結核
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83 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 藤野 忠彦, 布施川 久恵, 西海 麻依, 大久保 泰之, 柿崎 徹, 前島 潔, 杉森 裕樹
    2008 年 83 巻 8 号 p. 567-572
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕結核症例の排菌停止までの期間を調べ,入院期間を決定する要因について検討を行った。〔研究対象〕1996年1月1日より2003年12月31日までの8年間に,旧国立療養所神奈川病院(現,独立行政法人国立病院機構神奈川病院)結核病棟に入院した確実診断例1260例を研究対象とした。〔結果〕入院時大量排菌例(塗抹検査G9~10)の排菌停止までの期間は3カ月(median),[3.9カ月(mean)],培養3+の時には2カ月(median),[2.8カ月(mean)]であった。学会分類I+II3では3カ月(median),[2.8カ月(mean)]であった。薬剤感受性試験で何らかの薬剤に耐性を示す時には2カ月(median),[2.2カ月(mean)],多剤耐性では4カ月(median),[5カ月(mean)]であった。年齢,性別を調整した多重比例ハザードモデルに基づく退院エンドポイントに対する要因別では性別,慢性腎不全,アルコール依存症の合併を除く他の要因はすべて有意差を認め,とりわけ入院時塗抹,培養排菌量,薬剤感受性試験成績,胸部X線上の空洞病変は関与の強い要因であった。〔考案ならびに結論〕入院時大量排菌例,薬剤耐性例,空洞病変のある時には,排菌停止までに2カ月以上を要する。結核撲滅のゴールに到達するためには適切な治療を行って,感染源となる症例を1例でも減らしていくことである。今日結核入院にも「在院日数短縮」の考えが取り入れられているが,結核入院の目的のひとつである「感染性の回避」のためにも,入院期間は慎重に決定されるべきである。
  • 藤内 智, 作並 通子, 山本 泰司, 武田 昭範, 西垣 豊, 藤田 結花, 山崎 泰宏, 藤兼 俊明
    2008 年 83 巻 8 号 p. 573-575
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕非結核性抗酸菌症(NTM症)を背景因子として発症した慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)の臨床的特徴を明らかにする。〔対象〕CNPA臨床診断例のうちNTM症の既往を有する41例。〔結果〕男性25例,女性16例で平均年齢は71.2歳。NTM症の病型は空洞形成型(結核類似型)が16例,中葉舌区型が25例,先行するNTM症診断からCNPA診断までの平均期間は1354日であり,NTM症の病型とCNPA発病までの期間に差はなかった。NTM菌種の内訳はM.avium34例(82.9%),M.kansasii6例(14.6%),その他1例(2.4%)であった。〔考察〕NTM症原因菌種としてM.kansasiiの割合が比較的高く,男性,M.Kansasii症例ではCNPA発症のリスクが高いと考えられた。過去当院で診療を行ったNTM症458例の後ろ向き解析では31例(6.8%)がCNPA臨床診断例に進展しており,空洞形成型のみならず中葉舌区型のNTM症であってもCNPAを発症しうることを念頭において診療すべきと考えられた。
  • 吉田 志緒美, 鈴木 克洋, 露口 一成, 富田 元久, 岡田 全司, 板谷 光則
    2008 年 83 巻 8 号 p. 577-583
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕薬剤感受性検査でRFP感受性,lineprobeassayでRFP耐性となる結核菌の検討。〔対象〕国立病院機構近畿中央胸部疾患センターにおいて分離され,薬剤感受性検査でRFP感受性と判定されたにもかかわらず,臨床的に同薬剤に対する治療効果が乏しい肺結核症患者由来の6株と,判定結果が薬剤感受性検査間で一致しない9株の合計15株。〔方法〕3種類の薬剤感受性検査を実施し,遺伝子診断としてジェノスカラー・RifTBを使用した。同時にシークエンス解析によるrpoB遺伝子変異領域部位の特定を行った。〔結果〕薬剤感受性検査の結果,15株すべてはいずれかの方法でRFP感受性もしくは判定保留を示した。プロスミックMTB-1法を用いた最小発育限止濃度(MIC)は0.25~4μg/mlの範囲であった。一方ジェノスカラ一・RifTBにおいてすべての株は変異型を示し,シークエンス解析でもrpoB遺伝子領域に変異が確認されRFP耐性と判定された。〔結論〕今回われわれは通常の薬剤感受性検査で耐性と判定されない低レベルのRFP耐性結核菌に対して薬剤耐性遺伝子検査を行うことにより正しい感受性結果を得ることができた。
  • 源 誠二郎, 露口 一成, 鈴木 克洋, 岡田 全司, 坂谷 光則
    2008 年 83 巻 8 号 p. 585-590
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    肺MAC症は通常高齢者にみられる。私たちは19歳という若者にみられた肺MAC症を経験した。症例は,16歳のときに骨髄異形成症候群に対して骨髄移植を施行されている。その後,閉塞性細気管支炎を発症し,副腎皮質ステロイドとタクロリムスを用いて治療されていた。19歳時に,胸部エックス線やCTにて右肺に小結節影や粒状影を指摘され,空洞もみられた。気管支鏡検査と喀痰検査でM.aviumが検出され,肺MAC症と診断された。19歳という若年での肺MAC症の発症はきわめてまれで,発症促進因子として,閉塞性細気管支炎の存在,副腎皮質ステロイドやタクロリムスによる免疫不全,糖尿病の影響が考えられた。
  • 大角 晃弘, 高橋 智恵子, 堀場 晶英, 村瀬 良朗, 御手洗 聡
    2008 年 83 巻 8 号 p. 591-598
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕感染症法における結核菌の保管および輸送等に関して具体的に対応するための基礎的情報を提供すること。〔方法〕全国76カ所の地方衛生研究所,2005年新肺結核菌陽性登録患者数が35人以上であった145カ所の保健所,2006年10月末時点の結核病床数が21床以上の蓋50カ所の病院を調査対象として,厚生労働省が作成した「病原体等の施設の基準について(案)」と「病原体等の保管等の基準について(案)」の内容に基づく調査票を2007年1月に郵送し,回収した。〔結果〕調査票の回収率は,地方衛生研究所96.1%(73/76),保健所または保健福祉センター93.8%(136/145),結核病床保有病院73.3%(110/150)であった。施設の状況,結核菌の保管と輸送法等に関して,ほとんどの地方衛生研究所は提案された基準に適合していたが,保健所や結核病床保有病院では基準に適合している施設の割合に基準によってばらつきが認められた。〔まとめ〕感染症法施行前の結核菌を取り扱う保健所および結核病床保有病院における感染防御から見た施設整備状況や結核菌の保管や輸送法には,かなりのばらつきがあることが明らかとなった。
  • 2008 年 83 巻 8 号 p. 599
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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