日本救急医学会雑誌
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17 巻, 10 号
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  • 中井 大輔, 沼崎 伸, 勝村 哲, 田丸 智彦, 杉山 貢, 中村 潤一郎, 齋藤 知行
    2006 年 17 巻 10 号 p. 707-711
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は仙骨骨折の骨折型・転位の程度と神経損傷の相関について調査し,治療法について言及することである。2002年10月~2005年2月に当センターを受診した他の脊椎・頭部外傷を合併しない仙骨骨折症例のうち,受診時に骨盤CTを撮影した12例15側(男6例,女6例)を対象とした。右側1例,左側8例,両側3例であった。受傷時平均年齢は39.9±17.4歳(17-67)であった。仙骨骨折の評価方法は神経損傷の有無により分け,全例をAO分類,Denis分類の骨折型に分類し,単純CTを用いた骨折転位の計測を行った。CTは損傷されやすい第1仙骨神経孔を横断するスライスを評価対象とした。神経損傷を認めた5例7側の骨折型は,骨盤骨折AO分類ではType B (7例)の1例,Type C (5例)の4例であった。仙骨骨折Denis分類ではzone 2 (12側)の6側,zone 3 (1側)の1側であった。仙骨骨折転位と神経損傷の相関については,転位は大きなものほど神経損傷を認めた。仙腸関節前縁の転位を横方向と前方向に分けると,横方向(圧迫もしくは開大)・前方向いずれでも3mm以上の転位があれば有意に神経損傷の発症が多かった。救急医療現場で意識障害患者に対して,徒手筋力テストなど理学所見や膀胱直腸障害の評価は困難である。そのような場合に本法は神経損傷を予測する因子や仙骨骨折整復の目安としては十分に有用である。
  • 大日 康史, 川口 行彦, 菅原 民枝, 奥村 徹, 谷口 清州, 岡部 信彦
    2006 年 17 巻 10 号 p. 712-720
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:バイオテロを含む異常な流行を早期探知するための症候群サーベイランスの候補の一つとして救急車搬送数に着目し,その統計学的な性質を明らかにする。材料と方法:東京消防庁が保有する1995年1月1日から2004年12月31日までの救急車搬送数のデータの内,主訴が発熱であった救急車搬送数を対象とする。異常な救急車搬送数の増加の探知は,前半の5年間をベースライン推定のためだけに用い,後半の5年間を前方視的に解析する。異常な救急車搬送数の増加の探知は,実際の救急車搬送数がベースラインよりも残差の標準偏差の3倍以上を上回った場合と定義する。感度・特異度は,前方視的に分析された5年間で,異常な救急車搬送数の増加が探知されていない日を対象に人為的に救急車搬送数を増加させ,それが探知されたかどうかで判断する。結果:ある行政区域に限定すれば平均的には1.1%,つまり年4回程度で流行が探知されたが,東京都全体では39.7%,つまり2.5日に一回異常な救急車搬送数の増加が探知された。特異度は都全体,あるいは23区では非常に高く,追加的な救急車搬送数が1名であれば90%を越えている。感度も高く都全体では異常な救急車搬送数の増加の規模が5人であっても73%の確率で探知できる。考察:以上の成績からこのシステムの異常な救急車搬送数の増加を探知する能力は優れていると判断される。したがって,その正確性を増し,また感度を落とさず特異度を上げるためには他の側面をモニターしている症候群サーベイランスとの比較が必要不可欠であると考えられる。救急車搬送の情報は既に電子的に記録されるシステムが確立しており,それを本稿のような形で解析評価すれば,世界最大の人口を対象とする症候群サーベイランスとなる。その実用性も極めて高いので,早急に東京都のバイオテロ対策として,位置づけられ,活用されることが望まれる。
  • 大塚 尚実, 山本 修司, 一瀬 廣道, 佐藤 紀, 和田 浩輔, 本間 広則, 水口 亜紀
    2006 年 17 巻 10 号 p. 721-728
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    北海道・十勝医療圏における過去4年間(平成13年1月~平成16年12月)の院外心停止症例について,ウツタイン様式に基づいて解析・検討した。4年間に圏内で発生した院外心停止症例の総数は952例で,そのうちウツタイン様式で患者情報を収集できたのは757例であった。757例中,心原性心停止,非心原性心停止,外因性心停止の数はそれぞれ400例(52.8%), 127例(16.8%), 230例(30.4%)で,心原性心停止の割合は国内他報告と同様であった。目撃された心原性心停止は165例で,社会復帰できたのは4例(2.4%)であった。初回心電図が心室細動であった症例は43例(5.7%)で,その割合は国内他報告と同等であるが,海外の報告と比較すると低い値であった。十勝医療圏における課題として,初回心電図が心室細動である症例がこの4年間で増えていないこと,医療圏面積が広いため,国内他地域の報告と比較して覚知~救急隊現着(平均8分)や病院搬送(平均27分)に時間がかかること,bystander CPR施行率が32.1%と低いこと,救急救命士の特定行為指示要請体制の整備不足などが示唆された。社会復帰率を向上させるために,これらの課題を改善していく必要があると思われた。
  • 2006 年 17 巻 10 号 p. 729-779
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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