症例は74歳, 女性。発熱を主訴に1月21日近医受診した。胸部単純X線検査, 胸部CTではランダムに分布する微細粒状影が全肺野に分布しており, 粟粒結核の疑いにて当院紹介入院となった。入院時喀疾抗酸菌塗抹, 培養, PCRは陰性であったが骨髄吸引細胞診にて類肉芽腫を認めたため粟粒結核と診断し, 抗結核剤INH, RFP, SMの投与を開始した。投与開始5日目に血小板数が11.6×10
4/μlから0.3×10
4/μlに低下したため全抗結核剤を中止し, 濃厚血小板輸血に引き続き免疫グロブリン製剤の投与を行ったところ, 抗結核剤投与中止後11日目に血小板数は10.2×10
4/μlに回復した。血小板表面凝集IgG (PA-IgG) は上昇しており, 血小板減少後に再施行した骨髄吸引細胞診では比較的低形成な骨髄を背景に巨核球の増加が認められた。RFPによるチャレンジテストは施行しなかったが, INH, SMの再投与時には症状は再現されなかったためRFPによる免疫学的機序による血小板減少と診断した。RFP前投与歴のない場合にも稀に投与開始1週間以内に重篤な血小板減少を呈することがあり注意が必要である。
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