本論文は誘導電動機過渡現象を數理的に研究せんとする爲め、先づ一般的對稱に一次側の相數をm1とし二次側相數をm2として微分方程式により一次側より一般的m1相の不平衡電壓が供給された場合の運轉状態を計算した。且つ一次及び二次の電流が如何なる形でも其廻轉力は
r=PMΣm2-1 y2=0[i2y2Σm1-1 y1=0 i1.y1 sin{2y1π/m1-a-wrt-2y2π/m2}]
にて表はされる事を證明した。
次に微分方程式の補幼方程式より過渡現象の定數を計算して前述の種々なる運轉状態の種々なる過渡現象を研究した、其結果或二つづっの場合の過渡現象が互に共通値があつて其一つを知れば他は直に之を知る事が出來る事が理論及び實驗によつて確めた處誘導電動機の場合にも此事が通用する事が解つた。例へば他力により或廻轉數で廻はしてある電動機にスヰツチを入れて急に電壓を加へた時のt時間後の電流をi'(sudden application of voltages)とし、同じ廻轉數で電力により運轉して居る電動機の端子を前と同じ電壓の相時の時急に短絡した時のt時間後の電流をi'(sudden short circuit)とし又、同じ廻轉數及びt時間目と同じ電壓の相時の恒久状態の電流をi(permanent)とすれば
i' (sudden application of voltages)+i' (sudden short circuit)=i permanent
なる關係がある。此理を利用する時、例へば誘導發電機の短絡電流などを調べる時之を短絡する事は實行上困難な點が多いが全負荷廻轉數で運轉して、急に供給電壓を加へて其時の過渡電流を實驗によつて求め其廻轉數の恒久状態の電流より引き去る事によつて短絡の場合の電流を求める事が出事る。
凡て理論は實驗と比較して其確實さの程度を明らかにしてある。
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