気象集誌. 第2輯
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78 巻, 6 号
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  • 西田 真啓, 清水 厚, 津田 敏隆, Christian Rocken, Randolph H. Ware
    2000 年 78 巻 6 号 p. 691-700
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    1995年4月から1997年2月にかけて実施されたGPS/MET(Global Positioning System/Meteorology)実験では、GPS衛星電波の掩蔽観測により、大量の高分解能大気温度プロファイルを得ている。本論文では、このデータを活用して赤道域での対流圏界面構造を調べた。まず、インドネシア付近でのGPS掩蔽法による温度プロファイルをバンドン(南緯6.9度、東経107.6度)及びポンチアナ(北緯0.03度、東経109.3度)でのラジオゾンデ観測と比較したところ、測定誤差は対流圏上部で約1K程度、下部成層圏で約2K程度と大変優れており、特に対流圏界面付近の急激な温度変動をも精度良く求められることがわかった。
    インドネシア近傍で得られたGPS掩蔽データをもとに、対流圏付近の最低温度(Tmin)と最低温度に対応する高度(Hmin)の季節変化を求め、バンドンでのラジオゾンデ観測と比較したところ、両データとも、Tminは8~9月にかけて最も高く、1月~4月に低くなる年周変化を示し、またHminは気Tminと逆相関の年周変化を示した。GPS掩蔽データがグローバルに分布していることを利用して、赤道域での対流圏界面特性の経度変化を求めたところ、これまでに解析された客観解析データや気候学的結果と良く一致した。
  • D. R. Pattanaik, V. Satyan
    2000 年 78 巻 6 号 p. 701-717
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    インド夏季モンスーンの積雲対流パラメタリゼーションに対する感度を、COLA大気大循環モデルを用いて調べた。観測された海面水温を与えて、KuoとRelaxed Arakawa-Schubert(RAS)の2つの積雲対流方式を用いてそれぞれ9年間のシミュレーションを行った。力学場として風や速度ポテンシャルなどの場をNCEPの再解析値と比較した。また、降水は対応する観測と比較した。
    9年間の季節シミュレーションの結果は、2つの積雲対流方式の違いが、インド夏季モンスーン循環とその降水に大きなインパクトを持っていることを示した。大規模場の特徴はKuo方式に比べてRAS方式の方がより良く再現される。RAS方式はKuo方式に比べて、アラビア海上の下層の西風を強め、そこからインド中央部への水蒸気輸送を増す。ベンガル湾とアラビア海領域上の対流加熱は地上付近と上部対流圏を除いてRAS方式の方が大きい。そのRAS方式の場合、上部対流圏の対流加熱の極大値はベンガル湾の方が、アラビア海よりも大きい。RAS方式に比べて、Kuo方式では、チベット高気圧は弱く、東にシフトし、上層の熱帯東風ジェットも弱い。同様に、モンスーン循環の一部としての上部対流圏の発散外出流もKuo方式の方が明らかに弱い。両方式ともインドのモンスーンの降水について観測に非常に近い再現はできないが、ベンガル湾上や西海岸上の降水の極大はRAS方式の方がより良く再現する。これらの違いが2つの積雲パラメタリゼーションのクロージャーとフィードバックの違いに関連付けられる。また、シミュレートされた降水の時系列は、モンスーンの季節内変動の位相が季節進行に対して固定されている様子を示している。
  • 浅沼 順, Nelson L. Dias, William P. Kustas, Wilfried Brutsaert
    2000 年 78 巻 6 号 p. 719-730
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    米国オクラホマ州のリトル・ワシタ流域のなだらかでうねった地形上において、ラジオゾンデを用いて観測された中立条件下での風速と湿度の鉛直プロファイルの解析を行った。風速のプロファイルより、この流域の広域スケール(1から10kmスケール)での空力学的粗度z0とゼロ面変位d0を算定し、z0=0.45±0.21m,d0=8.9mを得た。風速に関する対数則の成立する範囲は、(38±43)z0≦(z-d0)≦(297±147)z0または(0.15±0.10)hiであることが示された。ここでhiは、逆転層の底面の高さである。この対数則成立範囲は、その下端に関しては既往の研究と一致が見られるが、上端に関しては、この流域においては、hiが上端のスケールとして適切であることを示唆している。また、風速と比湿の鉛直プロファイルを用いて計算した広域スケールの蒸発量は、地上でのボーエン比法による観測と一致を示し、地上100m付近までの中立条件下での接地層の鉛直プロファイルは、風上側のメソγスケールでの地表面状態の影響を受けているという考えを裏付けるものである。
  • 花輪 公雄, 安田 珠幾
    2000 年 78 巻 6 号 p. 731-751
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    北緯20度以北の北太平洋上の海上風(SSW)を、1899年から1995年までの97年間に対して海面気圧(SLP)(Trenberth's Corrected Yearly-Monthly Northern Hemisphere SLP、version 010.1)を用いて再現した。
    海上風の再現方法は、以下に述べるように純粋に経験的なものである。先ず、船舶に搭載された風速計高度は1980年代平均約35mであるので、統合海洋大気データセット(COADS)から求めた1980年代の月平均SSWを標準高度である10mに補正した。次に、1981-1990年の10年間の資料から月々の気候値をSSWとSLPに対して求め、さらにこの10年間の双方の月偏差を各月に対して計算した。次に、地衡風バランスを仮定して、SLP偏差から月平均地衡風(GW)偏差を計算した。これらをCOADSから求めた標準高度に補正された月平均SSW偏差と比較から、“直交”回帰分析法により縮小係数と補正角という2つの調節係数を各季節毎に同時に求めた。これらの調節係数をGW偏差に適用し、月平均SSW偏差を求めた。最後に実際の風速を、1981年から1990年までの10年間で求めた各月の気候値と、各月の偏差を加えることで求めた。COADSからの高度補正されたSSWを基準場とするとき、再現したSSWの2乗平均平方根誤差は、風速で1ms-1以内、2ms-1以上の風に対しての風向の誤差は15度以内と見積もられる。再現風とNCEP再解析SSWとの比較も行った。その結果、NCEP再解析SSWは、1950年から1995年までの比較期間全体を通して、系統的に約8%程度風速が強いことが分かった。
    冬季偏西風帯における再現されたSSWの大きさの時系列は、経年変動とともに約10年から数十年スケールの変動も示していた。例えば、1930年代半ばから1940年代半ば、偏西風が他の年代に比して著しく強いものであった。
  • 松島 大, 近藤 純正
    2000 年 78 巻 6 号 p. 753-763
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    数十km程度の水平スケールにおける顕熱フラックス分布を、衛星赤外データを用い、水田を対象として、その誤差とともに推定した。衛星赤外放射温度に3種類の補正(大気中の吸収物質、衛星の測定角、および地表面の射出率に関する補正)を施すことによって30分間平均値で二乗平均誤差(RMSE)が25Wm-2という一般的な観測誤差に対して十分小さい誤差で水田上の顕熱フラックスを推定できることが分かった。このうち特に測定角補正が重要であり、測定角補正を行わない場合のRMSEは46Wm-2になった。大気補正と射出率補正はLOWTRAN7にラジオゾンデによるデータを用いることで行われ、補正後の値を地上での観測値と比較したRMSEは1.0℃であった。測定角補正のパラメタリゼーションのためにTroufleau et al. (1997)の提案による経験的な線形式を用いた。この線形式のパラメータは広範囲の葉面積指数(0.01から5)に対して地上観測値に基づいて再決定された。このパラメタリゼーションによって、植生キャノピーの幾何学的構造に起因し、放射温度の測定角によって表れる植被面温度の誤差を十分に補正できることが分かった。しかし、このパラメタリゼーションも顕熱フラックスが大きいときにはその補正が十分ではない。これは植被面温度の誤差が植被面の放射温度と気温との差に対して非線形であることによる。
  • B. N. Goswami, Mann Anna Thomas
    2000 年 78 巻 6 号 p. 765-775
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    NCEP/NCARの再解析プロジェクトによる50年間(1949-98年)にわたる均質な高層データ、海面水温および海面気圧のデータを使用して、熱帯において卓越する10年と数10年、2つの変動の三次元構造を明らかにした。これらのグローバルな三次元モードによって、これまで地上データのみによって解明されてきた10年・数10年変動をより包括的に示すことができた。鉛直方向には、両モードともおおむね第一傾圧モード構造をもっている。数10年変動に伴うウオーカー循環は、東西方向に波数2の構造を示す。数10年変動に伴うハドレー循環とウオーカー循環の主要な上昇および下降運動の大きさは、年々変動と同程度である。これらの長周期変動に伴うグローバルな大気大循環によって、地域的な気候の年々変動が変調を受けるメカニズムを考察した。
  • 予報精度とAVN及びNOGAPS全球解析を用いた予報の比較
    Chun-Chieh Wu, Morris A. Bender, Yoshio Kurihara
    2000 年 78 巻 6 号 p. 777-788
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    GFDLにおいて開発されたハリケーンモデルをAVN及びNOGAPS全球解析のそれぞれと結合して、台風予報システムGFDSとGFDNがつくられた。GFDSシステムは、1995(1996)年に16(24)個の台風について、125(178)例の予報実験を行い、台風経路の予報で非常に良い成績を示した。12、24、36、48及び72時間後の予報位置の平均誤差は、1995(1996)年の場合、95(108)、146(178)、193(227)、249(280)及び465(480)kmである。CLIPER予報と比べると、約30%の精度向上となった。平均誤差と同時に誤差の標準偏差も減少したが、これは、低緯度では進路が北に偏る傾向があるものの、GFDSの予報精度と信頼度の高さを示すものである。一方、台風強度の予報は満足出来るものではなく、大西洋における誤差と同様に、弱い(強い)台風を実際よりも強く(弱く)予報し過ぎる傾向がみられた。
    1996年には二組の予報システム(GFDSとGFDN)で同時に予報が行われたので、二組の台風位置予報を比較した。台風の予報位置の誤差は、距離については両者は大体同程度であったが、それぞれの予報位置には、異なった方向に系統的に偏る傾向(系統的偏差、場所に依存する)が認められた。その結果、二つの予報の平均をとると、それぞれの予報にくらべて予報誤差が10%減少した。予報の向上は、それぞれの予報を系統的偏差で修正する補足実験でも認められた。系統的偏差は定常ではないが、それを熱帯低気圧の予報精度向上に役立てることができるかもしれない。
  • 重 尚一, 里村 雄彦
    2000 年 78 巻 6 号 p. 789-801
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    圧縮性方程式系を解く非静水圧モデルを用い、成長する対流セルに対する静止大気の重力波応答について調べた。(1)Kesslerの雲物理過程を導入した“湿潤”実験と(2)雲物理過程の代わりに加熱関数を導入した“乾燥”実験の2つに分類される一連の実験を行った。乾燥実験で用いられた加熱関数は、湿潤実験における対流セルの加熱に基づいて与えられている。
    下層に強い上昇流を持った浅い鉛直モードの擾乱が、成長段階後期の対流セル近くで励起されていることが示された。この浅い鉛直モードの擾乱は、対流セルの成長段階初期に増加し成長段階後期に減少する鉛直高波数の加熱強制に対する重力波応答と解釈できる。その励起には、加熱が鉛直方向に成長することと加熱の水平方向の幅の狭さが重要であり、成長する対流セルに特有な応答であることがわかる。
    浅い鉛直モードの擾乱の下層の上昇流は、正味で正の鉛直変位をもたらす。これは、対流セルが最大高度に成長した時に加熱が上層で大きくなるためである。古い対流近くでの新たな対流セルの誘起は、この正の鉛直変位によると考えられる。
  • 植田 宏昭, 松本 淳
    2000 年 78 巻 6 号 p. 803-818
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    1997年10月から12月にかけて赤道インド洋上の海面水温(SST)と対流活動に見られた顕著な東西非対称偏差の発生過程と強化メカニズムについて、NCEP/NCAR再解析データおよびTOPEX/POSEIDONから得られた海面高度データを用いて調べた。
    赤道インド洋上の卓越風向は東西で異なり、夏の西インド洋上では西風が卓越するのに対し、同時期の東インド洋上では東風が顕著である。1997年の夏はエル・ニーニョに伴う発散風の東風偏差が赤道インド洋上に出現し、気候学的な西インド洋の西風を弱める一方、東インド洋での東風を加速し、蒸発冷却と湧昇の変調を通して、引き続く秋に西高東低のSSTコントラストが生み出された。そのため1997年の10月から12月にかけて、対流活動は赤道インド洋上の西側で活発化していたが、東側では強く抑制されており、赤道インド洋全域では、通常卓越する西風に代わって顕著な東風が出現した。
    この東風は西向きの暖水ロスビー波を引き起こし、赤道西インド洋で1998年1月に見られたSSTの最大正偏差をもたらし、東西コントラストを強化したと考えられる。また東インド洋で1998年2月から6月にかけて生じたSSTの上昇は、東風偏差の終焉によって引き起こされた東向きの暖水ケルビン波の到着と一致している。
    このように、エル・ニーニョに伴う変調されたWalker循環と夏から秋にかけてのモンスーン循環との結合過程は、東西非対称偏差の出現において重要であり、海洋波動は非対称構造の強化と密接に結びついていることが明らかとなった。
  • 村田 昭彦, 上野 充
    2000 年 78 巻 6 号 p. 819-833
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    領域モデルを用いて、二種類の積雲対流のパラメタリゼーションが台風の強度に及ぼすインパクトを調べた。使用した積雲対流のパラメタリゼーションは湿潤対流調節と荒川-シューバートスキームである。事例として台風Flo(T9019)を用いた。
    台風のコア領域(中心から半径250km以内)で平均した海面気圧は、湿潤対流調節と荒川-シューバートスキームを用いた場合とで予報初期から大きく異なり、前者より後者の方が低くなった。中心気圧についても、前者より後者の方が深まる度合が大きく、観測により近かった。しかし、両者の中心気圧の違いはコア領域平均海面気圧の違いよりかなり遅れて出現した。
    コア領域平均海面気圧の違いは、予報初期の対流圏下層における気温時間変化量の違いに起因する。湿潤対流調節を用いた場合、下層での冷却が気温の急降下をもたらし、荒川-シューバートスキームを用いたときよりもコア領域平均海面気圧が高くなった。一方、中心気圧の違いは壁雲の位置の差に起因すると考えられる。パラメタリゼーションに影響された下層温度場によって半径方向の降水分布、すなわち壁雲の位置に差が生じ、この差が後に中心気圧の違いをもたらしたと考えられる。対流圏下層での冷却を抑制するように湿潤対流調節を変更して同様な数値実験を行った。その結果は台風のコア領域での冷却が台風の発達を妨げていることを支持するものであった。
  • 吉崎 正憲, 加藤 輝之, 田中 恵信, 高山 大, 小司 禎教, 瀬古 弘, 荒生 公雄, 間辺 一雄, X-BAIU-98観測グループ
    2000 年 78 巻 6 号 p. 835-856
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    X-BAIU-98の特別観測期間中の1998年6月26日に九州西部の長崎半島から北東方向に伸びる地形性降水バンドが観測された。ここでは長崎ラインと呼ぶ。長崎ラインの中の対流セルは、水平スケール5kmぐらいで寿命は40分ぐらいであり、約10ms-1の移動速度で南西から北東に動いた。対流セルの高さは北東側ほど高くなっていた。長崎ラインのまわりでは、下層には湿潤で対流不安定な大気があり、地上付近は南寄りの風で900hPaから500hPaまでは15~20ms-1の南西風の鉛直シアが大きい風の場が見られた。
    気象庁領域スペクトルモデル(RSM)と気象研非静力学雲モデル(NHM)を用いて長崎ラインの再現実験を行った。RSMは九州西部に弱い降水域を再現しただけであったが、NHMは長崎バンドのいろいろな特徴をよく再現した。山岳、湿度、風分布に関する感度実験から、長崎ラインの形成には、湿潤で対流不安定な下層大気、メソスケールの収束、高さ3-4kmに南西風のジェットを持ち下層で鉛直シアが大きいような風の場が必要であるのがわかった。こうした環境場において、長崎半島の山は低いにも関わらず線状に組織化した降水系を作ることができた。
  • Jong-Jin Baik, Jong-Su Paek
    2000 年 78 巻 6 号 p. 857-869
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    バックプロパゲーション型ニューラルネットワークを使って、北西太平洋での熱帯低気圧の強度の変化を12,24,36,48,60,72時間について予測するモデルを開発した。用いたデータは、1983-1996の14年間の北西太平洋の熱帯低気圧に対する、低気圧の位置、強度、NCEP/NCARの再解析、それに海面水温である。
    ニューラルネットワークの予測因子は重線形回帰モデルの予測因子に基づいて選ばれた。回帰分析により、予測因子の一つ風の鉛直シアーが全ての予測時間に渡って一貫して重要であることを示した。予測因子として気候学的、持続的、総観的因子を用いたニューラルネットワークモデルによる平均予測誤差は、同じ予測因子を用いた重線形回帰モデルに比べて7-16さらに、予測因子として気候学的、持続的因子のみを用いたニューラルネットワークモデルの性能でさえも、総観的因子まで含んだ重線形回帰モデルの性能をわずかに上回った。ニューラルネットワークモデルの性能は14年間の全ての年について回帰モデルを上回るわけではないけれども、ニューラルネットワークモデルの方が良い年の方が逆の年よりもずっと多く、その傾向は短い予測時間の方が顕著である。感度実験により、ニューラルネットワークモデルの平均強度予測誤差は、隠れ層や隠れ層のニューロンの数には敏感ではないことを示した。しかし、熱帯低気圧強度予測のために、より良い隠れ層の構造を用いることにより、回帰モデルに比べてニューラルネットワークモデルをさらに改良する余地がいくらかある。この研究は、予測因子として気候学的、持続的、総観的因子を用いたニューラルネットワークモデルが熱帯低気圧の強度予報において有効な道具として使えることを示唆している。
  • Murari Lal, 原沢 英夫
    2000 年 78 巻 6 号 p. 871-879
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    本研究は、アジア地域とその6つの小地域の現在気候の広域パターンについて、A-O GCMの再現性について評価した結果をまとめたものである。本研究では、IPCCがHamburg(ドイツ)とNorwich(英国)に開設したデータ提供センター(DDC)が収集,配付している7つのA-O GCMの漸増数値実験によって得られた計算結果を用いた。アジア大陸では、HadCM2,ECHAM4,CSIRO,CCSRモデルが観測された現在気候の再現性を十分有していた。しかし本研究で用いたA-O GCMの多くは地域レベルの現在気候の再現性について限界がある。
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