気象集誌. 第2輯
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51 巻, 6 号
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  • 山本 義一, 島貫 陸, 会田 勝, 安田 延寿
    1973 年 51 巻 6 号 p. 377-387
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    運動方程式と熱伝達方程式を解くことによりエクマン層の風速と温度場の日変化を研究した.渦動拡散係数については,改良型KEYPS公式をエクマン層に拡張して得られる値を用いた.境界条件としては,大気上端で標準温度減率,地中の下端で一定温度とした.これまで,この種の研究においては膨大な計算を避けるために地表付近にフラックス一定の層を仮定していたが,本研究では,差分方程式を解くのに行列方式を用いて,全層に対する方程式を直接解いた.計算は一日周期の周期解を得るまで続けた.
    計算結果は現在得られている観測値と比較した.
  • John L. Walmsley
    1973 年 51 巻 6 号 p. 388-399
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    大気と海洋の両境界層の時間変動を調べるため,数値モデルによる実験を行った.モデルは垂直一次元で,従属変数の水平傾度は時間及び高さの関数としてあらかじめ与える.乱流輸送過程は渦動係数方式によって含めた.渦動粘性,拡散係数は表層及びエクマン層の観測に一致するよう先験的にきめられた式で記述する.
    数値実験は,秋と冬のセントローレンス湾の代表的な気候条件をパラメーターとして与える.その結果,風速,流速,ストレス,温度,湿度,塩分について合理的な鉛直分布が得られた.海面温度と表層のフラックスも合理的な時間変化を示す.しかし,氷結(海面温度が零度に下がる)の日時は,与えられた海水の水平温度傾度と計算される流速とできまる冷水の移流効果にかなり敏感である.
  • 古川 武彦
    1973 年 51 巻 6 号 p. 400-419
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    山越気流(特に山岳波)の問題は,今まで多く線型定常解のもとで論じられている.その取扱いは山脈が十二分に低く,且つおだやかな傾斜をしている場合には有効であるが,いわゆる"有限高の山"については未だ良く理解されていない.山越の風下近傍で観測される強風などを論じる際は,やはり有限振幅の扱いをする必要がある.
    この論文は,約9km上空に水平剛体壁を仮定して,Boussinesq近似の非線型方程式を時間積分することにより,山脈気流の性質を調べようとしたものである.Boussinesq系をこのような山越気流の問題に適用する場合の妥当性及び剛体壁を仮定したことによるモデルの特性などが先ず線型の範囲で考慮された.
    次に時間積分によって得られたlee waveのパターンが線型理論と比較され,良い対応が得られている.相対的に内部フルード数が大きく,山が低い場合,流れは正弦波的であるが,山が高くなり,内部フルード数が小さくなるにつれて,流れは蛇行を増し,山の近傍でS字型やRotor流に似た流れ(オーバーターニング流)が形成される.この時,山の背斜面や,風下側で風は著しく強化される.
    オーバーターニング流内には,局所的に静的不安定の領域が形成されるが,それには持続性が見られる.このような流れは,波の非線型的な干渉の結果と考えられる.オーバーターニングはまた,山が高くなるにつれて起りやすくなる.オーバーターニングに対する臨界はD>1.3Fi(D:無次元化された山の高さ, Fi:内部フルード数)である.
    流れのタイプの,山の高さおよび内部フルード数に対する依存性はLong(1955)の予測にほぼ対応している.
  • 山形 俊男, 木村 竜治
    1973 年 51 巻 6 号 p. 420-434
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    回転系の力学不安定現象を室内実験により調べた.基本流は剛体回転をしている流体の自由表面を平板でこすって作った.基本流の構造は線型論をもちいて議論した.ベータ効果は流体の深さの変化に伴う渦糸の伸縮を利用して表現した.
    ロスビー数が臨界値を越えると,基本流は不安定になり,一定の波数の擾乱が現われた.波数の測定結果と線型論の結果とを比較して次の結果を得た.
    (i)臨界状態付近で測定された波数は,内部粘性を基本流の安定化要素と考える理論による予想よりも,ベータ効果を安定化要素と考える理論による予想の方に近かった.
    (ii)水深が回転中心から遠ざかるに従って深くなる系では,偏西風に対応する基本流の方が,偏東風に対応する基本流よりも,より安定であった.
    (iii)臨界値をえてロスビー数をさらに大きくすると,測定された波数は,線型論で予想される波数より急激に小さくなった.
  • 二宮 洸三
    1973 年 51 巻 6 号 p. 435-449
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    前報告(1972)においては,1968年2月における東支那海域の平均的総観気象状況と熱収支の状況を解析し,平均的な気団変質の様相を記述した.本報告は前報告を補足するものであって,この海域の総観気象状況の変動とそれにともなう熱収支状況の変動を記述することを目的とする.得られた結果は次のように要約される.
    この海域では,約4日の周期で通過する波動性低気圧が卓越するが,その通過にともなって,下部対流圏の成層状態および熱収支の状況は著しく変動する.それらの状況は大別すれば,2つの状況つまり低気圧通過後の寒気吹出の状況,および低気圧の中心近傍にみられる亜熱帯気団の侵入の状況に要約される.
    前者の状況下ではこの海域全域に発達した安定層が下部対流圏に存在し,孤立したエコーが散在する.この状況下では海面からの熱エネルギーの補給量は大きいが,大きな気温と混合比のindividual change(正の値の)は下層のみにみられ,気団変質は安定層以上の上部にはおよぼない.
    後者の状況下では,南西諸島域への亜熱帯気団の侵入にともなう,速度場の収束と,水蒸気流束の収束が下層で著しく,大きな正および負の気温および混合比のindividual changeが中層にあらわれる.東支那海南部では安定層は存在せず,厚い湿潤中立層が形成され,積雲活動がさかんであり,熱エネルギーの対流輸送による再配分は対流圏中層におよんでいる.
  • エデイ A.
    1973 年 51 巻 6 号 p. 450-457
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    観測が時間と空間に対してランダムに与えられたとき,4次元的なデータ解析を取扱うことができるような客観解析のモデルを提案する.大気の信号と,それにノイズの重なった系の両者に対する構造関数がモデル化され,これが荷重関数を作り出すのに用いられる.大気の力学モデルは,仮説検定の際に線型的な拘束条件を通じてとり入れられる.解析された結果は最尤,最小自乗(母集団に対する)推定量であり,ある信頼限界に対応する場をもっている.
  • 岩井 邦中
    1973 年 51 巻 6 号 p. 458-466
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    C-軸方向に発達した雪結晶(柱状,鞘状,針状)の特性一質量,バルクの密度,雲粒付着の状態,C-軸方向とa-軸方向の長さの比等一について志賀高原(海抜1600m)における地上観測を基にして論ずる.
    針状結晶の質量は同じ体積の柱状結晶の質量に比較して小さい.すなわち針状結晶のバルクの密度は柱状結晶のバルクの密度より小さい.針状結晶のバルクの密度はC一軸方向の長さに余り関係なく0.2-0.4arcm-3の範囲に大部分あった.一方柱状結晶の密度はかなりばらついていた.質量が1-3x10-3mg(融解した水滴の直径が約150μ)を越える結晶の大部分は雲粒が付着していた.雲粒が付着しはじめる結晶の大きさはC-軸方向の長さには余りよらずa-軸方向の長さが50μ以上になったときであり,50-100μの範囲では雲粒の付着したものと付着していないものがあった.100μ以上では大部分雲粒が付着していた.
  • 竹内 寿一郎, 籾山 政子
    1973 年 51 巻 6 号 p. 467-474
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    日本における1961-67年の月別乳児(1歳未満)死亡数,月別幼児(1歳以上5歳未満)死亡数を Becker の図表を描いて適当な補正を行ない,月別乳幼児死亡率(出生千対年換算死亡数)を算出した.これを1つの時系列とみなし,乳児(1歳未満),1-2歳未満,2-3歳未満,3-4歳未満,4-5歳未満の幼児の5グループ毎に,アメリカセンサス局法II,X-11で解析し,それぞれ各年齢層に特有の季節パターンを得た.
    その結果,乳児死亡の季節パターンは1)冬季の死亡率が著しく高い,2)季節変動の幅が徐々に縮小している,3)夏季に小さな山が出現しはじめたことなどが判明した.また幼児死亡の季節パターンについては,1)1-2歳未満では冬から夏にかけて死亡率が高く,2)2-5歳未満では冬の死亡率が低いことがわかった.
    さらに幼児期の死因第1位である不慮の事故(主に溺死)による死亡数を除去した後,再び死亡率を計算し,X-11により解析し5グループに対する修正季節パターンを得た.
    これらをみると乳児死亡の季節パターンは修正前と修正後では大差がない.しかし1-2歳未満では様相が一変して,不慮の事故を除去すると,高い冬山とやや盛り上った夏山をもつ季節パターンを呈する.これは季節変動のパターンおよび幅からみても乳児期における季節パターンとほぼ同一とみて差し支えない.2歳以上5歳未満では多少特徴的な季節パターンを呈するものの,その変動幅はずっと縮小し,周期の短かい上下振動が多くみられるようになる.以上のことから2歳以下の乳幼児は,未だ冬,夏両季節の影響を強く受けるが,2歳以上の幼児は寒さ,暑さの季節的影響をかなり克服し得るようになったものと推論される.
  • 光田 寧, 吉住 禎夫
    1973 年 51 巻 6 号 p. 475-485
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    第二宮古島台風通過中の1966年9月5日5時から17時までの12時間にわたり,顕著な気圧振動が宮古島において記録された.気圧振動の周期は約50分,最大全振幅は10mbを越えた.同時に風•降雨強度も気圧とほぼ同周期の周期的変動を示した.これら要素の変動間に明確な位相関係の存在が認められる.
    宮古島における5日6時30分まで行われたレーダー観測およびその後の飛行機観測資料との比較から,上記気象要素の周期的変動は,約1時間に半回転の割で反時計廻りに回転していた長円形の台風の眼に伴うものであることが示される.宮古島において観測された気象要素の時間変化を空間変化に変換することにより,長円形の台風眼周辺の構造が明かにされる.
  • 今 久, 周 徳, 孫野 長治
    1973 年 51 巻 6 号 p. 486-489
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • A.G. Crowther, C.P.R. Saunders
    1973 年 51 巻 6 号 p. 490-493
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 竹内 利雄, 仲野 〓, 長谷 正博, 中田 滉
    1973 年 51 巻 6 号 p. 494-496
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 二宮 洸三, 秋山 孝子
    1973 年 51 巻 6 号 p. 497-500
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • Michael T. Reischel
    1973 年 51 巻 6 号 p. 501-502
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • A.S. Ramachandra Murty, V. Ramana Murty
    1973 年 51 巻 6 号 p. 503-504
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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