気象集誌. 第2輯
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42 巻, 3 号
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  • 相原 正彦
    1964 年 42 巻 3 号 p. 139-162
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    放射による非断熱作用および摩擦項により,大規模運動がどのような影響を受けるかを調べた。
    傾圧じょう乱の安定度,位相速度および垂直軸の傾斜などを複素係数をもつ2次の振動数方程式を解いて求めた。また,定常状態における物理量,とくに有限振幅波に対する運動エネルギー・スペクトルを求めて,解析の結果と比較した。中緯度のじょう乱についてはスペクトル強度と形は解析とよい一致を示している。
    ついで,定常状態に注目して,その安定性を非線型力学の方法を用いて調べた。Rossby regime内の波動について,定常状態に至るまでの過度現象を数値的に追跡した。それは減衰振動でほぼ近似され,周期は大気固有の状態量,傾圧じょう乱の性質などにより支配され,約10日~1月程斐である。
    終りに,Rossby rigime内の定常運動の1例につきenergy flow diagramを算出して数値実験の結果と比較したが,ほぼ満足すべき結果を示している。
  • 佐藤 隆夫
    1964 年 42 巻 3 号 p. 163-173
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    上空1kmをNo.1とし,500m上るごとにNo.を付け,38km上空をNo.75とする。各高さに原点をとり,太陽を通る垂直面と直角をなす面上において,この原点と地球中心を通る直線に対して角度θ1をなす直線を引き,それが地球表面または大気上界と交る点をT4としこれと原点T0の間の線分T0,T4を4等分する点をTl,T2,T3とし,以上の5点を一般にTnで表わす。各原点が各θ1において各Tnから受ける第1次散乱の波長別強度が極大となるようなTnの位置は次の法則に従う。
    1.各波長につき上空ほど,原点から遠くなる。
    2.各高さにつき長波長ほど,原点から遠くなる。
    3.各波長,各高さにつき,θ1が大きくなるほど,原点に近づく。
    4.太陽高度(h)大なるほど,原点から遠くなる。
    要するに,“ほど”の字の前の変数以外の変数を一定にした場合につき上記の法則が成立するという意味である。ここに波長としては地球大気外の太陽の全波長放射エネルギーを12等分するような波長域の平均透過率に応ずる波長λi(i=1~12)を用い,また,θ1の値としては,0°,30°,60°,65°,から5°おきに85°まで,(85+θ1')/2,θ1',(90°+θ1')/2,90°から5°おきに115°まで,120°,150°,180°,ただし(85◊+θ1')/2と(90°+θ1')/2はNo.47まで,No.48以上はそのかわりに(80+θ1')/2と87.5°を用いる。θ1'は各高さから地球表面への切線のθ1の値であり,No.47まではθ1'>85°,No.48以上はθ1'<85°.
    θ1=90°以上は,各高さ,各波長につき,極大のTnのnはゼロ,すなわち原点である。
  • シェル アーヴィング アイ
    1964 年 42 巻 3 号 p. 174-185
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    北海道網走における流氷初日は1月14日前後であるが,この過去の記録とオホーツク海北部の1月の平均気流との関係ならびに前年12月のシベリヤ北東部のこの気流の源流域における値との関係を調べた結果,過去60年の記録についてかなりの相関を見いだした。とくに気流の平均値からの偏差が標準偏差σの±0.8に等しいか,またはこれより大であるような場合にはより相関が密接であった。このことは北海道北部における流氷初日の予想を行なう際の一基準を与えるものである。北海道付近を通過する低気圧の頻度を検討した結果は,日本北部における1月および前年12月の気流と流氷初日との相関々係を支持した。
    流氷終日(平均4月22日)について同様の検討をした結果,4月の気流との間に良好な関係のあることを知った。しかし北部の3月における気流との関係はほとんど見あたらず,これはこの地域の春季の大気大循環が不連続的な変化をするためと考えられる。
    さらに日本北部における循環の様相を反映するものとして採用した網走における流氷初日は,北海道北部の2月の平均気温とかなり相関があることを示した。
  • 浅井 富雄
    1964 年 42 巻 3 号 p. 186-196
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    The photographic observation by aircraft was performed on 20 January 1963 as a part of research project of heavy snowfall in Hokuriku District where is located in the central part of the Japan Sea coastal region of the Japan Islands. The horizontal distribution and the topography of clouds over the Japan Sea near Hokuriku District were obtained bymaking use of the aerial photographs taken from the aircraft at about 8 kilometers level in the way based on the usual aerial photogrammetry.
    The cloud photographs show a characterisitic pattern changing from scattered cumulus clouds smaller than 1 kilometer in both horizontal and vertical dimensions in the west of the observation area to larger cumulus and cumulonimbus clouds reaching 3 kilometers level in the east where is covered with upper stratiform clouds. It is suggested that cumulus clouds seem to originate over the Japan Sea at least 200 to 300km off the coast of Hokuriku District and a fairly amount of snowmay be released efficiently just in Hokuriku District from the clouds containing sufficient water substance.
  • 正野 重方
    1964 年 42 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    In order to include the pressure effect in the concentration of any physical quantity, a potential quantity is defined. If A is a number in an appropriate unit in a unit volume of air and ν the volume of air of unit mass and the relation Aν=A0ν0 holds between two states, α=Ap-l000mb=AFx (P, Pd) is defined as a potential A, where P=1000mb. The functional form of Fx(P, Pd) is given to each process of change, α is conservative for the process. According to this definition, we can define various potential quantities, which are conservative for each assigned process.
    Potential concentration :ν=n(P/Pd)1/r, where n is the number of particles in a unit volume.
    Potential vapor amount : P=ρν(P/Pd)1/r, which is conservative for dry adiabatic change and is equal to ξdo, whereξis mixing ratio.
    Potential water content : W=(ρν+∑n (r) m (r)) Fx (P, Pd), where n (r) and m (r) are the number density and the mass of cloud droplet of radius r. If the process is dry adiabatic Fx(P, Pd)≈(P/Pd)1/r and if the process is moist (pseudo adiabatic and adiabatic), Fx (P, Pd)≈(P/Pd)1/rexp[(r-1)r-1LPd-1∑n(r)m(r)], where L is the latent heat of condensation.
  • 新田 尚
    1964 年 42 巻 3 号 p. 202-207
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    線型化された2層傾圧モデルを用いてプリミティブ方程式を満足する波動解を検討し,初期における波の振幅と,地衡風偏筒との関係をしらべた。結果は重力慣性波の振幅を減少させ,その発散を小さくするには,準地衡風近似の発散から求めた風の発散成分を初期の非発散成分につけ加えればよいことを示している。
    また,上記の結論を確認するために数値計算を行なつた。
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