〔目的〕看護師の結核発症状況を分析して,感染・発病の阻止方法を検討する。〔対象・方法〕1999~2003年大阪市に新規登録された結核患者について職業欄に看護師等医療関係者の記載のあった結核登録票を全数調査した。〔結果〕女性看護師・准看護師の罹患率は女性全体の3.0倍であった。患者発見方法別では多いほうから,有症状による医療機関受診(67名,55.8%),職場定期健診(43名,35.8%),個別健診(7名,5.8%),接触者健診(3名,2.5%)であった。病院における感染危険要因の割合は,全体では55.0%,20歳代は72.5%,30歳代は47.4%,40歳代37.5%,50歳代36.4%,60歳代0%と年齢が低いほど割合が高い傾向にあった。個別の感染危険要因は頻度の高い順から「病院に結核患者あり」(10.09%),「接触者健診受診歴あり」(9.2%),「18歳以降治療歴あり」(7.5%),「結核病院結核病棟勤務」(6.7%),「同僚に結核患者あり」(5.0%),「勤務開始後ツベルクリン反応増強」(2.5%),「健診時陳旧性結核と言われた」(1.7%),「化学予防中断」(1.7%)であった。特に患者数の多い20歳代では,「接触者健診受診歴あり」「病院に結核患者あり」だけで38.8%と高い割合を占めた。〔考察〕一般女性の3倍と高い看護師の罹患率を低くすることを目指して,院内感染対策を推進することが重要である。
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