気象集誌. 第2輯
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56 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 木村 竜治, 江口 恒夫
    1978 年 56 巻 2 号 p. 67-85
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    周期的に変化する非一様加熱に対する安定な密度成層流体の応答を,線形化された渦度方程式及び熱力学方程式を用いて調べた。
    適当なスケーリングを導入すると,現象がで定義される無次元パラメーターのみによって支配される事を示す。但し,ω*は地表温度変動の角振動数,Nは浮力振動数,υは熱および運動量の拡散係数,lは加熱冷却の行われる水平スケールである。
    生じる流れは,内部重力波,熱伝導波(復元力によって生じる波動ではないが,熱伝導方程式から得られる伝播する性質を示す温度擾乱),定常的なヒートアイランドによる対流の構造が混合したものと考えられる。Ωが1.3より小さい時は,流れはω*にそれ程敏感ではなく,定常対流の構造に近い。一方,Ωが1.3より大きいと,擾乱の鉛直スケールは熱伝導波によって,水平スケールは内部重力波の性質で決定され,共にω*に敏感である。大気中のΩはl=100kmの時,Ω=1.3に近く,海陸風循環では,上記の3つの基礎物理過程が同じ程度の重要性を持つと考えられる。
    線形論の結果を,数値実験及び大阪市の海陸風の平均的な構造と比較し,海風前線近くの非線形効果について議論する。
  • 宮原 三郎
    1978 年 56 巻 2 号 p. 86-97
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    下部熱圏に於ける平均流の生成について,潮汐波による平均帯状運動量の誘導と伝達の観点から議論する。予備的な議論として,3節では誘導される平均帯状流の運動量は,等圧面上で南北方向に平均すれば他の大気中の波動と同様に,波の運動量に等しいことが示される。またオイラー的平均帯状流は,波に等しい運動量は持たない。4節では,初期値問題として,簡単化された大気モデルについて,数値積分が行われ,3節の理論的結果と一致した結果が示される。更に半日潮第1モードについて,垂直波長が4πH(スケールハイト)より長い場合,オイラー的平均帯状流の方向は,波の運動量の方向と反対になる事が示される。これは,中村(1976)の結果と一致するものである。
    5節では,イオンドラッグや粘性,熱伝導を含んだ,より現実的な大気モデルについて,同様の数値計算が実行され,太陽半日潮の第1モードは,赤道上150km付近に数m/sec程度の東風を誘導する事示される。この数値算計の結果から,下層で励起された潮汐波,特に,太陽1日潮の第1モード並びに半日潮の第2対称モードによって,-100m/sec程度の東風が赤道上110 km付近に誘導される事が予測される。
  • 時岡 達志
    1978 年 56 巻 2 号 p. 98-111
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    垂直方向のグリッド上に物理変数を配列させるやり方について,波動の垂直伝播をうまく記述する観点から検討を加えた。同時に,差分化によるにせの解についても調べた。
    次に,変数の最適な配列法に基づいて,プリミティブ方程式系の垂直差分式を導いた。その際,荒川(1972)によって考察された,種々の物理量を保存する方法が用いられている。こうして導かれた垂直差分式には,まだいくつかの任意な要素が残されている。それらの要素は,内部波のより良い表現のため,又静力学の関係式の精度を上げるために使う事ができる。
  • 青木 忠生
    1978 年 56 巻 2 号 p. 112-120
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    気体の透過率計算における統計模型に,その波数区間外にある吸収線の効果を取り入れる方法を開発した。解は4つのタイプの吸収線強度分布に対して求められた。ここで得られた透過関数の関数形は,Wyattらが準統計模型に対して得たものよりはるかに単純である。
    同じ手法によって準統計模型の透過関数も精度及び計算速度ともに改善されることが示されている。
    ここで開発された半直接的統計模型の精度を見るため,その1つのモデルが水蒸気の回転帯の透過関数計算に適用された。結果は厳密計算の結果と非常によい一致を示した。
  • Wallace H. Chaplin, James F. Kimpel
    1978 年 56 巻 2 号 p. 121-129
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    対流圏の放射収支は雲の分布状態に強く依存する。したがって,低気圧の発達や急激な気団変質を調べるためには,気候学的に平均化されたような放射モデルを使うのは適当でない。
    ここでは,米国空軍気象中枢(U.S. Air Force Global weather Central)の三次元雲解析(3 DNEPH)モデル から算出される雲のデータを取り入れた放射モデルを開発し,AMTEX期間中の放射伝達の計算に〓用した。
    計算に使われた雲データが,その地点の実際の雲の状況と著しく違わないかぎり,計算と実測の下向き放射はよく一致することが確かめられた。又,対流圏における放射収支への雲の影響や,AMTEX領域での放射収支の時間的,空間的変化についても議論されている。
  • 小林 俊一
    1978 年 56 巻 2 号 p. 130-139
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    東南極みずほキャンプ付近においては,年中吹いているカタバ風によって地吹雪現象としての物質輸送がおこなわれている。きびしい南極の自然下で単時間で設置回収できる引き出し箱型地吹雪計を試作した。この地吹雪計の補捉率は風洞と野外で検定した結果0.23であった。この地吹雪計での飛雪量の測定結果と同じ地域において他の研究者
    達によって得られた結果とから,1m幅を1秒間に通過する最大飛雪量Qmax(g•m-1•s-1)は,1mの高さの風速u1(ms-1)と次の関係式にある。 log Qmax=0.2U1-0.12
    年間の風速の頻度分布と地吹雪の発生頻度を考慮して,みずほキャンプ(70°42.6'S,44°18.9'E,標高2230m)を通過する最大飛雪輸送量は約1×109kg•km-1•a-1であった。
  • 千葉 修
    1978 年 56 巻 2 号 p. 140-142
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    風速鉛直成分の歪度と安定度の関係に対する関心から;多くの研究者によって得られた歪度の観測値を集めた。そして上述の関係についての実験公式が導かれた。それは観測値にほぼ一致しているように思われる。
  • 1978 年 56 巻 2 号 p. 143a
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 56 巻 2 号 p. 143b
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
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