日本応用動物昆虫学会誌
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56 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
原著
  • 岩田 淳, 坂本 えみ子
    原稿種別: 原著
    2012 年 56 巻 3 号 p. 89-94
    発行日: 2012/08/25
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    ネオニコチノイド系殺虫剤の一種であるクロチアニジンについてドウガネブイブイAnomala cuprea (Hope)に対する作用特性を検討した.土壌中のクロチアニジンのドウガネブイブイ幼虫に対する殺虫効果,食害抑制効果,発育抑制効果および行動抑制効果を室内試験にて検討した.ドウガネブイブイ幼虫に対する殺虫効果は齢期により大きく変動し,LC50は1齢幼虫で0.0075 mg a.i./kg soil,2齢幼虫で0.21 mg a.i./kg soilであった.3齢幼虫に対する殺虫効果はさらに低下した.しかし,クロチアニジンを0.10 mg a.i./kg soilの濃度で3齢幼虫に施用した場合,殺虫効果は認められないものの,食害抑制効果と発育抑制効果が認められた.また,クロチアニジンを0.50 mg a.i./kg soilの濃度で含む土壌は3齢幼虫の行動を抑制することが明らかとなった.これらの結果は,クロチアニジンを用いた本種防除法を構築する上での基礎的知見になると考えられた.
  • 森島 正二, 福田 充, 和氣 貴光
    原稿種別: 原著
    2012 年 56 巻 3 号 p. 95-101
    発行日: 2012/08/25
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    ニラえそ条斑病の防除対策を確立するため,栃木県のニラ圃場におけるネギアザミウマの発生消長,IYSV媒介虫率および保毒虫率,ニラえそ条斑病発生状況を調査した.ネギアザミウマの発生消長は,6月中旬と8月中旬~9月上旬の2つのピークが認められ,6月中旬のピークの方が高かった.IYSV媒介虫率および保毒虫率は,同様に推移し,6月から顕著な増加が見られ,7月~10月にピークを持ち,12月~5月は低いレベルで推移した.一方,ニラえそ条斑病の発生は,ネギアザミウマが増加し,IYSV保毒虫率および媒介虫率が高まった後に確認された.本病の病斑は7月~10月の期間でのみ観察され,発病株の地上部を刈り取り後に再生した茎葉では認められなかった.また,ニラ育苗床において保毒虫が確認されたとともに,DAS-ELISAによって無病徴の葉からIYSVが検出され,感染が認められた.
    以上の結果から,栃木県のニラ栽培では,えそ条斑病の発生にはネギアザミウマの発生量と媒介虫率の上昇が大きく関与することが示唆され,本病の発生を抑制するためには,ネギアザミウマが増加する前の5月中旬までに防除を徹底することが重要であると考えられた.
  • 尹 丁梵, 野村 昌史, 石倉 聡
    原稿種別: 原著
    2012 年 56 巻 3 号 p. 103-110
    発行日: 2012/08/25
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    省電力,長寿命,水銀レスとして今後の夜間照明による防蛾への運用が期待されている黄色LED(Light Emitting Diode)を用いて,異なる波長(Ly-LED:中心発光波長570 nmで黄色蛍光灯と同様の広波長域を持つ一般照明用,Am-LED:中心発光波長595 nmの狭波長の特殊タイプ)と異なる照度(1.2 mW/m2,19 mW/m2および47 mW/m2)での夜間照射による,オオタバコガHelicoverpa armigera(Hübner)の暗期飛翔活性を比較検討した.その結果,全LED照射区において無処理と異なる飛翔活性がみられたことからLED夜間照射の波長および照度がオオタバコガの飛翔活性に影響を及ぼしていることが確認された.また,19 mW/m2のLy-LED照射区の飛翔活性が最も低く,無処理の飛翔活性ピークがみられた2~3日齢で飛翔が抑制されたことから,19 mW/m2のLy-LED照射は飛翔活動の抑制効果が最も高いと考えられた.この19 mW/m2のLy-LED照射により羽化1~5日齢で暗期開始からの摂食による飛翔活動が抑制された.暗期後半のコーリングまたは産卵行動に随伴する活発な飛翔活動は3日齢まで著しく抑制された.しかし,4~5日齢の暗期後半の飛翔活性が徐々に高まったことから,連日のLED夜間照射に対してオオタバコガはLED照明に「慣れ」現象が生じることが示唆された.
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