本篇は,衝撃放電と減衰又は不減衰高周波放電との關係に就いての研究報告であるが,就中,針對平圓盤電極の如き不平等電界に於いて,所謂コロナ線條や,光溝が,各々の場合如何に生じ,從つて,火花放電過程に如何なる役割を演ずるかを知らんとしたのである。從つて,夫れ夫れの電源を用ひ,放電現象を暗室にて細かに觀察し,相比較した。又氣壓を相當變化させた場合のそれ等放電現象をも觀察し,以て高周波火花放電の立場を明かにせんと企てた。
その結果,高周波放電に際しても,線條又條件によりては,光溝發達し,次いで火花閃絡に至る過程は,衝撃放電の場合と同樣であることがわかつた。但し,高周波放電に際しては,殘留空間電荷その他の第二次的原因が加はつて,衝撃電壓の場合と一見趣きを異にして居り,又線條や光溝の發達にも自ら相異があるから火花閃絡放電電壓も亦自ら相異するであらうと想像出來る。
實驗結果は詳細に説明し,又必要に應じて寫眞を以て示した。
本實驗に使用した周波數は,不減衰の場合は,3,000キロサイクルから600キロサイクル程度であり,減衰の場合は,8,000キロサイクルから300キロサイクル程度であつた。
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