二つの梱等しき三相誘導電動機の一次を並列となし,夫等の二次を電氣的に縦續し,而も廻轉子は何等の機械的連結をなさざるParallel concatenationの一種に於て,一次二次の相廻轉がすべて同一なる場合には,廻轉子は電氣角にてπなる相差をもつ位置に於て静止すべし。之によつて位置傳逹が可能である。次に一方の廻轉子に外部より機械力を加へて之を廻轉する時は他方の廻轉子は之と同一の速度を以て廻轉する。即ち同期機械勢力が電氣的聯結のみによつて傳達し得。今之を便宜のためSelsyn Concatenationと稱す。
本稿はこの縦續法に對する理論を考察せるものにして,まつ兩機の一次電流線圖が負荷の變化に對して簡單に圓線圖となる事を示し,次に誘導電動機への電氣的入力並に機械的入力が如何に分配され且つ出力として現れるかを論じずたり。而して機械的入力に對する最大値によつて負荷が制限され,之より大なる負荷に於ては同期廻轉を外れるが,この臨界値が廻轉速度並に誘導電動機容量と如何に關係するかを考察せり。
實驗結果の若干を示し理論的考察を實證せり。
Selsyn concatenation が單相二次多相誘導電動機或は單相誘導電動機による場合に就いては,之が理論は他の機會に譲ることとし,簡單なる一二の考察を加へたるのみなり。
本稿は次の諸項に分つ。
I. 緒言
II. 並列縦續法の諸相
III. 同期廻轉勢力の傳達
IV. Polyphase selsyn concatenationの理論
V. 同期運轉の安定と負荷の制限
VI. 實驗結果と其吟味
VII. 單相二次なるSelsyn concatenation
VIII. 單相一次なるSelsyn concatenation
IX. 結語
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