〔目的〕肺Mycobacterium kansasii症と肺結核症(以下,肺結核)の胸部X線学会分類で拡がり1の症例においては画像所見による鑑別は困難と思われる。これらの画像上の特徴を明らかにするため,両者の拡がり1の症例の胸部X線およびCT画像を統計的に比較・検討することを目的とした。〔方法〕胸部X線およびCTで拡がり1と考えられた肺M.kansasii症および肺結核の,胸部X線およびCT画像の特徴を比較した。〔結果〕肺M.kansasii症は肺結核と同様に片肺病変が多く,右肺病変が多かった。肺M.kansasii症の病変は肺結核に比べ有意に上葉,特に肺尖部に多く,有空洞率が高く,孤立性病変が多かった。〔結論〕肺M.kansasii症の病変は肺結核よりも肺尖部に強い局在性を示していたことからM.kansasiiに対する肺尖部のvulnerabilityが示唆された。
〔目的〕結核症に対するリファブチン(RBT)の使用状況を明らかにする。〔対象〕複十字病院において2008年10月から2011年11月までにRBTを投与された42例(うち3例を除外)。〔結果〕平均年齢は69.7±18.1歳,BMIは19.1±3.4kg/m2であった。リファンピシン(RFP)からRBTへの切り替えまたはRBT使用の理由は,RFPによる副作用28例(消化器症状16例,肝機能異常7例,皮膚症状6例,腎機能障害1例,血小板減少1例,以上重複を含む),薬剤相互作用6例,RFP耐性またはRFP耐性疑い5例であった。RBTを3週以上投与可能であった症例は,副作用による変更症例のうち20例(71.4%),それ以外では9例(81.8%)であった。腎機能障害以外はすべての副作用でRBT投与可能であった。〔考察〕RFPの副作用は結核治療の妨げとなるが,RBTへの変更により減感作が不要であること,治療期間の短縮などのメリットがある可能性が示唆された。