都市産出の塵芥は氣候風土により其物理的並に化學的組成も著しく相違して、甲地の處分方法必ずしも乙地に適せりとは斷ぜられない。乍而本邦に於ける都市の塵芥處分を經濟的(衞生的なるは勿論)に行ふには、研究の結果から塵芥を燒却して其熱力を利用するにある事が明らかにせられて居る。
果して然らば、含水分の多き本邦都市の塵芥を燒却したる時は如何なる結果が得らるゝか。著者は大阪市産出の塵芥に就て工業的規模の實驗を施行した。其實驗報告が即ち之である。
最初に燃料として觀察した結果を簡單に述べ、實驗の目的は電力發生の前提として燒却熱を利用して蒸氣を發生せしむるのと、乾餾により瓦斯及塵炭を得、副産物を回收する(本邦特許37802號)のと、工業的に如何なる結果を生ずるかを檢覈するに在つた事を述べて居る。且又燒却爐に關する著者の意見を披瀝し本邦特許42440號に基いて實驗爐を設計した事を説いて居る。
次に實驗設備の梗概を叙し、實驗方法や測定器具に就て概説し、電力發生には最も簡便な蒸氣の發生に關する實驗結果を詳細に説いて居る。
蒸氣發生試驗は壓力7氣壓、10氣壓、14氣壓の三種であつたが、7氣壓及10氣壓の成績は参考として抄録に止め、14氣壓の成績を主として論述して居る。
實驗に使用した爐に於ては44.7%-49.5%含水分の塵芥で、其乾燥物の發熱量1,800-2,100Kg. Cal.品位のものでは、100°Cに於ける蒸氣發生量は1.04-1.15Kg. per Kg of Refuseなる成績を擧げて居る。
最後に乾餾實驗成績を概説し、蒸氣發生法と比較する事は未だ輕卒には是をなし得ないと論じて稿を結んで居る。
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