気象集誌. 第2輯
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53 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 岡村 存
    1975 年 53 巻 3 号 p. 175-188
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    はじめに,気圧座標系を用いたプリミティブ方程式の計算スキームが提案されている.このスキームは全領域の質量とエネルギーに関して保存するように作られ,最下層の気圧変化は傾向方程式によって計算され,その際,最下層の山岳地形の効果も計算できるようになっている.
    つぎに,側面境界の取り扱い方が提案されている.この方法は,広域ですでに得られた予想値を利用して狭い領域の境界値をきめる,一種のテレスコーピング•テクニックを用いる.その際,まず第一に,提案された境界条件の式に基づいて境界値を求め,つぎに,その値と広域解の値とを比較しその差が大きい場合に境界値を多少修正するといった2段階の計算手続きを行う.この方法の特長は,境界付近で人為的なスムージングなしにノイズを十分おさえることができる点である.
  • 山本 義一
    1975 年 53 巻 3 号 p. 189-195
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    KEYPS式を導く方法にしたがって,Km≠Kh≠Kwの場合のφm,φhおよびφwの式を導いた.その結果安定状態ではφmの式はKEYPSの式に帰着することがわかった.いうまでもなく安定時のKEYPSの式は観測と合わないので,それを改良することを考えて,2つの式を導いた.それらを含めて得られた式を他の研究者によって発表されている観測結果と比較した.最後に著者が導いた式に関連して,臨界リチャードソン数についての批判的議論を展開した.
  • 仲野 〓
    1975 年 53 巻 3 号 p. 196-202
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    10km以遠の雷放電の放電後の電場の指数関数型回復について,その緩和時間を調べた.緩和時間は距雑とともに減少するが,得られた値は他の研究者の値より1.5~2倍大きい.近距離の雷放電に関しては,放電後の電場は遠距離の場合と異って,ほぼ直線的に回復する.2日間の雷雨について電場の回復率と放電頻度の間によい相関があることがわかった.回復率は雷雲内の電荷の再生成率と正相関があるので,距離と関係なく,放電頻度の観測から,雷雲内の電荷の生成率を推定することが可能である.放電後の電荷の生成率は,この2日間の雷雨について,およそ1~10クーロン/秒であることが見出された.
  • 角皆 静男, 福田 一義, 中谷 周
    1975 年 53 巻 3 号 p. 203-213
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    冬の季節風による日本海沿岸の降雪中の化学成分,放射性核種および安定同位体を分析した.一続きの降雪内では雪の塩化物濃度は同じ海洋起源のナトリウムばかりでなく,他に起源を求められるカルシウム,硫酸塩,放射性核種ともよい相関性を示している.これは対流性雲から生ずる雪による化学成分の除去過程ではレインアウトの効果がウオッシュアウトより大きいためと考えられる.北海道,厚沢部での雪のラドン娘核種210Pb,210Biおよび210Poから1kgの雪をつくるのに関係した空気量は2000m3STPと計算された.Isono et al.(1966)の結論とは違って,雪の酸素同位体組成は海面の温度や雪が生成する温度には支配されていず,大陸から供給される水蒸気量と太平洋側に抜けていく水蒸気量の日本海から蒸発した水蒸気量に対する割合に支配されていることがわかった.得られた結果が相互に矛盾していないことを冬の季節風内での水と化学成分の収支を定量的に考察することによって確かめた.
  • 太陽光吸収による加熱と,火星の気象学的現象へのダストによる放射効果の重要性
    森山 茂
    1975 年 53 巻 3 号 p. 214-221
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    火星大気中に浮遊するダストの複素屈折率を評価し,それを使って,多重散乱の方程式を解くことにより,可視領域での太陽光吸収による火星大気の加熱を定量的に求めた.その結果,大気はダストによる太陽光吸収によって,強烈に暖められていること,及び,火星大気の熱的構造は,ほぼ,ダストの放射効果によって生ずる加熱と冷却のバランスで決っているらしいことが分った.また,ダストによる熱的な効果は強い熱潮汐を引起すであろうことが指摘されている.マリナー9号のデータの解析は,われわれの結果をよく裏付けているように見える.ダストの熱的効果を含む新しい火星の大気大循環モデルが,今や要請されねばならない.
  • D. Dietrich
    1975 年 53 巻 3 号 p. 222-225
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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