魚類に寄生するチョウをディプテレックスを使用して駆除することが出来るかどうか, また可能であればその駆除方法は如何にしたら良いかを知るため, 室内実験および実地試験を行なった。 その結果
1) 成虫は平均水温25.4℃でディプテレックス (有効成分) の濃度が0.2-0.3mg/
l以上であれば, 12-24時間のうちに完全に駆除出来る。
2) 仔虫については成虫の致死濃度で充分駆除出来ると考えられる。
3) 卵については1-10mg/
lの濃度でもふ化したので, 成虫や仔虫の最小致死濃度0.2-0.3mg/
lでは駆除出来ない。
4) チョウは死亡前に魚体より脱落するので, 薬剤の効果を完全にするには少なくとも6時間以上処理を続ける必要がある。
5) チョウの成虫, 仔虫の駆除に適当な0.2-0.3mg/
l程度の処理濃度では, 魚類に対する実害は考えられない。 ただし注意すべきことは, チョウの卵は魚類に影響をあたえずに駆除することは出来ない。
6) 実地試験では, 池水中のディプテレックス (有効成分) 濃度が0.3mg/
lとなるように, 噴霧器で池水の全表面に薬液を散布した。 その後24時間内に魚類に被害をあたえることなくチョウの駆除に効果のあったことが確認出来た。 ただしチョウの卵については効果がなく, 再び発生することが認められた。 従って春から夏に20-25日に1回の割合で2-3回処理することが望ましい。
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