結核
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83 巻, 9 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 樋口 一恵, 岡田 賢司, 原田 登之, 森 亨
    2008 年 83 巻 9 号 p. 603-609
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕潜在性結核感染症治療がクォンティフェロン®TB・2G(QFT-2G)検査に及ぼす影響を検討した。〔方法〕中学校における接触者検診にQFT-2G検査を行い,陽性未発病者と判定保留者に潜在性結核感染症治療を指示し,治療終了後2度のQFT-2G検査を実施し各時点の反応値を比較した。〔結果〕治療終了者41人が,終了約1カ月後にQFT-2Gを受けた結果,治療前陽性の28人は治療終了1カ月以内で19人が陽性,6人が判定保留,3人が陰性となり,治療前判定保留の13人は,同様に1人が陽性,5人が判定保留,7人が陰性となった。QFT-2G検査の反応値は,治療前後で統計的に有意の低下が見られた(対応のある比較のt検定;BSAT-6:p=0.020,CFP-10:p=0.005)。一方,治療終了約8~11カ月後に行ったQFT-2G検査では,全体的な反応値の低下傾向は見られなかった。〔考察〕潜在性結核感染症治療に伴いQFT-2G反応値は開始時と終了時の間では低下が認められたが,この集団のように規則的に服薬を完了したにもかかわらずQFG-2Gが陰性化する者の割合は小さい。したがってQFT-2G検査の陰性化を潜在性結核感染症治療成功のモニターとして用いるのは適切でないと考えられる。
  • DOTS事業の推進と成果
    神楽岡 澄, 大森 正子, 高尾 良子, 山田 万里, 室井 雅子, 長嶺 路子, 深澤 啓治, 永井 恵, 和田 雅子, 星野 斉之, 吉 ...
    2008 年 83 巻 9 号 p. 611-620
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕結核対策事業の展開を軸にDOTS事業成績を評価し,都市結核対策のあり方を検討する。〔方法〕ハイリスク者結核検診の受診率と患者発見率の推移を検証した。DOTS拡大の前後で,治療成績を比較するとともに,再治療率と薬剤耐性率の推移を検討した。〔結果〕新宿区の結核罹患率(2006年)は人口10万対425までに低下したが,全国の罹患率と比較すると依然2倍以上の高さである。日本語学校検診およびホームレス検診からの患者発見率はともに有意に低下していた。治療成績のうち脱落率は,DOTS実施前には17.9%(1998~99年)と高かったが,65%(2002~04年)に減少した。再治療率は2000~06年にかけて23.0%から7.8%へ,年平均17.2%の減少(p<0.001)を示した。多剤耐性率は2000~02年から2003~06年にかけて1.6%から0.2%(p=0.042)へ,その他の耐性率は12.0%から9.7%(p=0.298)へ低下した。〔考察〕ハイリスク者結核検診による患者の早期発見・早期治療に加えて,地域の関係者と連携を図りながらライフスタイルに合った様々な服薬の支援方法を開発し,患者自身が選択できるDOTS方式を推進した。その結果,脱落率,再発率の低下につながったと考えられる。耐性率の低下の要因については,感染ルートの検証も含めてさらに検討する必要があろう。
  • 伊藤 邦彦, 吉山 崇, 永田 容子, 小林 典子, 加藤 誠也, 石川 信克
    2008 年 83 巻 9 号 p. 621-628
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕日本の治療中断者における中断要因を調査し,治療中断阻止に何が必要とされているかを分析する。〔対象と方法〕平成17年12月末時点の登録中患者における治療中断者(医師の指示による中断を除く)に関する,全国の保健所へのアンケート調査による。〔結果〕有効回答率は89.0%(541/608)で,登録中治療中断者のうち保健所との接触が可能な137人の中断者に関する調査票で治療中断要因を分析した。治療中断要因は7つの範疇に分類され(複数回答あり),診断治療に関する不信感や思い込み(副作用以外)51.8%,経済的問題24.1%,仕事(学校)に関連した要因23.4%,副作用に関連した要因22.6%,受診に関連した要因6.6%,精神疾患や薬物中毒4.4%,その他9.5%であった。〔考察と結論〕治療中断阻止に必要とされていることとして最も頻度が高いのは,患者への十分な説明および副作用に対する適切な対策を含む高い結核医療の質の確保であり,次に医療費や通院交通費補助等の公費負担制度の拡充,受診機会や受診医療機関選択における柔軟な診療受け入れ体制である。
  • 常松 範子, 後藤 美江子, 斉木 由美子, 馬場 美智子, 宇田川 忠, 鹿住 祐子
    2008 年 83 巻 9 号 p. 629-633
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕M.avium,M.intracetlulare複合感染の確認のため,VNTR法を実施し,電気泳動パターンの解析を行った。〔対象および方法〕症例:57歳女性,M.avium長期排菌者の2004年分離菌と2006年喀痰沈渣および分離菌から孤立コロニーを作製し,それぞれのコロニーを16SrRNA法にて菌種同定後,VNTR法を実施した。〔結果〕(1)2004年分離菌は単独のM.aviumであった。(2)2006年喀痰沈渣と分離菌はVNTR法により複数の抗酸菌の存在が示唆された。(3)2006年喀痰沈渣と分離菌は16SrRNA遺伝子解析によりM.aviumM.intracellulareに同定した。(4)2004年と2006年のM.aviumは同一の電気泳動パターンを示した。(5) 患者宅の風呂場からは,M.aviumは検出されず,感染源は特定できなかった。〔考察〕VNTR法の解析により,本症例は治療中にM.aviumM.intraceltutareの複合感染に推移したと考えられ,本症例のような複合感染の場合は,特にVNTR法の解析が有用と思われた。
  • 2008 年 83 巻 9 号 p. 635-652
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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