本編に記す處は通信線路用眞空避雷器の性能試驗に就いて、著者等が採つた方針、手段、並びに之に依つて市場に存在する數種の眞空避雷器に對して行つた實驗結果の大要である。
第一部、「眞空避雷器試驗の標準事項」に於ては、先づ通信線路に於ける異常電壓、之に對する通信線路の性質を調べ、一般通信線路用の避雷裝置に對して如何なる條件が要求さるゝかを論じた。次に眞空避雷器が、眞空放電管として當然保有すべき性質を列擧し、此の範圍に於で眞空避雷器に負はしめ得る使命を考察し、依つて一つの眞空放電管が避雷器として具備すべき諸要件を數へた。
第二部「適否試驗の種類と其の方法」に於ては、與へられたる眞空避雷器が第一部に論じた諸要件に果して適合せるや否やを試驗する方法に就て考察した。其の結果(1) 點檢、(2) 絶縁試驗、(3) 放電開始電壓試驗、(4) 「火花の遲れ」試驗、(5) グリム放電特性試驗、 (6) 衝撃電壓試驗、(7) 弧光放電特性試驗、(8) 劣化試驗を行ふ事とし、之等各試驗の方法、及び之を實行するに際しての種々なる注意を記した。
第三部「眞空避雷器數種に就いての試驗例」に就ては、第二部記載の諸方法を以て、著者等の手に入りたる約十種類、數十個の避雷器に就いて性能試驗を行つた結果を、前記各種の方法に依る試驗例として擧げて居る。
抄録全体を表示