日本応用動物昆虫学会誌
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36 巻, 3 号
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  • 神田 健一, 平井 剛夫, 高橋 喬一, 小林 仁, 大友 一博
    1992 年 36 巻 3 号 p. 153-157
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    冬作イネ科牧草圃場での有底プラウを用いた耕起によるムギダニの防除について調べた。
    1) ムギダニの卵の地中での垂直分布は耕起法によって異なり,ロータリ耕では地表下10cm以内に浅く分布したのに対して,プラウ・ロータリ耕では15cm以下の比較的深いところに分布した。
    2) 異なる深さに埋めた卵から地表に現れたムギダニ数は浅いところほど多く,深くなるにつれて減少した。
    3) プラウにより耕起した圃場のムギダニ発生数はロータリにより耕起した圃場の11.1∼34.7%であった。
    4) 以上から,プラウ耕はロータリ耕よりもムギダニの卵を地中深く埋没させ,地表に現れるムギダニ数を減少させることが可能である。ムギダニが異常発生した時点で耕起することは困難であるため,この耕種的防除法は春の収穫後あるいは秋の播種前に行い,発生を未然に防ぐ予防的な方法である。
  • I. 摂食活動および産卵活動の季節的変化
    井上 大成
    1992 年 36 巻 3 号 p. 159-168
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    テントウノミハムシ成虫の摂食および産卵活動の季節変化を実験的に調査し,その季節適応機構について考察した。
    1) 羽化直後の成虫は非常に旺盛な摂食活動を行った。摂食量は盛夏には激減し,秋に再び増加した。越冬した成虫は,春には旺盛に摂食したが,初夏∼盛夏にはほとんど摂食せず,秋にはまた摂食量が増加した。
    2) 野外条件では3月中・下旬∼5月中旬ごろまでの約2か月間産卵した。
    3) 羽化直後から秋までの新成虫は,新芽を与えても産卵しなかった。晩秋∼1月ごろの成虫を加温すると,長日では産卵したが,短日ではほとんど産卵しなかった。しかし3月になると短日でも産卵するようになった。
    4) 夏まで生き残った越冬成虫は,長日および短日の恒温条件では産卵しなかった。野外では年内は産卵しなかったが,二度目の冬を越すと再び産卵するようになった。
    5) 成虫は新芽だけでなく,成熟葉にもある程度産卵した。
    6) 以上の結果から,成虫は夏休眠と冬休眠の2種の休眠を行っており,日長の季節変化と密接に結びついた産卵調節機構は,春にしか新芽が萌芽しない冷温帯の落葉性寄主植物に対して獲得された適応機構であると考察された。
  • 山崎 晋
    1992 年 36 巻 3 号 p. 169-175
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アオオサムシ(Carabus insulicola insulicola)を卵期から3齢脱皮まで,T28, T24, T21, LLの4種の光周条件下でそれぞれ飼育し,続く3齢幼虫期の活動リズムを記録・解析した。
    T24とT21にはすべての個体が同調したが,T28にはすべての個体が同調できなかった。同調様式は,夜行性と昼行性の中間的な特異的活動パターンを示した。T24区では,暗期開始2.6時間から活動を開始し,その活動が明期開始後4.5時間まで続いた。T21区では同様に消灯後4.0時間から点灯後7.0時間まで活動がみられた。両光周条件下において活動時間(α)の暗期中の活動量は低く,間欠的であるのに対し,明期中の活動量は高く,連続的であった。明暗サイクルと活動位相との位相角関係は,環境周期(T)に依存した一定の関係を示し,Tが長くなると前進した。
    同調しなかったT28区では,半数の個体が26.6h(平均)の周期を示した。この場合,αと明期が一致している間は活動量は増加した。残りの半数では,リズムは不明瞭であった。
    T21で飼育した3齢幼虫の自由継続周期(τ)は,T24で飼育した幼虫に比べ約1時間短くなった。しかしT28で飼育した幼虫は,T24と有意な差がなかった。
  • 小山 健二
    1992 年 36 巻 3 号 p. 177-181
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    セジロウンカの幼虫発育に不可欠なアミノ酸を知るために,ふ化直後から幼虫をアミノ酸各1種類を除去した人工飼料で飼育したところ,アラニン,アミノ-n酪酸,アルギニン,アスパラギン,アスパラギン酸,システイン,シスチン,グルタミン酸,グルタミン,グリシン,ヒスチジン,ホモゼリン,イソロイシン,ロイシン,リジン,メチオニン,フェニルアラニン,プロリン,セリン,スレオニン,トリプトファン,チロシンおよびバリンのいずれのアミノ酸を欠いた飼料でもセジロウンカ幼虫は成虫まで発育した。したがって,セジロウンカの幼虫発育には個別除去実験による限り不可欠なアミノ酸はないといえる。しかし,システインおよびメチオニンを欠く飼料では幼虫発育が遅延した。また,システインとシステインの酸化型であるシスチンを同時に欠く飼料では,1種類ずつ欠く飼料に比べて幼虫発育が大幅に遅延した。
  • 西東 力, 大石 剛裕, 池田 二三高, 沢木 忠雄
    1992 年 36 巻 3 号 p. 183-191
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1990年6月ごろから,静岡県をはじめ各地で殺虫剤抵抗性の疑われるマメハモグリバエLiriomyza trifolii (BURGESS)が大発生し,各種農作物に大きな被害を与えている。ここでは,本種の防除剤を選抜する目的で,各種殺虫剤の効力を調べた。
    1) 本種は各種殺虫剤に対して感受性がきわめて低いことが明らかになった。
    2) 散布剤のなかで幼虫に対して高い殺虫力を示したのは,isoxathion, thiocyclam, cartap, cyromazineおよびflufenoxuronの5剤で,その処理3日後におけるLC50値は,それぞれ33, 72, 236, 4.8, 103ppmであった。CyromazineとflufenoxuronのLC50値は,処理8日後にそれぞれ3.0, 2.8ppmに低下した。
    3) 粒剤ではcartapおよびacephateが幼虫に対して高い殺虫力を示した。
    4) 前蛹(老熟幼虫)に対する殺虫力は,isoxathion, cyromazine, cartapおよびthiocyclamが高かった。
    5) 成虫に対する殺虫力は,thiocyclam, cartapおよびethofenproxが高かった。
    6) Flufenoxuronとcyromazineは成虫に対する殺虫力をまったく示さなかったが,強い不妊作用を有していた。
    7) 以上の結果から,散布剤ではisoxathion, thiocyclam, cartap, flufenoxuronおよびcyromazine,粒剤ではcartapとacephateが本種の防除剤として有望と考えられた。
  • 宮園 稔, 山本 牧子, 大羽 克明, 腰原 達雄, 石黒 丈雄, 林 幸之
    1992 年 36 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The artificial diet and rearing method for diamondback moth, Plutella xylostella has been improved. A diet containing chopped fresh cabbage leaves supported uniform larval size and more than 90% of larvae became adults. The rearing process reduced labor for collection of eggs and pupae.
  • 網かけ処理によるモデル実験
    宮ノ下 明大, 河合 省三
    1992 年 36 巻 3 号 p. 196-199
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The survival rate of Ceroplastes japonicus GREEN on Euonymus japonicus THUNB. was compared between two groups of test plants; one group was isolated from natural enemies by cages covered with 1-mm mesh net, and another group without cages was the control. Females of C. japonicus survived much more on test plants with cages than on controls. Active predation by larvae of Mallada boninensis (OKAMOTO) was observed from July to August on test plants without cages, but no other predators were observed. Although larvae of M. boninensis are not known to be predators of C. japonicus, it is suggested that predation by this species is a major mortality factor of C. japonicus in summer. In September and October, a large number of C. japonicus adult females moved from leaves to stems, which resulted in a decrease in the population. The main mortality factor in autumn may be failure to resettle the new infestation site.
  • 安藤 信哉, 渡辺 守
    1992 年 36 巻 3 号 p. 200-201
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The mating frequency of wild females of Pieris canidia indica was examined by dissection of the bursa copulatrix. Most females of age class 0 had at least one spermatophore, suggesting that they mated soon after eclosion. Aged females were observed to have two or more spermatophores. The volume of the bursa copulatrix increased when the female mated. Virgin females carry about 300 immature eggs. Older females have about 100 immature eggs, so at least 200 mature eggs are thought to be deposited throughout the female life span.
  • 蔵本 博久, 島津 光明
    1992 年 36 巻 3 号 p. 202-203
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The pathogenicity of four isolates of entomogenous fungi of the housefly, Musca domestica was investigated to screen effective controls for flies in poultry houses. Adults of M. domestica were dipped into conidial suspensions of Beauveria bassiana from M. domestica, Metarhizium anisopliae from Anomala cuprea, and two isolates of Paecilomyces fumosoroseus from Epinotia granitalis. All the suspensions and isolates infected M. domestica but B. bassiana showed pathogenicity, and seems to be a promising control for the housefly.
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