從來殆んど實驗的にのみ研究されて居た聽衆堂の音響的設計或は矯正等の問題を,「室内音響現象の研究(一)」†に誘導せる著者の理論に基づいて考察したのが本文である。即,先づ室内各點に於ける話の明瞭度,及び一つの室の音響的性質を代表すべく定義した"室の明瞭度"を示す各理論式を導き,次に最良聽感は,一貫せる話(或は音樂)の"了解度"100%にして而かも殘響は成る可く大なる時にのみ得らるると謂ふ假定の下に,上述の室の明瞭度の式から次の如き室の最良殘響に關する二條件を得た。
室の最良殘響時,Topt.=0.240H音源の最良工率,Popt.=const.×F
茲に,Hは聽衆席上に測つた室の平均の高さ(米),Fは聽衆の居る床の面積(平方米)である。
尚,從來の實驗結果は此等の理論式を全く支持する樣である。
抄録全体を表示