気象集誌. 第2輯
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54 巻, 3 号
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  • 中村 一
    1976 年 54 巻 3 号 p. 129-146
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    プラネタリー波の構造に対する数値モデルの鉛直分解能と上端の境界の影響を,準地衡風β一面近似の簡単な一次元モデルを用いて考察した。鉛直分解能と上端の高さが色々異なったモデルで得られた結果を,格子間隔が250mと非常に細かく,90kmを上端とし,付近に非常に大きな摩擦のある層をおいた“Controlsolution”と比較した。
    上端が低い影響は,もし中部成層圏に上端をおけば対流圏の波の構造には重大なことではなかった。ニュートン冷却や他の摩擦効果が,現実にある位の強さでも十分に上端での反射波を減衰してしまうためである。
    分解能の悪いモデル(5,6層)で得られる定常プラネタリー波は真の解(control)と見かけでは似ている。しかし,定量的にも正確な解を得るには格子間隔は対流圏で1~2km,成層圏で2~3kmにし,上端は中部成層圏におくべきである。
    真の解(contro1)を初期値として分解能の悪いモデルで時間積分を行なった場合,波はもはや定常ではなくなって,モデル自身の定常状態へと変化してしまう。この問題を解決するためには定常の場合と同様な精度の良いモデル使わねばならない。
    同様な結果は成層圏でのプラネタリー波の表現についても得られた。
  • 藤井 盛澄
    1976 年 54 巻 3 号 p. 147-159
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1958年12月には,亜熱帯ジェット流は,始め北アメリカで,次いで月末には,西ヨーロッパで大規模に中高緯度へ侵入した。この大規模変位と,それに関連した熱帯ジェットの振舞いが,大気大循環との関係に留意して述べられる。
    大規模変位をもたらすきっかけは,ヨーロッパと北アメリカとで異なるが,何れの場合も,中高緯度大気が低緯度大気に及ぼす作用が重要である。
    中緯度へ侵入した亜熱帯ジェットの尾根の前面では寒気が大規模に流出し,変位した部分はここで切断される。切断されて中緯度に残された部分は,侵入した亜熱帯高気圧の衰退と共に消失する。
    亜熱帯ジェットの大規模変位により,中高緯度大気と低緯度大気との間で大規模な相互干渉が行われ,特に,中高緯度の大気大循環は大きい影響を受ける。
    キューバ附近,日本附近及びアフリカ北部では,通常の位置にある亜熱帯ジェットの低緯度側に,冬季,時として別の強風核が観測されるが,これは比較暖い海面上で,低緯度深く達する強い寒気流出と関係がある。
  • 二宮 涜三, 秋山 孝子
    1976 年 54 巻 3 号 p. 160-174
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    AMTEX'74の強い寒気吹出期間(2月23日~27日)の寒気の構造と熱収支状況を詳細に解析する。
    寒気は1~2kmの厚さの層を形成して南下し,その上部には著しい逆転層がある。subinversionlayerの内部では,海面に接する最下層(0~250m)を除いては,相当温位θe,風速Vともに一様な垂直分布を示し,この層が“mixedlayer”であることを示している。最下層の大きなθe,により混合層は対流不安定層でもある。
    混合層の厚さ,つまり逆転層下面の高さは,時間的•空間的な変動を示す。23~24日は,混合層の厚さの増加期間つまり,“developingstage”であり,25~27日は,準定常的な状況がみられる“quasi-stationarystage”である。quasi-stationarystageについて云えば,逆転面の高さは,AMTEX海域の北西域で低く,東域で高いが,局地的な起伏も解析される。
    quasi-stationarystageでは,逆転面上空は乾燥しているが,developingstageでは逆転面上空も浸潤であるが,逆転面上空の水蒸気場は主として上層の水平移流によって支配されており,気団変質に関連していない。
    気団変質はsubinversionIayerでおきており,飽和層の厚さ,降水量は南にむかって増大する。
    熱収支解析によって,混合層全層にわたり,Y•∇T,V•∇q,δT/δt,およびδq/δtが大きく,かつ逆転層下面で不連続的に急減することが示された。このような分布は,垂直方向の高い分解能を持つデーターと,適切な観測網の稠密さによってのみ得られるものである。特にquasi-stationarystageについて詳しい解析を行った。
    developingstageでは,下層(mixedlayerを含む)の安定度が減少し,中層(inversionlayerを含む)では,安定度が増大する。quasi-stationarystageでは両層の安定度はほぼ一定に保たれる。この安定度の変化を,differentialadvection,垂直運動による安定度の変化,differentialdiabaticheatingのバランスの見地から議論する。
  • 村上 多喜雄
    1976 年 54 巻 3 号 p. 175-181
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    北半球夏期(6月1日一9月15日)における8年間(1965-1972)の人工衛星資料を用いてインドにおける雲量変動と他の熱帯地域における雲量変動との相関係数を計算した。マレーシヤ,インドネシヤ地域とは正の相関がみられ,アフリカ大陸,赤道印度洋,北西太平洋上には負の相関が現れた。時差相関の分布図を作成した。正または負の相関帯が1日約1度の平均速度で赤道インド洋からインド北部に向って北上した。
  • 水野 建樹
    1976 年 54 巻 3 号 p. 182-186
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    2台のけい留気球を高度200mから400mの問で同一高度に,平均流とほぼ平行に約120m離れた位置に並べ,鉛直方向乱流成分の空間一時間相関を測定した。得られた空間一時間相関関数のピークの値は慣性小領域を仮定して得られる相関関数の値とよく一致することが確められた。また鉛直方向成分のコヒーレンスを求め,減衰係数を推定した。
  • 千葉 修
    1976 年 54 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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