気象集誌. 第2輯
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63 巻, 2 号
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  • 松浦 知徳, 山形 俊男
    1985 年 63 巻 2 号 p. 151-167
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    ƒ面上の一様で,均質な粘性流体中に置かれた円柱を通過する流れの数値解を求めた。数値解はBoyer(1970)とBoyer and Davies(1932)の室内実験結果を極めてよく再現し,エクマン摩擦の効果が円柱からの境界層剥離を遅らせるという結論を数値的に実証した。これはエクマン摩擦が円柱表面での逆圧力勾配を軽減するためであることがわかった。初期に円柱背後に形成される双子渦は最終的にスピンダウンする。これらの渦の中心部は非回転系の場合と異なり,最終的にほとんど流れのない状態に落ち着く。抵抗係数Cdはレイノルズ数Reとα(エクマン数の1/2乗とロスビー数の比)の2つのパラメータに依存する。αを固定したとき,少なくとも20≤Re≤200ではReが大きくなるにしたがいCdは減少することがわかった。もしReが一定に保たれていれば,Cdはαとともに増加する。新しく導いた回転流体のストークス抵抗則は,小さなレイノルズ数に対して,数値的に調べた結果とよく一致することがわかった。またエクマン摩擦と結びついた高次の非線形効果は,境界層剥離が起こるとき,後流域に顕著な非対称性を生みだすことがわかった。このことも室内実験の結果と良く一致している。
  • 玉木 克美, 宇加治 一雄
    1985 年 63 巻 2 号 p. 168-179
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    アンプリチュード•バシレーションの熱的な特性を実験的に調べた。環状の作業流体層の寸法は予備実験によって適切に定められた。温度場の測定には少数のプローブを用い,流れの場をできるだけ乱さないように努めた。そのため,観測された傾圧波動の主な成分は,バシレーションの状態下でも,卓越波(波数M)とその高調波(波数 2M,3M…)であり,卓越波のサイドバンド(波数M±1)と長波(波数1)は無視できる程に微弱であった。この結果は,多数のプローブを用いた他の実験結果(Hide et al.,1977;Pfeffer et al.,1980)と著しく異っている。また,熱輸送量と帯状平均温度場がバシレーションと同じ周期で変動することが観測された。さらに,バシレーション状態下の帯状平均温度場と波動(卓越波とその高調波)による温度擾乱との間に非線型的な相互作用が観測された。これらの結果は,アンプリチュード•バシレーションが波動と平均帯状流との傾圧的な相互作用によって引きおこされることを示している。この単純なメカニズムは Pfeffer とChiangの初期の論文(1967)で推測されたものであるが,その後見出されたサイドバンドのためにあいまいにされてきたものである。
  • 田中 博
    1985 年 63 巻 2 号 p. 180-200
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    異なる3次元ノーマルモード(水平方向には Hough モード)の間のエネルギー流を調べるためのエネルギー解析スキームが考案され,1978年12月から1979年2月までの GFDL による FGGE IIIb データに適用された。
    解析の結果は以下のようにまとめられる。傾圧モード(特に鉛直モードm=4)に供給された帯状有効位置エネルギーは超長波の順圧モードの運動エネルギーに直接変換される。一方,長波の傾圧モードの運動エネルギーは順圧モードの帯状および渦動運動エネルギーに変換される。波の水平スケールをその固有振動数でパラメタライズすることにより周波数領域におけるエネルギースペクトルを調べた結果,鉛直方向に捕捉されるモードのエネルギースペクトルは周波数の3乗則に従うのに対し,伝播モードのそれは-5/3乗則に従い,西進重力波のエネルギースペクトルと一致することを見出した。この結果から,周波数領域におけるエネルギースペクトルは波の鉛直伝播特性に依存し,伝播性ロスビー波のエネルギースペクトルは重力波のそれと類似することが明らかになった。3乗則に従う捕捉モードおよびエネルギーピークを示す臨界モードは上記の変換によりエネルギーを獲得するのに対し,-5/3乗則に従う伝播モードは非線形相互作用によりエネルギーを失うことを明らかにした。
  • Geoff Love, Geoff Love
    1985 年 63 巻 2 号 p. 201-209
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    北西太平洋域での海面気温,海面気圧及び雲量の場の月平均アノーマリの約67ケ月(1978年1月から1983年9月)のデータを,それらの量の間の線形関係を調べるために用いた。それらのデータセットを夏と冬に分けて経験的直交函数法を用いて,線形関係があるかどうかを調べた。第1の冬の固有ベクトル•振幅係数対はエルニーヨ,南方振動におけるものに似ていた。
    他の統計的に有意な固有ベクトル•振幅係数対は見い出されなかった。
    一般に変数の3つの対の間の関係は統計的に無意味であった。
  • 石原 正仁
    1985 年 63 巻 2 号 p. 210-225
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    MONEX期間中の1979年5月と6月の20日間に,西太平洋赤道付近の1.3×105km2の領域において,積雲スケールからメソスケールの範囲のレーダーエコーを観測しその統計的解析を行った。この期間は観測領域付近の対流圏中下層では東風が強まり始めた時期であった。観測領域は5月には南半球のITCZの北に,6月には北半球と南半球の2つのITCZの中間に位置しいてた。全期間におけるエコーの面積と高さの平均値はそれぞれ125km2と2.9kmであった。平均して観測領域の5.0%がレーダーエコーに覆われいてた。エコーの面積と発生数の関係を簡単な経験式を導入して表現した。103km2以上の面積を持つメソスケールエコーの発生頻度はわずかに全体の1.6%にすぎなかったが,それらの総面積はエコー総面積の47%に達した。
    レーダーエコーの発生数とITCZの位置によると,観測領域付近における対流活動は5月より6月の方が強かったと言える。レーダーエコーの発生数には3.5日から4.0日の周期の変動が見出された。上層風の解析から,6月の対流圏中下層の東風の中に4日程度の周期を持って東から西に伝播する波動が見出された。メソスケールエコーの発生数はこの波動の500mbのトラフの前面(リッヂの後面)で増加した。103km2より小さいレーダーエコーは夜間よりも日中に発生しやすい傾向があった。
  • 藤部 文昭
    1985 年 63 巻 2 号 p. 226-237
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    関東平野中部で陸風が吹き出す際にしばしば現れる前線のような現象について,地上の大気汚染を調べた。汚染を支配する因子を探るため,汚染と気象条件との関係を統計的に解析した。
    前線は,10-4s-1のオーダーの水平収束と正の渦度を持ち,約10kmh-1で東へ進む。前線の通過時刻は,関東平野上の気圧傾度の東西成分と相関を持ち,冬は平均20時頃,夏は2時頃である。一方,陸風の風向は,気圧傾度の南北成分と相関を持つ。
    冬で陸風の風向が西寄りである日には,前線の通過に伴ってしばしば気温の低下と汚染物質濃度の上昇が起こる。濃度が上がるのは,一酸化窒素,一酸化炭素,浮遊粒子状物質であり,これらは自動車の排気ガスにまれる物質である。濃度は前線通過の約1時間後に極大になり,以後は下がる。冬で陸風の風向が北寄りである日や夏は,汚染はあまり目立たない。
    冬の個々の日の濃度は,地上付近の安定度と相関を持つ。従って,汚染強度は安定度に支配されると考えられる。冬の日の汚染強度が陸風の風向によって異なるのは,気象条件の違いに伴う風速と雲量の差によって,安定度が異なるためであると考えられる。一方,汚染強度の季節による差は,前線の通過時刻の違いによる陸風層内の排出強度の差にその原因の一部があると考えられる。また,陸風による移流は汚染物質の輸送に寄与すると考えられる。これら汚染を支配する因子と,関東平野上の気圧傾度および陸風の性質との間の関係を,整理して図にまとめた。
  • 1.二次元モデル
    大西 外史, 尾原 信雄
    1985 年 63 巻 2 号 p. 238-248
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    冬季に相模平野にて,昼間でさえ海の表面温度が陸上より高いにかかわらず,一見海陸風のような風系を生ずる。これをかりに冬の海陸風とよぶことにする。これに対する説明を試みた。
    冬の海陸風が生ずるときは850mb面では陸上が海上より気圧が低い。一方地上付近では夜間は低温の為寒気の蓄積が生じ,メソスケールの高気圧が形成され陸風となる。昼間は陸地の気温が上昇し陸地のメソ高気圧は弱くなり,ついには陸上の気温が海上より低いにもかかわらず,気圧分布が逆転し海からの風に成る。このような気圧分布になるためには地上からの熱の伝導と水平方向の移流に影響する乱流熱伝道係数と乱流粘性係数が重要であろう。
    上記の考えで実際に冬の海陸風が生ずるかどうかを見る数値実験をした。海岸線に直角な鉛直2次元空間を考え,地衡風は海岸線に平行な西風とした。海の表面温度は一定,陸は正午に最高温度になるように与えた。乱流粘性係数等を種種変えて数値実験をした。その結果冬の海陸風を起こすためには熱伝導係数と粘性係数が重要な役をすることが判り,特にこれらの係数が高度,風速シアー,安定度等の関数であたえたときに実際に近い海陸風を生じた。
    この数値実験の結果,朝は陸風であるが,地表温度の上昇と共に海岸線近くより海風が起こり正午頃には考えている全領域が海風である。夕方地表温度の冷却と共に陸風が内陸から起こる。これらの或部分は実測と合致し,或る部分は合致しない。しかし小川の示した実測のもかなりのバラツキがあるので完全な実測との一致は期待できない。
    結論としてこの論文である程度冬の海陸風を説明することができたが,完全な説明にはさらに実際に近いモデルを考える必要があると思われる。
  • 佐粧 純男, 松尾 敬世
    1985 年 63 巻 2 号 p. 249-261
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    観測から求めた雪片の落下速度に対する分布関数を使って,成長方程式に含まれる積分核を求めた。得られた核は,速度変動のない場合とことなり,衝突する二雪片間の相対速度に対して非対称であった。このことは,質量の小さい雪片が大きい雪片に追突する形の併合成長が,或る確率をもって起こることを意味している。
    この積分核を用いて,同一結晶から成る雪雲の中で,初期条件として,雪片の粒度分布を仮定することなく,雪片の形成が計算出来た。その結果,速度変動は,降雪量の増加にはそれほど寄与しないが,一定の降雪量に達する迄の時間を早める効果があった。
  • 高橋 劭
    1985 年 63 巻 2 号 p. 262-266
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    氷の表面から水が除かれると-10°Cより高温度で水の不純物質によらず,氷に正の電荷が発生した。その電荷量は理論値とかなりよい一致がみられ,雷雲の主電荷機構と考えられる着氷電荷発生の高温領域の現象をよく説明する。又低温領域で水が氷の上を流れるとき,特殊な電流が観測されたが,この電気的機構は雹の電荷分離に重要な役割をするものと考えられる。
  • M. P. McCormick, Patrick Hamill, U. O. Farrukh
    1985 年 63 巻 2 号 p. 267-276
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    北極および南極の冬期成層圏に見出された極域成層雲(polar stratospheric clouds: PSC)のについて述べると共に,それらの雲の性質についての議論を行なう。よく知られた"真珠母雲"はPSC特殊例と考えられる。SAMII と SAGE により観測された PSC の大きさ,位置,卓越性,温度依存性の概要をまず述べるが,航空機塔載のライダーによる観測は,PSC 現象が冬期に極域寒冷渦内に存在する extended stratospheric cloud bank とおそらく関連して起っていることを示している。PSC は頻度 50% で 193 K の等温線内に存在していると考えられる。雲の extinction および位置の時間変化についての観測事実にもとずき,考えられる形成機構,雲粒子の大きさを考察し,さらに,冬期の雲の下降を示す。
  • 高木 増美, 森田 恭弘, 岩田 晃, 近藤 豊
    1985 年 63 巻 2 号 p. 277-282
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 岩坂 泰信
    1985 年 63 巻 2 号 p. 283-287
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    The measurements on polar stratospheric aerosol particles using lidar and meteorological sonde at Syowa Station (69.00°S, 39.35°E), Antarctica revealed that the content of stratospheric aerosols noticeably increased in winter when atmospheric temperature frequently fell down to about -80°C in the lower atmosphere.
  • 内野 修
    1985 年 63 巻 2 号 p. 288-293
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 広野 求和, 藤原 昇, 藤原 玄夫, 柴田 隆
    1985 年 63 巻 2 号 p. 294-302
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 広野 求和, 柴田 隆, 藤原 玄夫
    1985 年 63 巻 2 号 p. 303-310
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • Ronald M. Nagatani, M. P. McCormick, L. R. McMaster
    1985 年 63 巻 2 号 p. 311-319
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    The fine scale vertical structure of SAGE I ozone and aerosol data during a stratospheric warming is investigated using meteorological and SBUV ozone data. By stratifying the ozone and aerosol data for a limited time period, we are able to compare the structure of profiles under different meteorological conditions. For example, the cold air region shows more laminated structures than the other regions. In addition, vertical motions calculated at the same locations as the SAGE profiles show that they are consistent with variances found in the ozone and aerosol data.
  • David G. Murcray, Frank H. Murcray, Frank J. Murcray, George Vanasse
    1985 年 63 巻 2 号 p. 320-324
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    A liquid N2 cooled infrared interferometer system was flown on a balloon and used to obtain atmospheric emission spectra at high spectral resolution at various altitudes. The instrument was also used to view the earth from 28km. Samples of the spectra obtained during this balloon flight are presented.
  • 岩上 直幹, 小川 利紘, 柴崎 和夫
    1985 年 63 巻 2 号 p. 325-327
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 松崎 章好, 伊藤 富造, 中村 良治
    1985 年 63 巻 2 号 p. 328-333
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    For the global investigation on H2O, CO2, CH4, O3, N2O, and aerosol in the middle atmosphere, the limb-atmospheric infrared spectrometer (LAS) on board the satellite "Ohzora" has been launched from Kagoshima Space Center, Japan, on Feburuary 14, 1984. This letter discusses the characteristics of the LAS observation.
  • 小川 利紘, 鈴木 勝久, 高野 元春, 中村 正年
    1985 年 63 巻 2 号 p. 334-339
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 松尾 敬世, 榊原 均, 青柳 二郎, 松浦 和夫
    1985 年 63 巻 2 号 p. 340-346
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    To examine the process of atmospheric cooling due to melting, nine cases of a melting layer in continuous rain were observed by means of a Doppler radar and rawinsondes between 1981 and 1982 in the Tsukuba District, Japan. Six cases displayed the existence of cold air around the melting layer but three cases did not. The cold air existed in cloud regions with relative humilities greater than 90%, and it was related to the amount of precipitation on the ground. The results indicate that the cold air is associated with the melting of snowflakes. A nearly isothermal layer existed below the 0°C level and also stretched upward above the 0°C level. Below the isothermal layer, a layer with large lapse rate, i. e. an unstable layer, was observed. The stretch of the isothermal layer above the 0°C level suggests that some vertical mixing of air takes place around the melting layer.
  • 久芳 奈遠美, 武田 喬男
    1985 年 63 巻 2 号 p. 347-353
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 竹内 利雄, 河崎 善一郎, 舟木 数樹, 北川 信一郎, ヒューセ J.
    1985 年 63 巻 2 号 p. 354-358
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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