1995年4月から1997年2月にかけて実施されたGPS/MET(Global Positioning System/Meteorology)実験では、GPS衛星電波の掩蔽観測により、大量の高分解能大気温度プロファイルを得ている。本論文では、このデータを活用して赤道域での対流圏界面構造を調べた。まず、インドネシア付近でのGPS掩蔽法による温度プロファイルをバンドン(南緯6.9度、東経107.6度)及びポンチアナ(北緯0.03度、東経109.3度)でのラジオゾンデ観測と比較したところ、測定誤差は対流圏上部で約1K程度、下部成層圏で約2K程度と大変優れており、特に対流圏界面付近の急激な温度変動をも精度良く求められることがわかった。
インドネシア近傍で得られたGPS掩蔽データをもとに、対流圏付近の最低温度(
Tmin)と最低温度に対応する高度(
Hmin)の季節変化を求め、バンドンでのラジオゾンデ観測と比較したところ、両データとも、
Tminは8~9月にかけて最も高く、1月~4月に低くなる年周変化を示し、また
Hminは気
Tminと逆相関の年周変化を示した。GPS掩蔽データがグローバルに分布していることを利用して、赤道域での対流圏界面特性の経度変化を求めたところ、これまでに解析された客観解析データや気候学的結果と良く一致した。
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