多相誘導電動機の速度を自働的に調整する方法の一として、直流で勵磁したリアクトルを電動機の一次側に直列に接續し、其直流を自働的に調整することによりリアクトル内に生ずる電壓降下を變ぜしむる方法は屡々用ひられて居る。例へば米國のRCAが無線電信送信用高周波電動發電機の自働速度調整装置として採用して居るAlexanderson方式の如きもその一例である。斯の場合に此直流勵磁飽和リアクトルの特性並に之が電動機の特性に及ぼす影響は、比較的複雜で之を全部數式的に取扱ふことは困難であるから、筆者は圖式解法を適用して、電流軌跡、廻轉力速度曲線等が直流勵磁によりて如何に變形するかを求むる方法を示し、或る實例に就て豫測し得べき結果を與へ、更に進んで小さな三相誘導電動機について實際負荷法によつて得た結果と筆者の方法で得られた曲線とが大體に於て一致することを示した。
解法は電動機の勵磁アドミツタンスを電源側に移した近似等價導線網によるものと、勵磁アドミツタンスが一次と二次との間にある精密等價導線網によるものとの二種を與へ、其間に幾何の差があるかを併せ示してある。
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