電氣學會雜誌
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44 巻, 433 号
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  • 馬場 敬治, 司城 正木
    1924 年44 巻433 号 p. 725-765
    発行日: 1924年
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    電氣供給事業は今日我が國大工業の一となり、而して其の業務の公共的性質と其の企業の獨占的傾向とは、更に、電氣料金問題の解決を國民經濟上一層重要にするものと云ふを得べし。此の問題は、今日、獨り我が國のみの問題に非ず、亦世界的の問題にして、殊に米國に於ては、是が論義最も盛なりと雖も、未だ凡ての點に於いて完全に解決せられたりと云ふを得ず。思ふに、此の問題も亦、其の解決の基礎を、先づ正確なる理論的研究の上に置かざるべからず。本稿は、今日の社會に於いて合理的なる料金を決定せんとするに當りて必要なる一般的基礎を述べんとするものなり。
    斯くて以下第一章に於ては、料金決定の標準たる生産費説及び價値説(更に共の一變形なる最大利得説)を檢討し、單に電氣に對する需要家の主觀的價値夫れ自身に準據して料金に差等を設けんとすることの不可なるを説明し、料金は之が差等を辯護すべき正當の理由無き限り原則として生産費説に據るべきことを述べ、而して今日の實際に於ては、主として生産費説に據る料金の決定を原則とすべきことを述べたり。
    次いで第二章は、生産費説に據る料金決定の一般的方法を説述するものにして、まづ、ホプキンソン以後今日に到る迄の主要なる料金學説を叙し、需要費用、消費量費用及び需要家費用の三種の費用と之に應ずる三種の料金要素を區別すべきことを述べ、更らに進んで、各種費用の一々に就き考察して之を上記三種の費用に分類し、次いで此の三種の費用の配賦を論じ、需要費用の配賦に就てはゴールドマンに其の端を發し次でアイゼンメンガー之を完成せる方法即ち氏の所謂相當需要に依る方法を採るべきことを明かにし、尚之れより氏の導かざりし二三の結論を出せり。
    最後に、斯くして得たる一般理論を更に實用的のものたらしむるが爲めの簡便法に就き考察し、需要家區分の原理其他の單純化に就きて述べたり。
  • 木多 勘一郎
    1924 年44 巻433 号 p. 766-792
    発行日: 1924年
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    本編は數個の外國に於て現在採用せらるる電氣料金及び料金制につきて説述したものなり。電氣料金制は電氣事業の發達に伴ひ研究行はれ、現在に於ては之等の研究の結果と事業經營の經驗とによりて、數種の基本料金制の確立を見るに至れり。此料金制は全國を通して一般的に採用せられ、之等を基礎として料金を決定するものとす。基本料金制は
    (1) 定額制
    (2) 從量制
    (a) 單一從量制
    (b) 「ブロツク」從量制
    (3) 需用料金制
    (a) 「ライト」需用料金制
    (b) 「ホプキンソン」責任料金制
    實際に採用する場合には基本料金制を其儘使用するものも尠からざるが、又之等を變化し、組合せて種の形式を異にする料金制を使用す。之等の料金制は次の如し
    (1) Straight line meter system:- a) Double tariff system, b) Step meter system,
    (2) Block system:- Modified block system,
    (3) Hopkinson demand system:- a) Block Hopkinson system, b) Ratable value system, c) Contract tariff system, d) Step Hopkinson system, e) Modified Block Hopkinson system, f) Two charge system, g) Three charge system,
    (4) Wright demand system:- a) Block Wright system, b) Step Wright system,
    (5) Combined Hopkinson and Wright demand system。 Combined Block Hopkinson and Wright demand system.
    本編に於ては(1)基本料金制の發達、種類、用途及料金決定方法(2)從量制及「ライト」需用料金制の最低料金と「ホプキンソン」責任料金制に於ける責任料金との關係(3)北米合衆國、英國、獨逸、瑞西及墺太利に於ける現行電氣料金及料金制(4)力率料金制を説述せり。
    交流送電系統に於ける力率の増進を目的として、北米合衆國及英國に於ける多數の電氣事業者は最近力率料金制を採用せり。需用者に負擔せしむべき料金はCost of serviceを標準として決定せらるるものなるが故に、需用者の負荷の力率を考慮して支拂料金に適當なる差等を設くる事は極めて必要なる制度とす。本邦に於ても大電力需用者に對しては此料金制につきて考慮の必要あるものと信ず。
  • 野口 孝重
    1924 年44 巻433 号 p. 793-799
    発行日: 1924年
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    振動、波動、其他一般に波形に變化する現象、特に交流電氣工學に於て波形分析機の必要なるは論を俟たず。既に世に公にせられたる分波機數種あれども一長一短ありて特に好ましきものなし。茲に新考案に成れる、小型、取扱容易、測定正確にして分析するに特定波長圖たるを要せず、析出高調波の位高きに及ぶ分析機を試作成功したるを紹介す。機體は大さ高10cm幅20cm長35cmあり、全部摩擦聯動なるが故に140cmより0.5cm迄任意の波長に合ふ樣調整することを得。原理は所謂Henrici's Principle cosnθdy及び sinnθdyによりてFourierの係數を求むるものにして、此等の積分を行ふ機械なり。次の項目にて記す。
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