気象集誌. 第2輯
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46 巻, 1 号
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  • 飯田 睦治郎
    1968 年 46 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    資料は赤道に沿った大体10°N~3°S緯度圏内の14筒所の観測所による1958,1959年1月,4月,7月,10月の各月における1000,850,700,500,400,300,250,200,150,100,50mb等圧面高度上の実測風,気温,湿度の観測値を用いた。運動量輸送,顕熱輸送,潜熱輸送の毎日の値を計算した。主な結果は次の通りである。
    1.解析した2ケ年を通じて,平均細胞,定常渦および移動性渦による水平方向への輸送の総和によって表はした角運動量輸送は常に北半球方向にむいていた。
    2.全角運動量輸送は秋季又は冬季には相対的に大きな北半球方向への値を示すが,春季には比較的小さな北半球方向への輸送となる。そして平均細胞による寄与は冬季,春季において大となり,非定常の渦が活溌化して来ると想像される夏季より秋季にかけては,移動性渦による寄与が主となり,平均細胞による寄与は小さくなる。そして又,定常渦による全角運動量輸送への寄与は夏季に大きくなる。
    3.平均細胞,定常渦および移動性渦による顕熱輸送の総和によって表はした全顕熱輸送は規則正しい季節変化を示し,常に夏季半球方向へ熱量を輸送している。そして,北半球夏季において南半球から運ばれる熱量は冬季において南半球に輸送される熱量に比較すると平均的に大体1/4以下である。
    4.顕熱輸送においては,平均細胞による全顕熱輸送への寄与が主であり,各渦による寄与は非常に僅かである。
    5.平均細胞,定常渦および移動性渦による潜熱輸送の総和によって表はした全潜熱輸送は顕熱輸送と同様に規則正しい季節変化を示し,常に夏季半球方向にむいており,北半球夏期において南半球から輸送される熱量は平均的に南半球に輸送される熱量の大体1/4である。そして,夏半球方向に輸送される潜熱は同じく夏半球方向に輸送される顕熱の大体1/4程度である。
    6.潜熱輸送においては,顕熱輸送と同様に平均細胞による全潜熱輸送への寄与が非常に大きいが,移動性渦による輸送が若干寄与している。
    7.解析した期間において,大気中では年間で熱は北半球から南半球に輸送されていた。
  • 氷晶との衝突による過冷却水滴の凍結
    武田 喬男
    1968 年 46 巻 1 号 p. 14-28
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    雲粒の捕捉により成長している過冷却水滴が,氷晶との衝突により凍結する確率を,種々な条件をもつ雲について数値計算により調べた。但し,氷晶は全て氷晶核の上に生成されたと仮定した。いずれの例でも,凍結確率は水滴が雲項に滞在している間に100倍位増し,凍結の大部分が水滴が雲項附近に滞在している間に起る。1個の水滴に衝突した氷晶の積算数は,上昇気流の速度及び雲項の高さが増すにつれ増加する。一方,雲水量及び水滴の初期半径は大きいほど良いわけではなく,最大の積算数を与える値が存在する。その値は上昇気流の速度及び時間の長さにより変る。又,雲項の高さ(雲底上の)が3000m以下そして上昇気流の速度が数m/sの雲では,雲底から上昇し始めて1~1.5時間に氷晶と衝突出来る過冷却水滴は,せいぜい10~100個のうちの1個である。
  • 光田 寧
    1968 年 46 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    地面近くでの運動量の垂直乱流輸送量を超音波風速計を用いて直接測定した結果について述べる。測定は裸地あるいは芝生上の1.5ないし3.Omの高さでほぼ中立な安定度の下で行なはれたが,それと同時に特別に作ったドラッグ•メーターによる観測をも行なって両者の比較をした。運動量輸送の測定値は地表摩擦応力の測定結果から期待される値よりも大きく,また測定高度を順次変えて行なった実験からはそれが高度によって同じ値を示さないことが知られた。このような差の原因は明らかではないが,測定の誤差よりは大きい。また,風速成分および地表摩擦応力の時間変化の様子から,運動量の輸送は定常的に行なはれるものの他に,熱輸送において見られる自由対流現象のように,急激でしかも短時間しか続かない別な輸送の機構のあることが見出された。このような状態は風のシアーが大きくなった時に見られ,運動量の輸送に大きく寄与するようになるようである。
  • 高倉 直
    1968 年 46 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    前回報告したと同様な手法を用いて日射の重み関数を求め,外気温,有効放射,日射に対する温室の応答から積み重ねにより,最終的な温室内気温を予測した。
    計算には若干の仮定を設けたが,計算による気温変化は実測値と概略一致した。ガラス壁の日射吸収率(∉4),ガラス壁外表面の熱伝達率(1/R0g)によって日射のみによる温室内気温は変化し,R0g=0.111(m2hr•deg C•kca1-1)のとき,∉4が大であると日中高く,夜間わずかに低くなる。いわゆる熱線吸収ガラスの効果はR0gの小さいとき明らかとなる。
  • R.F. Mackinnon
    1968 年 46 巻 1 号 p. 45-59
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    上層風を含む模型大気中の爆発に起因する気圧波についての理論的表示の数値的評価を行なった。計算は種々の上層風の条態について行なはれ,大気の下層および上層に上層風が存在する場合の差異が調べられた。気圧波の速度および振巾は上層風の状態により変化することが示された。したがって,微気圧計の記録の解析にさいしては上層の一般風の影響を考廃しなくてはならない。このような観点から過去に報告された記録についての検討が加えられた。
  • 菊地 勝弘, 葛西 俊之
    1968 年 46 巻 1 号 p. 60-67
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    4例のNIMBUS II APT写真がステレオトップを用いて解析された。
    その結果,冬期オホーツク海に現われる流氷と雲とが容易に識別され,さらに雲に関しては,比高差を用いることにより上層雲,中層雲,下層雲の判別も可能であった。
    この解析方法は,1枚の写真からでは流氷か雲であるか判別が困難な写真上の白い部分でも容易に識別でき,流氷の予報に有用であるとともに,雲の立体構造の解析にも有用であると考えられる。
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