表題事項に關する理論的研究は、歸する所Otto Böhm其他多くの諸家に依りて提稱せられたる、誘導同期電動機同期化の理論的研究と同一なり。然れども是等諸家は基本式解法を圖式方法に依れり、著者は新にK
2ω
2+K
1ω+K
0なる抵抗の項を導來せしめて、基本式の純數理的解法を提稱し、且つ併せて兩側の速度變化を研究せり。
兩者の速度變化は、ユングストローム蒸汽タービン直結發電機の如く、兩側發電機の運動量の略等しき場合、又は運動量の極めて小なる小型同期發電機の安定度を論ずるに當りて閑却し得ざる所なり。
本文は拙稿ユングストロームターボゼネレーターの同期廻轉力に就て(電氣學會雜誌大正十二年三月)に關聯する所多し、該論文にては主として、勵磁回路の一定恒數の場合に於て、誘導機としての極限の辷りと、同期機としての速度變化の脈動の價との關係を論じて其状態に到達する過度時間變化を閑却したれども、本論文に於ては主として該過渡時期變化に就て論ぜんとす。
本論文は其係はる所、ユングストロームターボ發電機に關するもの多しと雖も、一般同期機にして誘導機廻轉力を具備する電機の微少速度辷りの状態より同期化に入る過程を論ずるに當り、其儘應用し得るものとす。
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