°データは,12日~30日周期でフィルターした,1978-79年年冬季3ヵ月の850mb及び200mbの風,渦度,発散である。これらのフィルターしたデータの合成図を作成した。
南及び東南アジアの200mbの循環は,上部対流圏の東進するトラフ及びリッジの通過に伴い,大きな変化をする。これらρ擾乱の発達,ゆっくりとした東進,そして消滅の機構は,Murakami(1981c)により調べられたものと同じであった。また,顕著な長周期(12日~30日)の擾乱を,日本から中部太平洋を通り,赤道太平洋まで追跡することが出来た。これらめ擾乱は,主として,季節平均場及び他の全ての周期の擾乱との順圧非線形効果により維持されている。オーストラリアの東側でも,長周期変動が顕著であった。この領域では,対流活動に伴う渦度の垂直輸送が重要のように思われる。
850mbでは,北風の吹きだし(偏差)は,アフガニスタンーパキスタン,日本-フィリッピン及び中部北太平洋の三地域で卓越している。チベット高原の西縁では,東進するトラフの前面の下層の南西風が急斜面を流れ上がるため,下層の収束が強化され,トラフを堰B切る発散成分の西風が増加し,そして,局所的な北風が加速される。この地形による加速は,日本-フィリッピン地域の北風の加速にも関係がある。一方,中部太平洋の1700W付近の北風の加速は,30°N以北の擾乱の活動度に関連がある。
赤道に沿って,850mbの東西風及び発散は,顕著な20日周期の変動をする。中部太平洋領域の西風偏差,収束(東風偏差,発散)は,インド洋上の東風偏差,発散(西風偏差,収束)と対応する。赤道付近の850mbの東西風の変化は,主として,東西方向の気圧傾度力によるものと思われる。
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