1970年7月5日台風7002号により近幾地方にもたらされた降雨のcase studyを行った.解析に際しては,各地 (x,y)の実際の雨量R(x,y,t)は,もしも地形の影響が全くなかったなら降ったであろう雨量f(x,y,t)が各地特有の増巾係数k(x,y)による変形を受けて降ったものと仮定した;R(x,y,t)=k(x,y)×f(x,y,t).k(x,y)の値は地形及び一般風の風向•風速によると考えられる.R(x,y,t)の分布は近畿地方の地形にかなり依存した分布を示し,レーダーエコーの移動と良い対応を示さなかったのに対し,f(x,y,t)に近似的に比例すると考えられるh(x,y,t)の分布はレーダーエコーの移動と極めて良い対応をもって時間と共に移動することが分った.この解析により各地特有の降雨増巾係数k(x,y)の存在が確められたと云える.近畿地方のk(x,y)及びf(x,y,t)の分布の具体例を示す.
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