アルキッド合成樹脂は皮膜として可撓性に富み,耐油性大なるものありと雖も,酸,アルカリ等の藥品に弱い。之を補ふ目的にて石炭酸系竝にクマロン系合成樹脂を配合して絶緑塗料を試作し,次の物理化學的諸性能を檢討した
(i) 150°C,1hの燒付試料に於て,絶縁性,硬度,可撓性及び酸.アルカリ.沸騰水,變壓器油に對する抵抗力竝に原價,施工,資源等を吟味し,アルキッド:18~67%,石炭酸系樹脂:26~78%及びクマロン:0~27%の組成範圍が良好なる事を認める
(ii) 上述の良好組成範圍の中心,アルキッド:石炭酸:クマロン=5:4:1なる配合試料に就き,燒付條件を吟味して,150°C,1hが最も適當なる事を明らかにした
(iii) 上述の最良配合試料を最適條件にて燒付した塗膜に就き,その耐熱性を檢討する一方法として,これを更に1h加熱してその變質を吟味し,劣化の甚だしくなる臨界温度を次の如く決定する。絶縁性:360°C,可撓性215°C,耐酸性(HNO
3)260°C,耐アルカリ性230°C,耐油性285°C,耐水性315°C及びトルオールに對する抵抗320°C,又熱天秤によれば230°Cより重量の減少が始まる。尚金屬顯微鏡にて皮膜の劣化機構を觀察吟味した。
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