日本応用動物昆虫学会誌
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28 巻, 3 号
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  • 安田 慶次, 法橋 信彦, 坂本 守章
    1984 年 28 巻 3 号 p. 113-117
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    4種の有機リン系殺虫剤,プロチオホス,イソキサチオン,MPPおよびMEPを用いて,サトウキビの薬剤浸漬苗に対するハリガネムシの食害防止効果をポット試験と圃場試験によって検討した。各薬剤の1/1,000水溶液に1時間浸漬した場合,薬剤によって苗の芽の死亡率はさまざまな程度に減少したが,ハリガネムシの生存率には有意な影響はみられなかった。1/1,000水溶液に12時間浸漬した場合,すべての薬剤で芽の死亡率とハリガネムシの生存率が効果的に減少した。イソキサチオンは芽の食害率を5∼10%の許容範囲以下に維持する上で最も効果的であった。浸漬法で現在行われているエチルチオメトン5%粒剤の6∼9kg/10aの植溝処理にくらべて,少量の薬剤使用で効果的であり,土壌中の殺虫剤蓄積を軽減させると思われる。
  • 野口 浩
    1984 年 28 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) チャノコカクモンハマキの交尾行動は低温側では12∼13°Cであり,低温による交尾行動の抑制は雄が強く受けた。
    2) 15∼30°C間における交尾時刻は温度が高いほど遅延した。とくに雌のコーリング行動は温度が高くなるほど開始時刻が遅れた。
    3) 交尾時刻付近での温度降下は交尾行動を促進し,逆に温度の上昇は交尾行動の一時中断をもたらした。温度の上昇による交尾抑制は雄よりも雌に顕著に現われた。
    4) 自然条件下における交尾時刻の決定には日長よりも温度が強く影響しており,5月下旬(春)と10月中旬(秋)での交尾時間帯の温度が15°Cという同じ条件下では交尾までの日没後経過時間が日長に関係なく両者ともに一致した。また7月下旬(夏)の温度が高い季節での交尾時刻は春,秋より約2時間遅く,日の出時刻となった。自然条件下での交尾時刻は夏季を除いて室内試験の結果と一致した。
  • 中尾 弘志
    1984 年 28 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    北海道では,毎年約5%のダイズがハトによる被害を受けた。ダイズの栽培面積と被害面積率との間には負の相関(r=-0.256*, n=91)が,被害面積率とダイズ食害率との間には正の相関(r=0.390***, n=91)が認められた。加害の主体はキジバトであった。
    播種時期別の被害調査(5∼6月)では,いずれも食害率が高かった。
    畑へのハトの飛来は早朝と夕刻に多かった。
    キジバト,ドバトとも主として植物質を餌とし,ダイズ,アズキ,コムギ,トウモロコシ,イネなどの農作物を多くとっていた。コムギは利用可能な期間が7∼9月と長く,栽培面積が急増しているために,餌としての重要性が高くなってきたと考えられる。
  • 宮原 義雄
    1984 年 28 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    盛岡産アワノメイガを用い,人工飼料による飼育を実施中,飼育容器からの羽化虫のすべて,または,ほとんどが雌である異常性比現象がみられた。
    そこで,盛岡以外の産地について調べたところ,鳥取県大栄町個体群でも同様の現象がみられた。しかし,福島県郡山市および青森県黒石市の個体群は正常性比とみられた。北海道札幌個体群は異常性比の疑いが残り,なお検討を要する。
    このような雌への偏りは幼虫期における雄の死亡に起因した。また,異常性比個体群では卵の孵化率が著しく悪く,卵期の死亡による可能性も残される。異常性比群の雌の発育速度は正常群のそれと変わらず,蛹重はやや軽いと考えられた。
  • 後藤 哲雄
    1984 年 28 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ブナ科樹木に寄生するトドマツノハダニの生活環を明らかにする目的で,クリに寄生する個体群を中心に調査した。
    1) クリ寄生のクリ個体群は,5月下旬から10月上旬まで活動し,この間に4∼5世代を経過したと推定された。
    2) クリ個体群の個体数は,2山型の変動を示した。天敵の発生は,きわめて少なかった。
    3) 18°Cにおけるクリ個体群の光周反応は,長日型であり,臨界日長は13.5hrと14.0hrの間にあった。休眠誘起時期は8月中旬であり,臨界日長で予測される時期より1∼2旬早かった。この原因を,本種の生活様式に関係した葉の局所的劣化に起因するという視点で考察した。
    4) ミズナラ寄生のミズナラ個体群において,産付された休眠卵は8月下旬から10月下旬の間に46%が死亡し,冬季間の消失率14.2%の3倍以上であった。
    5) クリ個体群の休眠は,4月中旬から急速に消去し始め,休眠消去時期は4月下旬であった。休眠卵の孵化率は,85∼90%であった。
  • とくにアリエステラーゼの役割
    浜 弘司
    1984 年 28 巻 3 号 p. 143-149
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 薬物酸化酵素阻害剤の前処理はN, N'79抵抗性系統のfenitrothionとdiazinon抵抗性レベルを低下させ,エステラーゼ阻害剤はそれらとそれらのオキソ体抵抗性レベルを低下させたが,その作用はfenitroxon, diazinonおよびdiazoxonとIBPの組合せで顕著であった。
    2) アリエステラーゼ活性は抵抗性系統のほうが感受性系統より数倍高く,低濃度のIBPによって阻害された。
    3) グルタチオンS-トランスフェラーゼ活性は系統間で大差なく,IBPにほとんど阻害されなかった。
    4) 抵抗性系統より部分精製したアリエステラーゼのfenitrothion, diazinonおよびそれらオキソ体に対する分解活性は確認されず,アリエステラーゼ活性は低濃度のfenitroxonやdiazoxonで阻害された。
    5) diazoxonによるAChE活性阻害に及ぼすアリエステラーゼの影響をin vitroで調べたところ,アリエステラーゼの添加によってdiazoxonによるAChE活性阻害度は低下し,アリエステラーゼが薬物結合タンパク質としてAChEを保護していることが示唆された。
    本研究とAChEに関する既報の研究から,ツマグロヨコバイのfenitrothion抵抗性には変異型AChE,アリエステラーゼ,薬物酸化酵素の3因子が,diazinon抵抗性にはアリエステラーゼと薬物酸化酵素の2因子が関与し,これら複数因子の相互作用によって高度の抵抗性を生じるものと結論された。
  • 根本 久, 桐谷 圭治, 小野 久和
    1984 年 28 巻 3 号 p. 150-155
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    (1)幼虫を0, 10, 50, 100, 500, 1,000, 5,000,および10,000ppmの8段階濃度のメソミル溶液に浸漬処理したところ,10および100ppm区でそれぞれ1.3倍および1.5倍と無処理区よりも有意に産卵数が増加した。
    (2) 蛹を0, 10, 50, 100および500ppmの5通りのメソミル溶液に虫体浸漬した。供試蛹はすべて5.5∼6.5mgのものに限った。その結果,無処理と比較して産卵数および受精率の増加,さらに,成虫生存期間の短縮などが認められた。1日当り1雌当りの産卵数および受精卵数は増加した。こうしたことから内的自然増加率(r)や1か月後の期間増殖率(λ)の値は大きくなり,たとえば10ppmでは無処理と比較して,それぞれ1.13倍および2.03倍となった。
  • 杉江 元, 玉木 佳男, 白崎 将瑛, 北村 泰三
    1984 年 28 巻 3 号 p. 156-160
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    リンゴコカクモンハマキ処女雌抽出物からその性フェロモンを誘引性を指標とする生物検定法により再検討した。すでに性フェロモン成分として報告されている(Z)-9-および(Z)-11-tetradecenyl acetate以外に誘引性に関与する成分は検出されなかった。また野外条件下でこの2成分混合物は処女雌に匹敵する誘引性を示した。抽出物から検出された(E)-11-teradecenyl acetate, (Z)-11-hexadecenyl acetate,ヨーロッパ亜種の性フェロモン成分として報告されている(Z)-9-および(Z)-11-tetradecenolそして,チャノコカクモンハマキに含まれる10-methyldodecyl acetateと(Z)-9-dodecenyl acetateのいずれにも誘引性に影響を与えるものはなかった。しかし,(E)-9-tetradecenyl acetateが2成分混合物の0.3%以上の濃度で含む場合強い誘引阻害性を示したところから,(Z)-9-tetradecenyl acetateの純度の高いことが,リンゴコカクモンハマキの強い誘引性のために必要であることが明らかとなった。
  • 玉木 佳男, 杉江 元, 平野 千里
    1984 年 28 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    During the initial stage of sex pheromone isolation in the smaller tea tortrix moth (Adoxophyes sp.), a particular fraction of Florisil column chromatography was found to be attractive for female moths of this species under field conditions. The active principle of this fraction was the acetic acid used as an ingredient of the chromatographic solvent. Subsequent field screening of 23 volatile acids revealed that acrylic, methacrylic, and propanoic acids are attractive for the female moths, though their potency was about one tenth of that of 20 virgin females attractive for males. Time of female trapping with acrylic acid traps coincided with the time of female trapping by a light trap. Almost all the female caught by the acrylic acid traps carried at least one spermatophore. EAG response of female moths to acrylic acid was weaker than that of males. No appreciable amounts of acetic, propanoic, acrylic, and methacrylic acids were detected in the volatile substances collected on Porapak R from fresh tea leaves.
  • II. 繭の形成,とくに褐色条斑の発現について
    石井 象二郎
    1984 年 28 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イラガMonema (Cnidocampa) flavescensの繭には長軸に沿って特徴のある数本の濃褐色条斑が走っているものが多い。この条斑は繭ごとに違い,その成因や意義はまったくわかっていない。本研究では野外の繭を採集し,条斑を調べると同時に,一定条件下で繭をつくらせ,条斑の現われかたを調べた。また,営繭を経時的に観察し,条斑の現われる過程を調べた。これらの結果から条斑の成因を次のように考察した。
    1) 成熟した幼虫と,その幼虫がつくった繭とを比較すると,繭は幼虫に比べて著しく小さい。幼虫は繭の中で繭の長軸に沿って体を背面に折り曲げた姿勢で繭をつくる。
    2) 幼虫はまず絹糸で粗繭をつくり,その中で肛門から白色泥状液を,口から淡褐色液を排出し,それらは繭内で幼虫が移動しながら内壁に塗りつけられる。
    3) 幼虫の亜背線および気門上線には肉角が並び,特定の節の肉角はとくに大きい。営繭中の幼虫は,繭内でその腹面と特定の肉角とが繭の内壁と強く接触することになる。その結果,内壁と強く接触した部位には白色泥状物が付着せず,口からの淡褐色液が直接塗りつけられるため,褐色条斑となる。
    4) 条斑は繭内での幼虫の位置,動作によってそのパターンが違ってくる。条斑はランダムに形成されると考えられるので,その模様には生物学的な意義は少ないであろう。
  • 杉江 元, 川崎 建次郎, 玉木 佳男, 佐藤 力郎, 柳沼 薫
    1984 年 28 巻 3 号 p. 174-175
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Conditions to introduce volatile substances into a capillary column from a Tenax-GC cartridge after heat desorption were examined. The volatile substances from a virgin female of the peach leafminer moth, Carposina niponensis, could be collected using a Tenax-GC cartridge and analyzed. Also aerial pheromone concentration of pheromone-treated spaces could be calculated.
  • 浜 弘司
    1984 年 28 巻 3 号 p. 176-179
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 清光
    1984 年 28 巻 3 号 p. 179-180
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • IV. ビニルハウス栽培のナスにおける発生分布
    北村 實彬, 河合 章
    1984 年 28 巻 3 号 p. 181-183
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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