水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
47 巻, 2 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 本城 凡夫
    1999 年47 巻2 号 p. 165-171
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    瀬戸内海での赤潮発生頻度は1970年代にピークに達し, その後減少している。発生件数は富栄養化と密接に関係していた。過去25年間の全国被害総額は416億円である。被害原因生物は主としてChattonella属およびGymnodinium mikimotoiであったが, 最近, Chattonella属が減少し, Heterocapsa circularisquamaGymnodinum sp. (伊万里型) 等が発生するようになってきている。発生予察には播磨灘のChattonella属に対する明石の水温・塩分および鉛直安定度・底層水温判別等の総合化法が, 周防灘では貧酸素水塊の形成と強風によるその崩壊による広域赤潮予察法等が, 五ヶ所湾では冬季の平均水温から夏季G.mikimotoi赤潮の予察法が開発された。被害防除の対症療法的技術としてアレロパシー物質, 赤潮生物を殺す細菌およびウイルス利用が検討されている。しかし, 根治療法として生活排水処理施設の充実や負荷規制等の抜本的な行政施策, さらに, 自家汚染に配慮した環境保全型給餌システムの改善が必要である。
  • 森 勝義
    1999 年47 巻2 号 p. 173-180
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Matsushima Bay, one of the richest oyster-culture areas in Japan, was subject to heavy artificial eutrophication, mainly from the inflow of city and factory sewage. The physiological activity in the oyster, Crassostrea gigas, in hanging cultures in this embayment declined markedly with progressive development of the gonads; this decline in activity coincided with eutrophication-induced accumulation of fatty material in the epithelia of the digestive organs; the oyster was thereby forced to depend on these accumulated fats for respiratory substrates in order to maintain its increased physiological needs. However, the fats were inefficient energy sources for the oyster and hence, during each spawning season, 50% mortality occurred. In addition, such phenomena as overmaturation of the gonad and disturbance of the lipid and steroid metabolism seemed to accelerate this mass mortality.
    The progress of eutrophication in recent years is due not only to an increase in the inflow of city and factory sewage, but also to an expansion of aquaculture areas in coastal waters. Dense cultivation can markedly accelerate eutrophication, especially in a small bay or inlet, leading to deterioration or self-pollution of culture areas. In a eutrophic embayment or inlet, the inflow of organic matter and the sedimentation of dead organisms often lead to an increase in organic content of the sea-bottom sediments. In summer, oxidative decomposition of these organic substances results in decrease of dissolved oxygen of both the water layers near the bottom and the intermediate stratum, with liberation of free hydrogen sulphide. The oysters naturally fail to survive in such an environment.
    A high density that is artificially created can result in symptoms of intraspecific physiological stress. Dense oyster culture in an area often facilitates the introduction and propagation of new strains of bacteria or parasites that were never present before. This sometimes causes disruption in the structure and function of the ecosystem.
    Hence, one must take precautions against artificial eutrophication of coastal waters and dense oyster culture in order to maintain steady production of oysters by means of hanging cultures.
  • 安木 茂, 中村 幹雄, 三浦 史絵, 中尾 繁
    1999 年47 巻2 号 p. 181-190
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    汽水湖中海に設置した覆砂区におけるマクロベントス群集の構造変化過程を1993年2月~1994年12月まで追跡し, 覆砂試験区の底質改善効果を生物学的側面から検討した。
    その結果, 試験区と対照区で分布密度に差がみられたのはアサリ, ホトトギスガイの二枚貝, Eteone longa, Prionospio japonicaの多毛類およびヨコエビ類のCoropium uenoiといった移動性のあまりない定在性の強い種であり, 違いがみられなかったNeanthes japonica, Nephtys polybyanchia, Lagis bocki, Sigambra sp., Grandidierella japonicaは移動性に富む遊在性の強い種であった。
    1993年の10月以降および1994年の9月に個体数の急激な減少は, 優占種であるホトトギスガイとアサリが死滅したことに起因している。その死亡原因については明らかにできなかったが, その後の回復状況は試験区のほうが早く回復しており, 少なくとも二枚貝のアサリ, ホトトギスにとっては試験区のほうが生息環境として優れていたと考えられる。
  • 伏屋 玲子, 渡邊 精一
    1999 年47 巻2 号 p. 191-199
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ワタリガニ科に属するノコギリガザミ属3種とガザミ, イシガニ, ベニツケガニ, フタバベニツケガニの3属4種を用いて遺伝的変異性の程度および遺伝的類縁関係を明らかにするためにアイソザイム分析を行った。11酵素について電気泳動を行った結果, 17遺伝子座が推定されたが, ノコギリガザミ属3種を除く4種においてAATおよびESTの2つの酵素において反応がみられなかった。9酵素14遺伝子座のうち, FH-1, FH-2, GPI, HK-1, HK-2, IDHP-1, IDHP-2, LAP-1, LAP-2, MDH-1, PGDH, SODの12遺伝子座において7種間において遺伝子の置換がみられた。ノコギリガザミ属3種間では他の属と比較して遺伝子の置換がみられた遺伝子座が少なかった。また, 7種間の遺伝的類縁関係は, ノコギリガザミ属とガザミが近く, ベニツケガニ属2種とイシガニが近いことが明らかになった。
  • 田子 泰彦
    1999 年47 巻2 号 p. 201-207
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1992~1996年に庄川においてアユ降下仔魚の尾数の日周変動, 体長および孵化 (産卵) 水域を調査した。降下尾数の日周変動は, 20: 00または22: 00にピークを持つ単峰型で, ピーク時には1日の46.5~56.2%を占めた。仔魚の体長は3.7~7.6mmにあり, 平均は5.8mmであった。9月下旬および10月上旬の初期の仔魚の体長は, それ以降の中後期の仔魚に比べると有意に小さく, これらは湖産系に由来すると推測された。庄川でのアユの孵化水域は, 河口から5.5~11kmの範囲に限られると推定された。
  • SULISTIONO, 渡邊 精一, 横田 賢史
    1999 年47 巻2 号 p. 209-214
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    館山湾において1993年10月から1995年1月にかけて漕ぎ刺網により採集したシロギスの性比, 生殖腺の熟度および抱卵数を調査した。標本の性比 (雄/雌) は0.68~1.67であった。肥満度 (CF=BW×105/TL3) は雌雄ともに6月が最大であった (雌: 0.86, 雄: 0.83) 。生殖腺熟度指数 (GSI=GW×102/ (BW-GW) ) は8月が最大であった (雌: 4.19, 雄: 1.62) 。生殖腺が成熟ステージ3, 4にある標本は6月から10月, 成熟ステージ1にある標本は11月から5月に見られた。抱卵数は13, 600~69, 900であった。これらの結果から, 館山湾においてもシロギスの産卵時期は長いと考えられる。
  • 田子 泰彦
    1999 年47 巻2 号 p. 215-220
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1994~1996年に庄川のアユ降下仔魚の出現状況を, 産卵場と河口域において, 2時間間隔の24時間採集を行って調べた。産卵場における降下仔魚数のピークは20: 00または22: 00で, 河口域のピークは1: 00, 3: 00または7: 00であった。両地点のピーク時刻の差は5~9時間で, その時間の差は, 主に河川流量 (流速) の差により生じていると考えられた。産卵場と河口域のピーク時の平均体長の差は7%未満で, 1996年では有為な差はなかった。両地点の仔魚の体長分布は7.0mm未満の階層で大部分 (85.3~97.6%) が重なり合った。これらのことから, 庄川では産卵場で夜に孵化した仔魚の大部分は, 翌朝までには日齢0日で河口域に到達するものと推定された。
  • 藤原 公一
    1999 年47 巻2 号 p. 221-228
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    産業的に重要なニゴロブナ, Carassius auratus grandoculisの資源培養研究の一環として, アリザリン・コンプレクソン (ALC) を用いた耳石への標識装着条件を検討した。ALC液への卵や仔稚魚を浸漬すると, 本種の耳石にもG励起フィルターを装着した蛍光顕微鏡下で赤色蛍光として認められる標識が得られた。水温20℃で標識を装着する場合, その最適なALC濃度と浸漬時間は, 発眼後の卵および体長16mm未満の仔稚魚では16mg/lで24時間, 体長16-35mmの稚魚では32mg/lで24時間であった。これらの蛍光は807日後にも明瞭に確認できた。卵の時点で標識を装着した孵化仔魚と非標識の対照魚を同一水槽で飼育したところ, 孵化後807日間の両者の成長や生残率には有意水準α=0.05で有意差が認められず, ALC標識による弊害がないことも確認できた。
  • 吉原 喜好, 北村 章二, 生田 和正, 神山 公行
    1999 年47 巻2 号 p. 229-234
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    中禅寺湖漁業協同組合が実施しているヒメマス稚魚の中禅寺湖への放流ならびに産卵回帰群の捕獲に関する1968年から1998年までの資料を用いて, ヒメマスの再生産関係について検討した。リッカー型再生産モデルでは100万から120万尾の放流に対して, 2年後に最大6, 000尾の回帰が期待できる結果を得た。
    さらに, 放流した年の湖への流入量と2年後の回帰量の間には正の相関が認められたが, 回帰直線の傾きから, 2つのグループに分かれることが認められた。
  • 荒井 永平, 刈田 啓史郎, 星合 愿一, 片山 知史, 星野 善一郎
    1999 年47 巻2 号 p. 235-239
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    マボヤ, Halocynthia royetziの心電図を記録した。出水孔の体性感覚刺激により噴出運動とともに, 心拍数の増加反応が観察された。神経節切除により, 体性感覚刺激による心拍数の増加反応が消失した。しかし, 噴出運動は残っていた。また, 人工的な体内圧上昇刺激では心拍数の変化はみられなかった。したがって, マボヤの心臓は神経により制御されているものと考えられた。
  • 山元 憲一, 半田 岳志, 中村 真敏, 橘川 和正, 北 靖史, 滝本 真一, 西川 智
    1999 年47 巻2 号 p. 241-248
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究は, アコヤガイを用いて, 酸素摂取量, 換水量, 酸素利用率および鰓の繊毛運動に及ぼすオゾン処理海水の影響を残留オキシダント濃度 (mgO3/l) を種々に変えて調べた。殻の片側を除去して鰓をオゾン処理海水に2時間露出させると, 鰓の繊毛運動は著しく減少あるいは停止し, 正常な海水に戻しても5.80mgO3/lでは停止したままであった。しかし, 完全な個体では, 換水を著しく減少あるいは停止させ, 正常な海水に戻すと酸素摂取量, 換水量および酸素利用率は6.12mgO3/lでも3時間後には回復した。結果から, オゾン処理海水を使用する卵抜きは, 6.12mgO3/l以下では, アコヤガイの体組織に損傷を及ぼす懸念はほとんどないと推測した。
  • 小磯 雅彦, 日野 明徳
    1999 年47 巻2 号 p. 249-256
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ワムシ大量培養の成否と個体レベルの活力との関係を調べるため, 「摂餌個体率」, 摂餌量の指標としての「胃腸面積比」, 若令個体の割合を示す「背甲長組成」, ストレスに対する耐性を示す「高塩分耐性」を定量化した。摂餌個体率は培養の経過とともに低下し, 増殖ピーク付近で最低となった。胃腸面積比および摂餌個体の背甲長組成は培養状態が極端に悪化した場合にのみ変化したが, 無摂餌個体の背甲長組成は特定の範囲が培養の経過とともに増加した。高塩分耐性については, 携卵個体で高塩分の障害が現れ易く, 増殖ピーク付近で前日の値から急激に低下し, また, 接種ワムシの値が低い培養ではその後の経過は不調となった。以上のことから, 摂餌個体率, 無摂餌個体の背甲長は個体群の増殖予測に有効であり, 特に高塩分耐性はワムシの個体レベルでの活力をよく示し, また培養槽中の様々な環境抵抗を反映して増殖の予測手法になり得ると考えられた。
  • 伊藤 行政, 酒井 治己, 近藤 昌和, 山元 憲一, 高木 基裕
    1999 年47 巻2 号 p. 257-261
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    卵膜を除去したコイの卵を培養し個体発生を観察した。胚体は, 水温24~27℃において, 卵膜を除去していない通常卵と同様に約62時間で孵化段階に達した。この卵膜除去培養法は, 胚体が卵膜の影響を受けずにまっすぐ伸長したまま発育するため, 単に個体発生観察を容易にするだけでなく, 内臓諸器官の発生観察も容易にする可能性がある。
  • 宮崎 愛, 森友 忠昭, 浅野 隆司
    1999 年47 巻2 号 p. 263-267
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    コイ血液を蒸留水で溶血後, 35μmのメッシュを通し夾雑物を除去し, 白血球浮遊液を得た。この白血球浮遊液を60μlフローサイトメーター (FACS) に吸引させ, FSC (前方散乱光) vsSSC (側方散乱光) ドットプロット上で解析したところ, 好中球または好塩基球の細胞集団が特定の領域に認められた。そのため領域内の細胞を計数することによりこれら細胞の計数が可能であり, また, ドットプロット上のすべての細胞を計数することにより, 栓球を含む総白血球数の計測が可能であると考えられた。そのため, 用手法による計測値と比較したところ, 総白血球, 好中球および好塩基球数の相関係数はそれぞれr=0.86, r=0.93, r=0.98と高く, フローサイトメトリーによる血中の総白血球数, 好中球数, 好塩基球数の計測は可能であることが判った。
  • 宮下 盛, 服部 亘宏, 澤田 好史, 石橋 泰典, 中務 寛, 岡田 貴彦, 村田 修, 熊井 英水
    1999 年47 巻2 号 p. 269-275
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    クロマグロ, Thunnus thynnusの人工種苗生産に関する基礎的知見を得ることを目的として, 人工孵化クロマグロの卵期から孵化後132日目までの発育に伴う酸素消費量の変動を調べた。卵1個あたりの酸素消費量 (M, μl/min) は, 桑実期から心拍開始期までほとんど変化しなかったが, 心拍開始期からクッパー氏胞出現期にかけて急激に増加し, 孵化直前にはそれまでのおよそ8倍にまで達した。孵化後の魚体重に対するMの変化は4相のアロメトリーを呈し, 内部栄養から外部栄養への転換期, postflexion期, および稚魚期にそれぞれ屈曲点が存在した。Mは内部栄養依存期にはほとんど変化しなかったが, 開口から稚魚期にかけて魚体重の増加に伴って高い割合で増加し, 稚魚期から若魚期にかけて緩やかに増加した。以上の結果から, クロマグロの酸素消費量は発育初期の段階に大きく増加することがわかった。
  • 竹内 俊郎, 佐藤 秀一, 宮崎 陽, 遠藤 雅人, 陸 君, 吉崎 悟朗, 酒井 清, 大森 (鈴木) 克徳, 小口 美津夫, 木部 勢至 ...
    1999 年47 巻2 号 p. 277-282
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    植物プランクトンと魚類の食物連鎖系構築のための基礎実験として, 食性転換期前後のティラピア稚魚 (体長4.4cm程度) を用いて乾燥スピルリナによる飼育試験を行い, ティラピアに及ぼすスピルリナの影響を調べ, 将来生のスピルリナを用いる実験のための基礎的知見を得ることを目的とした。試験区は市販飼料, 乾燥スピルリナ単用飼料, およびスピルリナにビタミンとミネラル混合物を強化した飼料の3区とし, 平均体重2.8gの魚を水温28℃で6週間飼育した。その結果, 両スピルリナ飼料区は市販飼料区に劣るものの, ある程度の成長と飼料効率を示した。さらに, スピルリナにビタミンとミネラル混合物を強化した飼料区の魚体にはタンパク質およびカルシウムの含量が高かった。また, スピルリナ両飼料区は市販飼料区に比較し, 魚体中の脂質含量が低く, 脂肪酸組成ではn-6系列酸の増加とn-3HUFAの低下が顕著に見られた。なお, 魚体中のアミノ酸組成には3試験飼料区間で差はなかった。しかし, 乾燥スピルリナ単用飼料区では試験終了時の魚体中にビタミンAやCがほとんど含有していないことから, より長期間の飼育を行う場合には, これらのビタミンを添加する必要があるものと判断された。
  • 佐藤 公一, 真田 康広
    1999 年47 巻2 号 p. 283-288
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    低水温期のブリにおける配合飼料と生餌主体餌料の飼育特性を比較することを目的として, シングルモイストペレット (SMP) , 酵素処理した魚粉を用いたSMP (E-SMP) , およびサバを8に対して粉末飼料を2の割合で混合した生餌主体モイストペレット (RF-MP) を飼料としてブリ0才魚を10月から2, 月までの130日間飼育し, 成長, 飼料効率およびタンパク質消化性から検討した。
    成長, 飼料効率, およびタンパク質効率はいずれもRF-MPがSMPやE-SMPよりも著しく優れ, またSMPに比較してE-SMPが僅かに優れていた。養成魚のpepsin様およびtrypsin様活性はSMP区やE-SMP区に比較してRF-MP区が低かったが, タンパク質消化率はRF-MPが著しく高く, SMPに比較してE-SMPが僅かに高かった。
    以上のことから, 低水温期において配合飼料によるブリの飼育成績は生餌主体餌料に比較して劣っており, これはブリは配合飼料に適応しようとして消化酵素活性を高めているものの, 水温の低下により配合飼料に対するブリのタンパク質消化性が悪くなることが主な要因と思われた。
  • 吉野 博之, Daniel E. GRUENBERG, 渡部 勇, 宮嶋 克己, 佐藤 修
    1999 年47 巻2 号 p. 289-297
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    閉鎖循環式養殖システムの浄化機構を検討するため, ペヘレイを1年間飼育し (魚体総重量, 開始時0.6kg, 終了時38.5kg) 水質変化を調べた。1年間飼育後の生存率は92%であった。飼育水は1度も交換することなく, 補水量は平均8.5l/day+蒸発分であった。実験終了時の水質は, NH4-N0.2mg/l, NO2-N0.1mg/lで安定していた。NO3-Nは最高900mg/lに達したが, 脱窒槽の設置により65日間でNO3-N150mg/lにまで低下させることができた。本システムでは, 魚から排泄される窒素量を100%とすると, 硝化装置で60%, 配管その他で14%がアンモニアとして硝酸まで硝化された後, 脱窒槽で窒素ガスに還元され, 残餌糞回収装置で19%, ドラムフィルターで7%の窒素が固形物 (糞) として系外に排出されると考えられる。
  • 岡本 一利, 鈴木 基生
    1999 年47 巻2 号 p. 299-302
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    静岡県浜名湖 (湖内) において採捕されたクルマエビ1, 610個体, ポストラーバ19個体, およびその他の甲殻類7種類145個体, 愛知県一色漁協市場から入手した遠州灘 (外海) において採捕された種苗生産用親エビ1, 776個体から, PCR法によるPRDV遺伝子の検出を試みた。PRDVの検出率は湖内 (若令サイズ) 2.3%, 外海 (成熟サイズ) 2.1%, 雄1.5%, 雌2.7%, ポストラーバ5.3%であったが, その他の甲殻類からは検出されなかった。外海と湖内のクルマエビのPRDV保有率の年変動には密接な相関があった。これらのことから, 湖内の天然クルマエビがPRDVを保有している理由として, 天然親クルマエビからの垂直感染が主なものであることが示唆された。
  • Boon Keng LIM, Nobuo SAKURAI
    1999 年47 巻2 号 p. 303-304
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Coded wire tagging on external ligament of brackish water clam, Corbicula japonica, was evaluated. There was no effect on survival by the tagging and also no significant differences in body weight, shell length and condition factor between the tagged clams and nontagged clams under 275 days of laboratory experiment. Moreover, the tag retention rate was high (93%) .
  • Katsuhiko HARADA, Taiko MIYASAKI, Hiroshi MAEDA, Kohji SATOH
    1999 年47 巻2 号 p. 305-306
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The multiple linear regression equations of attraction activity (MLREAA) on the amino acid contents in the 12 fishing baits were estimated, for seeking probable feeding attractive amino acids for yellowtail, Seriola quinqueradiata. The MLREAA on the contents of 17 amino acids and taurine, and the number of fish used in the respective experiments revealed that the attraction index (1) increased with the increase of the content of histidine, (2) had no relation to the contents of cystine, methionine, aspartic acid, and arginine and (3) might be related to the contents of the rest of 11 amino acids and taurine.
feedback
Top