気象集誌. 第2輯
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66 巻, 1 号
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  • 野田 彰
    1988 年 66 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    Andrews•Mclntyre(1978)によって定式化された GLM (一般化されたラグランジ平均)記述を一般的な座標系に拡張した。四元ラグランジ座標を導入してLCM(ラグランジ座標平均)と GLM の間に成り立つ一般的関係を求めた。両者の関係を求めるうえで、初期の超曲面の取り方が重要であることが示された。テンソルのオイラー平均と GLM を、与えられた座標系に準拠して定義した。従って、平均化されたテンソルは座標系の選び方に依存する。流体のラグランジアン密度が持つ対称性と、それに関連した保存則を、エネルギー•運動量と擬エネルギー•擬運動量、波の作用について議論した。ここで拡張された GLM は初期条件に対する制限が緩いので、現実の現象に対して、より広い応用が期待される。
  • (1)熱圏ダクト内を伝播する火山性インフラソニック波の観測
    田平 誠
    1988 年 66 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    桜島の爆発によって発生するインフラソニック波が約700Km東方の愛知県刈谷市においてしばしば観測されている(Tahira,1982)。桜島から伝播するインフラソニック波は刈谷では1分程度の継続時間をもつwave trainとして観測されるのが普通であるが、東方への長距離音波伝播が下部熱圏と地表の間のダクトに限られる夏季、2ないし3個のピークとディップからなる極めて周波数の低い(0.08Hz程度)波がしばしば記録される。ここでは、1984年及び1985年夏の91回の爆発によって生じたインフラソニック波の記録を調べ、特にこのような低周波のシグナルに照準をあててその性質を詳しく調べた。その結果、観測される波形の特徴からシグナルの多くは3つのタイプに分類され、いずれもその周期が火口から約5kmの地点で観測される波の周期2.45秒に対して5ないし6倍に引き伸ばされていることが示された。
    また、大気潮汐による風の成分をも含めた大気モデルを用いて音線解析を行ってその走時を計算し、それぞれのタイプの波の観測された走時と比較した結果、上記の低周波シグナルの波形の分化は桜島から刈谷への伝播の際に熱圏高度で音波が反射する回数によって生じ、大半のシグナルは2同反射の後に刈谷に到達することが示された。
    これらの結果から、遠距離で観測されるインフラソニック波の波形の決定には熱圏高度における非線形効果による波の引き伸ばし、及び音波の反射高度付近で通過するcausticにおけるπ/2の位相変化が大きな役割を占めていることが示唆される。
  • (II)熱圏ダクトの伝播における波形変化の数値的研究
    田平 誠
    1988 年 66 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    熱圏高度で反射して長距離伝播するインフラソニック波について、弱い非線形性のもとでの波形変化を議論する。現実的な温度、風速の鉛直分布を仮定し、2次元面内での ray tracing を実行する。算出された音線に沿って、音線の広がりの効果、大気密度成層および平均風の効果を含めるように変形したBurgers 方程式を数値的に解くことにより、インフラソニック波の波形変化を求める。また、反射点付近で通過する caustic による影響も考慮に入れる。
    この方法によって桜島の爆発によって発生するインフラソニック波が710km隔たった刈谷市に到達するときの波形を計算し、測器の周波数特性を考慮して刈谷市において観測されているもの(Tahira,1988)と比較した。その結果、熱圏高度で2回反射して伝播する音線に沿って計算した波形の特徴、及び振幅、周期は夏季に頻繁に観測される波形(タイプ1)とよく一致し、また、熱圏で3回反射して伝わる音線に沿って算出した結果は同じくタイプIIとして観測されるものとよく一致することが示された。
  • 第II部 水蒸気補給の効果
    斎藤 定, 田中 浩
    1988 年 66 巻 1 号 p. 39-54
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    条件付対称傾圧不安定(Conditional Symmetric Baroclinic Instability,CSBI)の循環は下層への水蒸気の補給によっていかに変化して行くのか。またCSBIの循環はどのように対流セルを誘起し更にそれをコントロールするのであろうか。これらの問題について数値実験により探ることが本論文の目的である。用いた数値モデルは下層に水蒸気の補給を行っている点を除けば、第1部で使用したものと同一である。水蒸気補給がないケース、水蒸気補給率が小さいケースおよび水蒸気補給率が大きいケースの3種類のケースの実験を行った。これら3つのケースにつき雲、降水および成層の変化に着目した。水蒸気補給率が適度である場合は、補給なしの場合と同様に傾斜した構造を持つ雲が CSBI の循環によって形成された。この場合、いくつかの雲水量のノード(節)が傾斜した雲の中に現れた。このノードは傾斜した雲の内部での対流セルにより形成されたものである。このノードに対応して幅が広く降雨強度の小さい降雨域の中に、幅が狭く強い降雨強度を持つ降雨域が現れた。中部対流圏の対流不安定層内に generating cell もみられた。水蒸気補給率が大きい場合にはCSBIの循環の収束域および傾斜した対流不安定層内で対流雲が急速に成長した。緯度方向の降雨域の幅は狭くなったが降雨強度は著しく増大した。
    帯状降雨域の形成において CSBI の循環が果たす最も重要な効果の一つは傾斜した対流不安定層を誘起することである。この CSBI の循環により形成される対流不安定は水蒸気の補給率が増加するのに伴って著しく促進される。水蒸気の補給率が大きい場合、下層に形成される対流不安定がCSBIの循環の収束域でトリガーされ、そこでの対流活動が活発化する。
  • 2 三次元モデル
    大西 外史, 板東 聡
    1988 年 66 巻 1 号 p. 55-63
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    冬季に相模平野にて、昼間でさえ海の表面温度が陸上より高いのにかかわらず、一見海陸風のような風系を生ずる。本研究は冬の海陸風と地形との関係を三次元モデルを用いて数値実験にて求めたものである。
    相模平野は西に伊豆半島、東に東京湾と房総半島がある。先ず湾と半島の影響を平坦モデルを用いて調べた。その結果湾や半島はすぐ近くでない限り冬の海陸風に大きな影響をあたえないことがわかった。次に半島に丘陵がありそれが北に延びている場合をとった。計算の結果、麓から30kmも離れた地衡風の風上および風下の地点でさえ大きい影響を与えることを知った。
    第三の実験は関東南部の地形を考えたものである。平坦の場合、関東山地のみの場合、房総丘陵のみの場合および関東山地と房総丘陵共にある場合の四ケのモデルで計算した。相模平野の海陸風は、関東山地の影響を強くうけ、房総丘陵の影響を弱いながら受け、東京湾の影響を殆ど受けないことと、実験結果は小川の述べた実測と比べ二、三の点で異なるが、二次元モデルより実測に近いことが判った。
  • MRI•GCM-Iによる数値実験
    鬼頭 昭雄, 山崎 孝治, 時岡 達志
    1988 年 66 巻 1 号 p. 65-86
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    熱帯多雨林伐採による地表面状態改変が気候に及ぼす影響について大気大循環モデルを用いて調べた。アフリカ大陸上0°~12°N を対象領域とし、そこで土壌保水能力を減少させた実験(W)、地面アルベドを0.30とした実験(A)、それら両方とも変えた実験(AW)をコントロール実験(C)と比較する。実験は5月1日の初期値から4ケ月間積分し、主に6~8月の平均について議論する。
    土壌水分と地面アルベドの変化は対象領域での気候に対して異なる効果を持つ。W では蒸発散量が減少するが、地表気温の増加、地面からの顕熱フラックス増加による下層大気の加熱を通して水蒸気収束が起こることにより、降水量の減少は抑えられる。A では降水量減少は蒸発散量減少よりも大きい。この場合には上昇流が抑えられて、水蒸気発散となっている。地面のエネルギー収支は地面アルベド増加による太陽放射吸収量の減少と蒸発散量の減少とで主に釣合っており、地表気温はわずかに下がった。AW における応答は近似的に W と A における応答の和で表わせる。
    AW での局地ハドレー循環は弱くなる。対象領域における非断熱加熱は、C に比べて、対流圏上•中層では降水量減少により冷却、下層では顕熱フラックス増加により加熱となる。サヘル地域では逆に降水量が増加した。AW と C の西アフリカでの東西風の差は、サヘル地域で雨が多い時と少ない時に観測されるものと似ている。対象領域を含む東西断面では、AW において下層偏西風(アフリカ•モンスーン)の強化、アフリカ大陸とインド洋間の東西循環の差が顕著である。
    全球的応答では東西に一様な偏差があらわれた。又両半球亜熱帯の上層高気圧性循環が強化した。準定常波列がこれに重なり、降水量や気温偏差を伴っている。
  • 児玉 安正, 浅井 冨雄
    1988 年 66 巻 1 号 p. 87-101
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    GMS領域(90°E-170°W、50°S-50°N) における雲の広域分布とその季節変化の気候学的特徴を明らかにすることを目的として、 GMS赤外雲画像から得られた雲量データを解析した。1983年6月から1986年6月の3年間(1984年6月は除く)について、雲頂高度が700Mb面以上に達する雲の雲量分布とその季節変化を定量的に記述したほか、雲頂高度や卓越する雲形(背の高い対流雲か層状雲か)についてもある程度定量的に議論することを試みた。 雲頂高度の議論は、雲頂高度が400Mb面以上の上層雲量と700Mb面以上の中上層雲量との比によって、雲形の議論は、雲で覆われた緯度経度1°×1°領域内のTBBの標準偏差によって行った。
    中上層雲量の年平均値は、東経150°以東の赤道上を除く熱帯域(~4/10)と中緯度の低気圧経路上(3/10~4/10)で大きく、亜熱帯高気圧域(1/10~2/10)で小さい。雲頂高度は熱帯の多雲量域で最も大きく中緯度域では相対的に小さいが、中緯度域では、低気圧経路による雲頂高度の違いが両半球に共通してかなり顕著に見られた。すなわち最も低緯度側の低気圧経路の雲頂高度は、その他の低気圧経路にくらべかなり大きい。
    熱帯モンスーン域では大きな中上層雲量の年変化が見られる(2/10~4/10)。さらに、熱帯モンスーン域のうち大陸とその周辺域(約1000km以内)では寒候期の雲頂高度の低下が顕著である。これは、寒候期こにらの領域で深い対流活動が強く抑圧されること、寒気の吹き出しに伴って活発化する深い対流雲域は、大陸からやや離れた領域にみられることを示唆している。寒候期の雲頂高度の低下は亜熱帯モンスーン域である中国南部から日本にかけての領域でもみられる。中国南部と東シナ海では、暖候期に背の高い対流雲、寒候期に層状性中層雲が卓越し、雲頂高度の変化は雲形の変化を伴っている。熱帯•亜熱帯モンスーン域以外でも、アジア大陸上の少なくとも北緯50度までの領域で、夏季に深い対流活動が活発化し上層雲量は~2/10まで増加する。これは、熱帯モンスーン域を除き上層雲量が一年中小さい(~0.5/10)オーストラリア大陸上とは対照的である。
  • Ramasamy Suppiah
    1988 年 66 巻 1 号 p. 103-112
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    経験直交関数(EOF)解析を適用して、インド洋における海面水温(SST)の時空間変動を調べた。第1 EOFモードは総分散の20.54%を説明し、研究対象地域全体に正の値をとる。年々変動の最も卓越した成分を表す第l EOFモードの時間係数は太平洋のSSTアノマリーと密接に関連している。それゆえ、El Nino/Southern Oscillation(ENSO)イベントは、太平洋と同時期に第1 EOFモードの時間係数に現われる。SSTのスペクトル解析の結果によると、準2年周期(QBO)を含む18-48ケ月の周期帯と30-40ケ月の周期帯(南方振動)が卓越している。第2、3 EOFモードは、それぞれ総分散の5.6%、5.1%を説明しているが、相対的に寄与率は低い。
    SSTアノマリーの第1 EOFモードとスリランカにおける降水量の第l EOFモードの時系列を比較すると、すべての月について弱い正の相関関係が存在する。特に高い相関はENSOイベントの完熟期、衰退期に対応する10月、11、12月にみられる。太平洋およびインド洋のSSTアノマリーとスリランカの降水量アノマリーとの正の相関は最初に3月、4月に出現し、徐々に有意水準に達してくる。夏季モンスーンの時には、アラビア海のSSTはスリランカ、特に南西部の降水量に大きな影響を与えている。この季節の降水量は、同時期のアラビア海のSSTと有意な正の相関があるが、6ケ月前のSSTとは有意な負の相関が存在する。相関係数の符号の反転は夏季モンスーンの前年の11、12月に生じる。それゆえ、数ケ月後のスリランカの降水量の増加•減少を予測するのに有用かもしれない。
  • 住 明正, 豊田 威信
    1988 年 66 巻 1 号 p. 113-124
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    チベットの高原付近の冬季の大気の流れについて、観測データを用いて、数値 Simulation で示されているような edge disturbance が存在するか否かを調べた。その結果、チベット高原の影響については二種類存在することが分かった。即ち、一つは、synoptic scale の現象が山に沿って南に下がって来ることであり、この時の cold surge は、主として、中国大陸の海岸沿いにおきる。もう一つは、水平スケールが200km程度の edge disturbance で、Nakamura and Dootani(1985)の数値実験で示されたような山の周りの imbalance に起因するものと思われる。事実、この edge disturbance は常に生じるのではなく、大きなトラフが、山話にぶつかった時に発生している。この時の cold surge は、山に沿って起こる。cold surge が二種類存在するのは、気候学的に見ても妥当である。
  • 菊地 勝弘, 堀江 成人, 播磨屋 敏生, 近野 好文
    1988 年 66 巻 1 号 p. 125-139
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    一般に北海道における年平均降雨量や年間の大雨日数は、本州方面に比較して少ない。しかし、北海道胆振支庁管内のオロフレ山系南東斜面では、4月から10月までの7ケ月間の平均降雨量は2,000mm近くにも達し、日降雨量90mm以上の大雨の日も年間4~51回発生し、しばしば災害をもたらし、大雨地域として知られている。近野•菊地(1981)による観測から、この地域の大雨は、その最大降雨量の位置から、山岳型、海岸型、平野型、北西斜面型、その他の5つに分類される。これらのことを更に詳細に調らべるために、この地域にAMeDASその他7ケ所の雨量計に更に独自に16ケ所の雨量計のメソスケールネットワークを設け、1980、81年の2年間、6月から10月にかけて集中観測を行った。雨量計の間隔は約5kmであった。
    山岳型降雨の場合に限ってみると、最大降雨量は、オロフレ峠(海抜930m)と、白老の滝(海抜380m)付近に現われた。海抜高度が付近の山々に比べて、比較的低い白老の滝付近に最大降雨量が現われる原因を、地形を考慮して考察した。その結果、この斜面の南東側の太平洋からの暖湿気の南東風による移流では、比較的弱い降雨が緩斜面や平坦部で観測されるが、急斜面になる山岳部では強い降雨が観測された。このことから、海岸部から山岳部にいたる沢の形状が水平収束による降雨の増幅をうながしていることが推定された。
    これらのことを確かめるために数値実験を行った。その結果、単なる上昇流だけでは観測値に達しなかった降雨量は、水平収束の効果を加えることによって、観測値とよい一致を示した。また、山岳部の降雨強度、風速、上層の雲からの降水強度の関係が議論された。その結果、上層の雲からの降水強度が強いほど、また風速が強いほど山岳部の降雨強度が強かった。これらの結果を、数値実験と比較した。山岳部の計算による降雨強度は、上層の雲からの降水強度と風速によって増加した。したがって、もし上層の雲からの降水強度と地上での風速が、かなり正確に得られれば、オロフレ山系南東斜面での山岳部の降雨強度を推定できることが示唆された。
  • 山本 晋, 蒲生 稔, 横山 長之
    1988 年 66 巻 1 号 p. 141-154
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    混合層上部における比湿(Q)と温位(θ)の飛行機観測に基づき、混合層上部の構造および混合層上端部におけるL層安定層との水蒸気と熱の交換機構について調べた。その結果、Qは混合層内部ではほぼ一定で、ある高度で急減しているが、その高度は多くの事例でθの鉛直分布から決めた混合層厚さにほぼ一致する。混合層の発達時においては、混合層内の湿った気塊は熱対流によって上部に運ばれ、さらに上層安定層に湿ったコールドプルームとして貫入している。
    混合層上端部は上層安定層内の波動の影響を受けて波状を呈し、力学的に不安定になっている。そのために、下向きの気流の乱れが生じ、上層安定層中の乾いた暖気塊が混合層内に取り込まれている。熱対流の衰弱時においては、これらの下向きの気流の乱れと高気圧圏内の沈降流の影響により、混合層の厚さが薄くなるものと思われる。
    混合層と上層安定層の境界面は波状を呈しているが、その波長は2000~3000m程度、その振幅は100~200m程度である。
  • 伍 培明, 小野 晃
    1988 年 66 巻 1 号 p. 155-166
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    大気中のNO3-を含むエアロゾル粒子の性質とその形成過程を解明するために、巨大粒子と大粒子をインパクターにより、電子顕微鏡用メッシュの上に採集した。採集は1986年7月20日から8月22日までの夏季に名古屋(名古屋大学)と佐久島において行った。Nitron簿膜法で同定した個々のNO3-を含むエアロゾル粒子について、特性X線分光分析を行い、その性質(混合状態)を調べた。観測期間中、NO3-を含むエアロゾル粒子は半径1μmより大きい領域にはいつも存在していたが、1μmより小さい領域には滅多に存在していなかった。硝酸塩が純粋な単体として存在することは認められなかった。NO3-はサブミクロンの粒子においてSO24-とinternallyに混合して存在し、既存のアンモニアによって中和された硫酸塩粒子が大気中で、硝酸塩粒子の生成に重要な役割を果たしていることが示唆された。そして、沿岸都市大気中では海塩粒子だけでなく、土壌粒子(あるいはフライアッシュ)もNO3の重要なキャリアの一つであることが示された。
  • 荒生 公雄, 田中 正之
    1988 年 66 巻 1 号 p. 167-177
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    現実的な複数の混濁大気モデルにおける太陽放射伝達の厳密解に基づいて、太陽周辺の天空散乱放射の測光学的特性および色度特性を多様な混濁状態について考察した。太陽近傍の散乱放射は、混濁度の大きい大気状態において、特に可視の短波長側で著しく増大する。このような一般的な特徴にもかかわらず、直接日射観測に取り込まれる周辺光の影響による、 Angstrom の混濁パラメーターのパーセント•エラーは、混濁した状態よりも清澄な状態で大きくなる。その理由は、清澄状態ではほんの僅かな周辺光の直達日射への寄与が、エアロゾルの光学的厚さを著しく減少させるためである。太陽周辺光の色度特性は、大粒子を多く含む大気において空間的に顕著な変化を示すが、最も赤色の強い場所は常に太陽から約1.6度のところにあって、多様な混濁状態やモデルによる位置の変化は現れなかった。非吸収性のエアロゾルの場合と比べて、吸収性のエアロゾルによる周辺光の色度分布は、清澄状態では青色が一層強まり、混濁状態では赤色がより強くなる。
  • Richard S. Lindzen, Ka-Kit Tung
    1988 年 66 巻 1 号 p. 179-184
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    表記論文において、高橋は、著者ら (Lindzen, Tung) が展開して来た「シアー不安定は過剰反射の結果と解釈できる」という考えに対して反例を示し、反論を試みている。このコメントにおいて、著者らは、高橋論文の個別結果に誤りはないが、解釈、とくに数学的簡便さのための理想化 (不連続なシアーをもつ流れ) をしたときの解釈について高橋論文は不適切であることを指摘し、また高橋論文において強調されているシアー不安定のための条件は、原著者の主張を誤解していることを指摘する。結論として、高橋論文の見かけの反例にもかかわらず、前記の考えは依然として妥当である。
  • 高橋 正明
    1988 年 66 巻 1 号 p. 185-186
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 和雄, 馬場 厚
    1988 年 66 巻 1 号 p. 187-192
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 榊原 均, 石原 正仁, 柳沢 善次
    1988 年 66 巻 1 号 p. 193-199
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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