1) アコヤガイの濾過水量におよぼす水温と比重の影響を, 図1, 図2の装置を用いて調べた。
2) 濾過水量は, 水温24-27℃, 22-26℃付近が最高で, その前後では順次減少し, 16-14℃以下で著しく減少していた (図3, 4, 表1)。 これより, アコヤガイの生活適水温は15-26℃, 最適水温は24-25℃付近にあると推定した。
3) 低水温側では, 10℃でも濾過水量は多少認められたが, 8℃付近ではほとんど海水を濾過しなかった。 このことは, 小林・東畑が貝殻運動でみた, アコヤガイは水温約13℃で冬眠するという報告とは一致しないが, 宮内の貝殻運動の結果とはよく一致している。 また, これは鰓の繊毛運動による小林・松井の報告ともよく一致しており, 8℃付近がアコヤガイの致死限界になると推定した,
4) 貝体部1gあたりの濾過水量は, 辻井・大西の報告同様, 若い, 成長しつつある個体ほど大となっていた (表3)。
5) 濾過水量は, 比重 (σ
15) 22.5, 23.19-25.09付近が最高で, 17.5, 17.48-16.35から急減し, 10.0, 10.62-8.97ではほとんど認められなかった。 これより, アコヤガイの生活適比重は25-20, 最適比重は23付近にあり, 10-8付近が致死限界になると推定した。 (図5, 6, 表2)
抄録全体を表示