気象集誌. 第2輯
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48 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 高橋 劭, 長谷美 達雄
    1970 年 48 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    13台のラジオゾンデを,シャワーの場合と雷雨のカナトコ雲内に飛揚した.シャワーでは,雨滴の電荷は雨中まで正であった.シャワーに伴う地上の負電場を説明するため,地上近くに負イオン層の存在を仮定する必要があった.カナトコ雲では,雪は強く帯電していて,正の場合と負の場合とがあった.
  • 松本 誠一, 秋山 孝子
    1970 年 48 巻 2 号 p. 91-102
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    九州地方に顕著な梅雨前線が停滞した,1968年7月8日から11日に至る3日間,中規模擾乱の波長を測定してその頻度分布を求めたところ,150~200kmの波長が卓越していることがわかった.
    7月9日に観測された大雨を伴う一連の中規模擾乱を詳細に研究した.主要降水域は九州南部に限られていたが,この上空には下層ジェットが存在していた.一方これに関連する中規模の気圧擾乱は,南北方向に伸びた形を呈していた.降雨強度の発達段階は,気圧分布と発散分布との間の位相関係に関連するようである.
    総観規模の地上風発散およびうず度は1.5~3時間程度の短かい周期で変動していることが判明した.発散およびうず度の変動の位相差は,低気圧の通過に伴ない同位相から逆位相へと変っている.このことは,収束域における対流交換過程として非回転性のまさつを考慮することにより説明されるようである.
  • 羽室 正彦, 河田 好敦, 松田 節子, 松野 太郎, 中村 則行, 朴 東廉, 武田 喬男, 柳井 迪雄
    1970 年 48 巻 2 号 p. 103-117
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    1959年9月の伊勢湾台風(Vera)に伴った陸上の20分毎の雨量分布とレーダー•エコーの詳しい比較を行なった.このような短い時間スケールでも,等雨量線のパターンとレーダー•エコーの対応を見るのは容易でない.それは,雨量が山岳部で強められることと,地形性降雨がレーダーで良く探知されないことによる.20分雨量の時間変化を解析すると,レーダーで見るrain bandsに対応して強い雨量強度を持つ帯が存在することが判る.また,雨量の時間的変動の度合も雨量観測所の高度に依存することが判った.このことは,地形性降雨と,台風のrain bandsに伴う対流との相互作用を暗示するものである.
  • 大林 智徳
    1970 年 48 巻 2 号 p. 118-128
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    従来1次元の場合について行われてきた孤峰を越す流れの研究を2次元流に拡張し,障害物によって生Gじるhydraulic jumpの力学的機講を調べるのが本論文の目的である.強風が山の風下側に起こり.そこでhydraulic jumpがみられる場合には,上層に逆転層が存在することが多い.これに着目すると,逆転層下の運動は浅水方程式で表現できる.所で浅水方程式を用いて数値実験を行うためには,jumpがshock現象の一種であるから高い近似の差分表示がが必要である.本研究では,one-step Lax-Wendroff methodを用いた.孤峰に相当する障害物としてはベル状の山をおいた.
    初期条件として,全領域がsulcritical flowの場合を2例, supercritical flowの場合を2例それぞれ与えた.数値積分の結果,subcritical flowの1例とsupercritical flowの2例については1次元の実験例とよく一致した.すなわち,subcritical flowの1例とsupercritical flowの1例について,障害物の風下側の頂上付近と山ろく付近にjumpを得た.また, supercritical flowの他の例については,頂上付近で逆転面の盛り上がりが最大になった.subcriticalめ遅い流れについては,逆転面に波動が起り,その最も卓越する波長は障害物の幅の大きさであった.ここで用いた数値実験モデルの結果では,流れの殆んどが障害物を帯状に越え,障害物のまわりをまわる効果は小さいことがわかった.
  • 浅井 冨雄
    1970 年 48 巻 2 号 p. 129-139
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    静力学的に不安定な成層をもつ平面平行流が高さと共にその鉛直シャーを変える場合の安定性を摂動論にもとついて調べ,前に著者(1970)が示した一定シャーに対する結果と比較する.速度プロフィルに曲率のある基本流では性質の異なる2つの型の不安定の発現することがあり,それらはRichardson数を用いて互いに区別される,一つはシャーの影響を受けた基本的に熱的不安定の型であり,他の一つは成層の影響を受けた慣性不安定のものであって基本流の速度の鉛直プロフィルが変曲点を持つ場合に現われ得る.前者では基本流に平行な方向に波長の長いlongitudinalな3次元擾乱がpreferredモードとなり,後者では基本流に直角な方向に波長の長いtransverseな擾乱がpreferredモードとなる.
    ここで特に興味のある熱的不安定の擾乱についてみると,シャーのある基本流はその速度プロフィルの変曲点の有無にかかわらず擾乱の発達を抑制し,その抑制作用はtransverseモードに対して顕著になる.従って,曲率のあるプロフィルを持つ基本流の熱対流におよぼす影響は一定シャーの場合とほとんど変らず,またlongitudinalな対流ro11の発生にはシャーが基本的な役割を果していることがわかる.Kuettner(1959)の主張する曲率が最も重要という説は支持されない.
  • 林 良一
    1970 年 48 巻 2 号 p. 140-160
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    柳井•丸山(1966)により発見された大規模赤道波動の理論的解釈を発展させる為に,赤道β-平面近似による線型化プリミティブ方程式の不安定波動モデルをつくった。対流圏における対流に伴う潜熱放出は大規模赤道波動によるSubcloud layerにおける水平収斂に比例して変動する事を仮定した。
    山岬(1969)の低緯度不安定擾乱の理論によるMode HBはYanai-Maruyama Wavesのいろいろな面を表現する複素equivalent depthにより特徴づけられる事が分った。これはさらに松野(1966)の理論に従って緯度モードに分類される。
    対流圏上部の潜熱放出がある限界値を越すと不安定な内部自由波動が出現し,熱放出の増加に伴い発達率が増大する。慣性重力波やKelvin波を除いてはRossby型波動の中では混合Rossby-重力波が最も不安定である。実測の波長10,000kmに対応する周期は4日で観測と一致し, e-folding timeは10日程度であるが,波長の長い程小さくなる。
    エネルギー及び運動量収支も詳しくしらべた。Rossby型波動は非線型強制により成層圏下部で東風を加速し,Kelvin波は西風を加速する。
  • 廣田 勇, 時岡 達志, 西口 三登志
    1970 年 48 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    Poisson方程式を任意の形の領域でDirichlet型及びNeumann型境界条件のもとで直接解く方法を考案した.この方法は,二階常微分方程式を解く際に用いられる「掃出し法」を,行列演算を用いて二次元以上の場合に拡張したものである.
    この解法の手続きは二つの段階に分けられる.即ち,(1)residual matrix R及びその逆行列R-1を求めること,(2)initial guess matrix ΦをR-1を用いて修正すること,である.第一の段階は領域の形のみによるから,同一領域で異った境界条件と荷重函数に対し繰り返し方程式を解く場合にこの方法は有力である.解法に要する演算の回数を当ってみると,計算時間は他の方法に比して少くて済むことがわかる.この方法を用いる場合の実際的な注意についても触れる.
  • エントリッヒ R.M.
    1970 年 48 巻 2 号 p. 168-172
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
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