可聽周波數増幅器の各種の型の電壓増幅比を交流ポテンシオメーターで測定した。その結果はこの増幅比の大いさと相角とを一段から三段まての抵抗、レアクタンス、變壓器結合の増幅器に就て與へてゐる。その周波數特性曲線(増幅比對周波數)及び振幅特性曲線(増幅比對インプツト電壓の振幅)が示されてゐる。
抵抗、及びレアクタンス増幅器では、その周波數及び振幅特性の非直線性から來る變歪はない。
變壓器増幅器では特別の注意を變壓器の設計に拂はぬと此等特性曲線は理想的のから遠いものとなる。
負性傾位のある程度を三極管のグリツトヘ高い電壓増幅比を得る爲には入れなければならない。此グリツド傾位がないとグリツド組條間のインプツト、イムピーダンスは非常に減少して装置の増幅作用を害するにいたる。
インプツト電壓が高い時の此インプツト、イムピーダンスの減少はまた振幅による變歪の原因である。この變歪を防ぐ色々の方法が本篇に提示されてゐる。グリツド傾位の負性値の増加は其一つである。此方法は然しながら變歪の他の原因となる。何となれば三極管の働作範圍がその特性曲線の下部へ移るから。斯樣な場合にはpush-pull法は用ゐて非常に利益が多い。
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