Colebrookのダイナトロン發振器は内部グリッドに正電位を必要とする四極眞空管には不適であるので,筆者は先づ高抵抗の代りに低抵抗の塞流線輪を用ひる事に依り満足なる結果が得られる事を述べ,これにより實效負性抵抗を半減する事が出來,振動強度も大になし得た事を實驗的に明かにした。
次にアノードと内部グリッド及びアノードと外部グリッドとの間に電磁的又は静電的に結合のある場合についての種々の實驗をなし,與味ある不可解な異常現象が多くある事を述べた。一般に内部グリッドへの再生は振動強度を増す上に有益であるが,外部グリッドへの再生はそれに反して有害である。後者の場合に時として「振動なき範圍」が生じたが,これはアノードを一次と,外部グリッドを二次とした結合回路と考ふべきものである。
プッシュ•プル回路がダイナトロンの場合に簡單に實現し得られる事を示し,次に不平衡の場合を論じ,アノード電流の直流値が兩方の真空管の振動状態に重大なる影響がある事を述べた。
定電流變調,定電壓變調共にダイナトロン發振器に適用し得られるが,前者の困難は變調用の塞流線輪自身が發振する事である。後者に於てほ變調管自身の抵抗によるJumpingを防がねばならぬ。併し變調管自身の抵抗は一般にその樣なJumpingを生ずる程大きくないから,この方が實用されると思ふ。又吸收法も可能な事を述べてある。
ダイナトロン發振器に二次結合回路のある場合を實驗すると,恰も普通の再生式發振器と同じく三種の結合状態がある。この三種を圖によつて示した。
特性曲線の彎曲の爲に,二種の振動状態があるには共振の時にそれが現れ,振動は二段に開始し,二段に停止する。
本文を次の諸項に分類する。
抄録全体を表示