1) 薬物酸化酵素阻害剤の前処理はN, N'79抵抗性系統のfenitrothionとdiazinon抵抗性レベルを低下させ,エステラーゼ阻害剤はそれらとそれらのオキソ体抵抗性レベルを低下させたが,その作用はfenitroxon, diazinonおよびdiazoxonとIBPの組合せで顕著であった。
2) アリエステラーゼ活性は抵抗性系統のほうが感受性系統より数倍高く,低濃度のIBPによって阻害された。
3) グルタチオン
S-トランスフェラーゼ活性は系統間で大差なく,IBPにほとんど阻害されなかった。
4) 抵抗性系統より部分精製したアリエステラーゼのfenitrothion, diazinonおよびそれらオキソ体に対する分解活性は確認されず,アリエステラーゼ活性は低濃度のfenitroxonやdiazoxonで阻害された。
5) diazoxonによるAChE活性阻害に及ぼすアリエステラーゼの影響を
in vitroで調べたところ,アリエステラーゼの添加によってdiazoxonによるAChE活性阻害度は低下し,アリエステラーゼが薬物結合タンパク質としてAChEを保護していることが示唆された。
本研究とAChEに関する既報の研究から,ツマグロヨコバイのfenitrothion抵抗性には変異型AChE,アリエステラーゼ,薬物酸化酵素の3因子が,diazinon抵抗性にはアリエステラーゼと薬物酸化酵素の2因子が関与し,これら複数因子の相互作用によって高度の抵抗性を生じるものと結論された。
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