化学工学論文集
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40 巻, 6 号
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編集ノート
移動現象,流体工学
  • 井上 義朗, 川添 博, 山田 雅弘, 平田 雄志
    原稿種別: 報文
    2014 年 40 巻 6 号 p. 449-461
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル 認証あり
    層流の定常流れに時間的に周期変動する摂動が加わると,対流混合効果が著しく増大する場合がある.その現象を明らかにするために,2種類の2次元流れと1種類の3次元流れ系を用いて,対流混合の数値シミュレーションを行った.その結果,摂動流の振幅を固定した条件下では,非摂動流の平均循環周期Taveと摂動周期Tpとの比Tave/Tpが黄金数 に近いところで最もよく混合することがわかった.さらに,2次元流れと3次元流れの実験においても,黄金比条件が層流条件下の対流混合に有効であることを確認した.このような現象が起こる理由は,黄金比の周期比を持つ二つの流れ間では同期が起こりにくく,そのために混合パターン形成の鋳型となる流脈線の空間分布に偏りが生じにくいためであることを明らかにした.
  • 石山 新太郎
    原稿種別: 報文
    2014 年 40 巻 6 号 p. 462-465
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル 認証あり
    新たに試作した放射能汚染水処理用凝縮・濃縮装置試作機(蒸発量40 kg/h)を土壌洗浄システムに組み込み,放射能線土壌洗浄フィールド試験を福島県内で実施し,本試作機の汚染土壌洗浄水の蒸発蒸留による再生・濃縮性能に関する評価を実施し,下記結論を得た.(1)本試作装置により解砕洗浄水から生産される凝縮水は放射性核種や不純物の混入の極めて少ない蒸留水であり,洗浄水原液の86–88%程度を再生循環水として解砕洗浄工程に供給できる性能を有している.(2)一方,同時に生産される12–14%の濃縮液には解砕洗浄液中の77–100%のFPならびに不純物が含まれている.
粉粒体工学
分離工学
  • 土居 礼佳, 大榮 薫, 大島 達也, 馬場 由成
    原稿種別: 報文
    2014 年 40 巻 6 号 p. 470-474
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,脂肪族アミンよりもより弱塩基性の芳香族アミンを官能基とするN-ドデシルアニリンを抽出剤とし,各金属に対する抽出選択性を明らかにした.水相は塩酸溶液を用い,有機相はN-ドデシルアニリンのトルエン溶液を用いた.本抽出剤は白金(IV),パラジウム(II)および金(III)に高い選択性を示し,一方ベースメタルはほとんど抽出されなかった.特に白金(IV)の抽出は塩酸濃度領域によって異なる抽出錯体が抽出されていることがわかった.そこで,白金(IV)の抽出平衡に関与する化学種の影響を詳細に検討し,抽出平衡式の導出を行った.その結果,塩酸溶液からの白金(IV)は,陰イオン交換,あるいは窒素原子の配位による錯体形成によって抽出されることを明らかにした.それらの抽出平衡式および抽出平衡定数が以下のように求められた. さらに,各種の逆抽出剤を用いた白金(IV)の逆抽出について検討を行った.その結果,0.5 mol dm-3チオ尿素および0.5 mol dm-3チオ尿素+0.1 mol dm-3塩酸を用いることによって100%の逆抽出率が得られた.
  • 土居 礼佳, 大榮 薫, 大島 達也, 馬場 由成
    原稿種別: 報文
    2014 年 40 巻 6 号 p. 475-480
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,In(III), Ga(III)の新規抽出剤を開発するために,環境負荷低減を目指して生物起源であるコウジ酸に注目し,その脂溶性を高めるためにアルキル鎖を導入した2-Dodecylsulfanyl methyl-5-hydroxy-pyran-4-one(DSHP)を新規に合成した.まず,水相に1 mol dm-3硝酸アンモニウム水溶液を用い,有機相にDSHPのトルエン溶液を用い,DSHPによる金属の抽出選択性を検討した.その結果,本抽出剤は低pH領域でIn(III)およびGa(III)を選択的に抽出し,亜鉛が大量に存在する亜鉛精錬残渣からのIn(III)およびGa(III)を選択的に分離可能であることが示された.さらにAl(III)とGa(III)の抽出曲線が離れていることからボーキサイトからのGa(III)の選択的分離が可能であることが示された.そこでIn(III)およびGa(III)の抽出平衡および抽出錯体について詳細に検討し,それぞれの平衡定数を求めた.その結果,In(III)およびGa(III)の抽出平衡がで表せることがわかった.In(III)およびGa(III)の抽出平衡定数は,それぞれのKex, In=2.16 [-]とKex, Ga=3.59×102 [-]が得られた.さらに,この抽出錯体を結晶として取り出し,1H-NMRにより解析した.また,逆抽出剤としてHClおよびNaOHの水溶液を用いることによって,In(III)およびGa(III)の完全な分離および回収が可能であることを明らかにした.
  • 橋本 吉晃, 大田 昌樹, 佐藤 善之, 大泉 康, 猪股 宏
    原稿種別: 報文
    2014 年 40 巻 6 号 p. 481-485
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/11/20
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    天然物に微量含まれる機能性成分の濃縮分離を目的とし,超臨界二酸化炭素+エタノールでの抽出後段において,温度を操作因子とした精留プロセスを考案,その装置を製作した.この精留プロセスの仕組みは,定圧下での温度誘起による相分離により発生する自然還流に基づき精留し,前段で得た超臨界抽出成分を塔頂と搭底の2フラクションに分離するものである.本プロセス開発にあたり,まずは抽出・分留性能を検証するために,天然機能性成分としてフラボノイドの一種7-hydroxyflavoneと,フラボノイド類似化合物で超臨界二酸化炭素中の溶解度データが豊富なanthraceneを対象とした2成分系の分離実験を行った.その結果,圧力12 MPa,エタノール濃度12 mol%において抽出部を333 K,精留部および受液部を353 Kとした条件で,精留塔上部よりanthraceneを定常状態にて選択率100%で回収することができた.さらに,エタノール濃度など複数の実験条件を検討した結果,精留部の温度勾配の設定とともにエントレーナ濃度操作による分離性能の制御の可能性が示唆された.
熱工学
  • 丹羽 亜衣, 小林 敬幸, 早瀬 友宏, 布施 卓哉
    原稿種別: 報文
    2014 年 40 巻 6 号 p. 486-491
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,高出力,高密度を持つ蓄熱システムを実現するために,蒸発器のない蓄熱装置を用い,高出力・高密度を可能にする反応媒体を選定し,その放熱基礎特性を明らかにした.本システムでは,固液反応によって生じた溶解液を,熱を必要とする場所に直接送り込む水和反応システムを想定し,固液反応のエンタルピー推算結果から,複数の金属塩と水の反応系の中で,CaCl2, CaBr2, or LiBr (s)/H2O (l)を本固液反応システムの反応媒体候補として選定した.そして,この3系を用いて実験を行い,その発熱量を測定した.また,これらの当量比と反応熱の関係を明確にした.本実験の結果,飽和溶解度下にて,CaBr2 (s)/H2O (l): 622 kJ/L-water, LiBr (s)/H2O (l): 534 kJ/L-water,およびCaCl2 (s)/H2O (l): 481 kJ/L-waterの水和反応発熱量を得た.また,析出防止,蓄熱密度の観点では,CaBr2は,飽和溶解度濃度57 wt%,蓄熱密度451 kJ/L-solutionと3系の中で最も高いことを実験により明らかにし,発熱量は,理論発熱量の96%であった.これらの溶解熱の出力速度は,3系とも1 min以内に最高値を示した.特に,CaBr2/H2O (l)は,水和反応開始後,10 sで出力10 kW/L-waterに達し,その発熱反応の応答性の速さを確認した.
環境
  • 姫野 修司, 菅納 信太郎, 竹見 友宏
    原稿種別: 報文
    2014 年 40 巻 6 号 p. 492-498
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/11/20
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    DDR型ゼオライト膜を用いた膜分離法によって,バイオガスから高濃度メタンを回収すると共に,高濃度二酸化炭素を同時回収するプロセスを検討した.本報では,DDR型ゼオライト膜のみを用いて膜の透過側を減圧し,精製メタン濃度95%,回収二酸化炭素濃度97%以上かつメタン回収率98%の条件でメタン精製するプロセスを構築できることを明らかにした.さらに,後段に中空糸ポリイミド膜を組み合わせた複合循環プロセスによって,精製メタン濃度98%,回収二酸化炭素濃度97%かつメタン回収率98%以上の条件で精製が可能であることを明らかにした.下水処理場での実バイオガスを用いた長期連続精製実験により,本システムは安定運転が可能で,燃料ガスの損失が少なく,環境負荷を低減したバイオガス精製技術であることを示した.
広領域,その他
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