ, Klebsiella sp., E. coliは1.56~3.12μg/mlに71.9, 80.0%が位置し, CEZ, CTMに比べさらに強い抗菌力を示した。P. mirabilis, P. vulgaris, Bacteroides sp.などにも良好なMICを得たが, P. aeruginosaは耐性である。また, S. aureusにはCEZ, CTMよりもやや鈍い感受性を呈した。
    2. CZXは健康婦人, 妊婦においても, 速やかに高い血中濃度を呈し, 6時間前後まで血中に認められるが, Ccrに相応する傾向がある。その尿中排泄率 (0~6時間) は約80%である。
    3. 産婦人科領域の諸感染25例に, 本剤0.5~4.0g/日, 4~13日問投与したところ, 子宮付属器炎, 骨盤腹膜炎, て重篤なものは経験せず, また, 投与前後における臨床検査で異常な推移はなかった。
  • 高瀬 善次郎, 井上 久美子, 白藤 博子, 内田 昌宏
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 863-873
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新半合成セファロスポリン剤Ceftizoxime(CZX)の抗菌作用, 各種移行濃度および臨床成績について検討した。
    産婦人科領域での臨床分離菌に対するCeftizoximeのMICのピーク値は, S. aureusで6.25μg/ml(108cells/ml接種)とCEZより3管ほど劣っていた。しかしグラム陰性押菌については106cells/ml接種の場合, E. coli0.05~0.1μg/ml, Klebsiella, P. mirabilisおよびP. vulgaris≦0.025μg/ml, S. marcescens0.05~0.1μg/mlとCEZ, CET, AMK, GMに比べはるかに優れた成績を示した。P. aeruginosaでは, 25~50μg/mlにピークを示し, GMおよびAMKより3~4管劣っていた。
    母体に1g one shot静注した時の臍帯血消中濃度は投与後1時間10分後にピーク値20μg/ml, 羊水中濃度は投与後2時間35分後に5.8μg/mlのピークを示した。また新生児血中濃度は分娩後3時間で0.78~2.0μg/mlであり, 24時間後には消失した。母乳中移行け, 投与3時間後に平均0.39μg/mlを認め, 6時間後には1例を除き測定限界以下であった。
    臨床成績では, 婦人科領域の感染症4例, 子宮頸癌術後尿路感染症5例の計9例にCeftizoxime 1回1gまたは2gを1日2回静注または点滴静注した。成積は著効2例, 有効7例と, 全例有効てあった。副作用は1例も認めず, 臨床検査において軽度のGPT上昇を1例に認めただけであった。
  • 岡田 悦子, 川田 昭徳, 白河 尚子
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 874-887
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 分娩中の産婦にCeftizoximelgをone shotで静注して, 母体血, 羊水および膀帯血の濃度変化を迫及した。その結果, まず母体血清中濃度は, 投与後1時間で平均24.4μg/ml, 2時間で14.8μg/ml, 3時間で7.4μg/ml, 4時間で3.6μg/ml, 7時間で0.4μg/mlと漸減したが, これに対し胎児血濃度は投与後1時間で平均12.4μg/ml, 2時間で10.2μg/ml, 3時間で10.7μg/ml, 4時間で5.8μg/ml, 8時間で1.5μg/mlと, 母体投与後1~2時間で平衡となり, それ以後は母体血より高濃度であることが観察された。
    2. 母体投与後の羊水中濃度は投与後1時間で平均7.3μg/ml, 2時間商で13, 2μg/ml, 3時聞で20.3μg/ml, 4時間で18.0μg/ml, 5時間で19.5μg/ml, 7時間で14.4μg/mlと緩徐に上昇した後は高濃度が長時間維持され, 母体に対して薬剤のreservoirとして働いていることが観察された。したがって羊水感染の場合, 母体に1gのCeftizoximeをone shotで静注しても有効濃度が投与後8時間以上維持されることが判明した。
    3. 17例の骨盤死腔炎, 子宮旁組織炎, 子宮附属器炎, 子宮内感染など産婦人科領域の感染症に, Ceftizoximeを1日2~4g, 5~10日間投与して臨床効果を追及した。その結果, 有効率は88.2%であり, Ceftizoxitne投与によると思われる副作用はみとめられなかった。
    4. これら17例の感染症から25株の病原菌が分離されたが, そのうち13株はE. coliであった。これらに対してMICを測定した結果, 接種菌量が108/mlでは10株が0.2μg/ml以下, 全部が1.56μg/ml以下であり, 接種菌量が106/mlでは全株が0.1μg/ml以下のMICを示し, 他のCefotiam, Cefmetazole, Cefamand fle, CEZなどと比較してはるかに高い薬剤感受性が観察された。またK. pneumoniae, Hafnia alvei, P. morganii, S. aureus, Streptececcus spp.にも高い感受性が観察され, Ceftizoximeは細菌学的にも有効なcephalosperin剤と考えられた。
  • 本村 龍太郎, 河野 通久, 森 広康, 山辺 徹
    1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 888-899
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    私どもは産婦人科領域におけるCeftizoximeに関する基礎的ならびに臨床的検討を行ない, 次のような結果を得た。
    1. 抗菌力: 羊水中分離菌であるグラム陰性桿菌14株およびグラム陽性球菌8株に対するCeftizoximeの発育阻止串は, Streptococcus faeealisを除けば, 12.5μg/mlで100%であった。
    2. 妊産婦における体液内濃度分布3妊婦 (21例) および褥婦 (2例) にCeftizoxime 1g静注投与後の体液内濃度分布は次のとおりであった。
    1) 母体血清中濃度110分後の症例で107μg/mlと最高値がみられ, その後急速に減少したが, 9時間52分後の症例でも濃度の測定は可能であった。
    2) 臍帯血清中濃度: 22分後の症例で29.9μg/mlと最高値がみられ, その後ゆるやかに減少した, 経胎盤 (胎児) 移行率は母体血清中濃度の約28%であった。
    3) 羊水中濃度: 2時間7分後の症例で13.7μg/mlと最高値を示し, その後きわめてゆるやかに減少し, 26時間30分後の症例でも濃度の測定は可能であった。
    4) 乳汁中濃度: わずか (0.31~0.43μg/ml) の移行がみられた。
    3. 骨盤死腔浸出液中濃度: Ceftizoxime 2g静注投与後, 4~6時間後に24.0~33.1μg/mlと最高値がみられ, ゆるやかに減少した。骨盤死腔浸出液中への移行率は血清中濃度の約34~50%であった。
    4. 性器組織内濃度: 付属器では2時間10分後の症例で, 卵巣35.0μg/gおよび投与20分後卵管32.9μg/gと最高値を示した。また, 子宮では20分後の症例で, 子宮頸管100μg/g, 子宮筋層66.5μg/gおよび子宮外膜54.5μg/g, 2時間10分後に子宮内膜で19.0μg/gとそれぞれ最高値を示した。
    5. 臨床成績: 有効率は外性器感染症100% (著効1例, 有効1例), 内性器感染症100% (著効3例, 有効2例) および骨盤内感染症100% (有効3例) で, 全体としての有効率は100% (著効4例, 有効6例) であった。
    6. 細菌学的効果: 検討し得た9例では菌消失55.6% (5例), 菌減少33.3% (3例) および菌交代11.1% (1例) であった。したがって, 細菌学的有効率は88.9% (8例) であった。
    7. 本剤にもとづく副作用はとくに認められなかった。
feedback
Top