單捲コイルの固有波長を理論的計算により求むること容易にあらず、今之れを實驗的に求めんと試みたるなり。
波長二米半程度の短電波を安定に發生する事を得たるを以て、此の發振器より十米の所に受波器を置き、受波器の前方に測らんとするコイルを置き、コイルろ吸收の影響を受波器に於て觀測して其の共振波長を定めたるなり。
正三角形、正方形、及び圓に於て單捲の閉ぢたるものにつき測るに、發振器をば一定不變の状態に保ち、コイルの寸法を變へて、其の共振する大さを定めたり。
又た以上のコイルの一部に一糎の切れ目を作りたるものの自由振動波長を定めたるに、基本波、第二高調波、第三高調波に對する共振點を求め得たり。
實驗方法の正確度に關しては尚ほ缺點あれども、斯かる測定方法が極めて顯著なる結果を與ふる事を示すに充分なり。
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