周期的に変化する非一様加熱に対する安定な密度成層流体の応答を,線形化された渦度方程式及び熱力学方程式を用いて調べた。
適当なスケーリングを導入すると,現象がで定義される無次元パラメーターのみによって支配される事を示す。但し,ω*は地表温度変動の角振動数,Nは浮力振動数,υは熱および運動量の拡散係数,lは加熱冷却の行われる水平スケールである。
生じる流れは,内部重力波,熱伝導波(復元力によって生じる波動ではないが,熱伝導方程式から得られる伝播する性質を示す温度擾乱),定常的なヒートアイランドによる対流の構造が混合したものと考えられる。Ωが1.3より小さい時は,流れはω*にそれ程敏感ではなく,定常対流の構造に近い。一方,Ωが1.3より大きいと,擾乱の鉛直スケールは熱伝導波によって,水平スケールは内部重力波の性質で決定され,共にω*に敏感である。大気中のΩはl=100kmの時,Ω=1.3に近く,海陸風循環では,上記の3つの基礎物理過程が同じ程度の重要性を持つと考えられる。
線形論の結果を,数値実験及び大阪市の海陸風の平均的な構造と比較し,海風前線近くの非線形効果について議論する。
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