結核
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82 巻, 10 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 佐々木 結花, 山岸 文雄, 八木 毅典, 橋本 友博, 別宮 玲, 川崎 剛, 篠崎 理
    2007 年82 巻10 号 p. 733-739
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者肺結核症例について,病状,治療成績,予後を検討した。〔対象と方法〕対象は2001年から2003年の2年間に当院で入院治療した日本人菌陽性初回治療肺結核症例404例中,65歳以上であった高齢者145例で,65歳から74歳までの前期高齢者67例,75歳以上の後期高齢者78例に二分し,病状,治療,予後等について検討した。〔結果〕後期高齢者では,前期高齢者と比較し、重篤で,介護度が高い症例が多かった。治療開始時標準治療であった症例が前期・後期高齢者とも高率であったが,後期高齢者ではPZAの使用率が低率であった。前期・後期高齢者とも,PZA投与の有無によらず副作用による治療の変更および副作用における肝機能障害の発生率は変わらなかった。高齢者においても治療可能な症例であれば良好な菌陰性化率であった。介助を要する症例が多く,MRSAの合併など多くの問題を抱えていた。〔結論〕高齢者肺結核症例は,病状,介護の点から菌陰性化後転院する症例が高率であり,一般医療機関施設,老人福祉施設への結核治療への理解が必須であると考えられた。
  • 鹿住 祐子, 宇田川 忠, 前田 伸司, 村瀬 良朗, 菅原 勇, 奥村 昌夫, 東 由桂, 後藤 美江子, 常松 範子
    2007 年82 巻10 号 p. 741-748
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕M.aviumタイピングにおけるVNTRとRFLPの有用性を比較する。〔対象および方法〕喀痰・気管支洗浄液分離の36例(55株)とHIV・血液から分離された12例(29株)を用い,西森らのM.avium用VNTRとISl245を用いたRFLPを行った。〔結果〕16例から複数回採取された検体は12例がVNTRとRFLPが一致した。1例(8株)に多クローン感染(2株)とM.intracellulareの複合感染(1株)が認められ,VNTRは2種類であったが,RFLPは5種類確認された。そしてHIV感染者血液の1例(6株)のVNTRは6株とも同じパターンであったが,RFLPは3パターン得られた。用いた84株のうち多クローン感染が6株あり,それらは喀痰・気管支洗争液から5株(13.9%),HIV感染者血液から1株(8.3%)であった。そしてM.aviumと共に他の菌種の複合感染が3例(6.3%)あった。VNTRにおいて,接触歴のない株でVNTRが一致した例が,全48例89株中で4組9例(18.8%)あったが,これらの株はRFLPで区別可能であった。〔結論〕今回の84株のM.avium1分析例ではRFLPの分析能はVNTRより高かったが,同一例から採取した検体からVNTRは同じであったがRFLPパターンが異なるものがあり,1症例から複数回の検体採取を行う必要性が示唆された。
  • 木下 節子, 大森 正子, 塚本 和秀, 大塚 五郎, 益子 まり, 藤生 道子, 高橋 司, 星野 斉之
    2007 年82 巻10 号 p. 749-757
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕都市における結核発病の実態を報告し,今日の都市結核対策を検討する。〔方法〕症例研究を中心に行った。各症例の社会背景と結核菌DNA指紋分析を加えた菌情報により感染経路を調査した。〔結果〕2005年2月よりの1年5カ月の間に,川崎市川崎駅周辺の約500m四方の地域で9例の結核発病を確認した。9症例は16~55歳の比較的若い年齢層で,3例はホームレスであった。接触者健診の過程で,すべての症例が川崎駅周辺を生活活動圏としており,ネットカフェ等での関連が推測された。9例中7例はSM耐性菌であり,そのうち5例はDNA指紋分析により同一パターンを呈した。〔考察〕本事例はネットカフェ等の不特定多数利用施設を中心とした感染と考えられた。都市にはこのような施設が多く,若年者層とともにホームレス等の社会的弱者も利用する。結核未感染の若年者層と結核ハイリスク層とが閉鎖的空間を長時間共有する環境は,いったん結核菌の喀出があれば,容易に感染が起こりうることを示唆した。結核の都市偏在にはこのような社会環境も影響しており,それらを加味した総合的対策が求められる。
  • 鈴木 克典, 松木 暁裕, 齋藤 和義, 田中 良哉
    2007 年82 巻10 号 p. 759-763
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    生来健康な29歳の女性が職場の健康診断にて胸部エックス線検査にて異常陰影を指摘された。出産後2カ月経過して授乳中であった。呼吸器症状は特に認めなかった。塗抹検査で1+,胸部画像検査では右下肺野に不整型の病変と経気道的に散布されたと考えられる粒状病変を認めた。肺結核症に準じイソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド,ストレプトマイシンによる治療を開始した。その後培養検査にてM. chelonaeが証明された。その後の喀痰検査,気管支鏡検査などからも繰り返しM. chelonaeが同定され,肺M. chelonae感染症と診断。薬剤感受性検査の結果に基づいてピラジナミド.ストレプトマイシンを中止し,イソニアジド,リファンピシンに加えて,クラリスロマイシンを併用し,治療を継続。以後12カ月間,喀痰検査からのM. chelonae陰性化と画像上の病変の縮小を認めた。HIVなど基礎疾患をもつ患者での非結核性抗酸菌症などの多様化が認められているが,出産や育児以外に基礎疾患や特記すべき家族歴,喫煙など生活歴がない健常の授乳婦に呼吸器感染症を起こすことが比較的まれなM. chelonaeによる呼吸器感染症に対して,薬剤感受性検査を施行することで良好な転帰をたどった1例を経験した。
  • 2007 年82 巻10 号 p. 765-799
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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