水産増殖
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原著論文
  • 浜田 篤信, 菊地 章雄
    2020 年 68 巻 2 号 p. 91-100
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    ニホンウナギの海産および内水面産の種苗採捕量変動を利根川下流域の環境変化と対比させて検討した。1957~2015年の間の種苗採捕量は8回の上下変動を繰り返しながら漸減してきたが,それらが利根川下流域環境変化に関係していることを明らかにした。これらの情報から「ニホンウナギの減少は,利根川下流に建設された水門による本種の遡上・降河阻害による」とする仮説を構築し,この仮説を利根川下流域環境の利根川から離れた水域のウナギ漁量への影響およびウナギ漁獲量と2年後の種苗採捕量の関係の検討によって検証,有効であることを確認した。
  • 中川 昌大, 阿部 真比古, 山﨑 康裕, 齋藤 義之, 村瀬 昇
    2020 年 68 巻 2 号 p. 101-109
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    カイガラアマノリ葉状体内の総アミノ酸含量の向上を目的とした新たな培地を探索するために,本種葉状体内の総アミノ酸含量と培地中の窒素およびリン量との関係を調べた。まず,カイガラアマノリ葉状体内の N および P 含量と総アミノ酸含量の関係について調べた。その結果,本種葉状体内の N 含量と総アミノ酸含量との間には正の相関が認められた。次に,培地中の窒素およびリン添加の有無と葉状体内の N および P 含量の関係について調べた。実験には,1/2SWM-III 改変培地を対照区として用いた。その結果,培地中のリンを無添加とした培地では,葉状体内の P 含量は減少したものの N 含量が最も高くなった。最後に,対照区に対してリン量を1/2倍および1/10倍に調製した培地を新たに作製した。それらを用いて葉状体の培養し,生長測定,パルス変調クロロフィル蛍光測定,乾燥重量測定,N および P 含量の分析を行った。リン量を減らした培地では,リンを1/10倍とした培地において葉状体内の N 含量が増加し,P 含量は大きく低下しなかった。また,葉状体の生長性についても維持されていた。以上の結果から,カイガラアマノリの陸上養殖には1/2SWM-III 改変培地に含まれるリン量を1/10倍とした培地が望ましいと考えられる。
  • 倉島 彰
    2020 年 68 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    植物成長調節剤(PGR)であるジベレリン(GA3)とステビオサイドがコンブ目のサガラメ配偶体の成長と成熟に及ぼす影響を調べた。サガラメ胞子体から採取した遊走子をジベレリン添加培地およびステビオサイド添加培地で培養した。ジベレリン添加培地では,雌性配偶体の細胞数は少なく,細胞の面積が大きくなった。培養17日目の雌性配偶体の成熟率は対照培地が77.0%であったのに対し,ジベレリン添加培地で99.0%,細胞あたりの生卵器形成数は対照が0.39個であったのに対し,ジベレリン添加培地では1.71個であった。ステビオサイド 添加培地で培養した配偶体には生卵器は形成されなかった。これらの結果から,遊走子から発芽直後のサガラメ配偶体に対して,ジベレリンは成熟促進,ステビオサイドは成熟抑制の作用を持つことが示された。ジベレリンとステビオサイド はサガラメ配偶体の維持と管理の効率化に有用であると考えられる。
  • 陳 柏蒝, Yang Lu , 秋田 晋吾, 藤田 大介
    2020 年 68 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    トゲキリンサイ Eucheuma serra(J. Agardh)J. Agardh はインド太平洋の暖温帯~熱帯に生育し,キリンサイ属では最も北まで分布する。台湾北部では住民が採取し和え物として食用にする。著者らは2017年5月~2018年7月に新北市深澳地先で本種の季節消長を調べた。毎月,21標識群落から無作為抽出した個体の体長と付着海藻や食痕の有無を観察し,周辺50藻体を採集し重量と世代・性を調べた。藻体長と重量は6〜7月に最大,11月に最小となった。雌性配偶体は5月,四分胞子体は7~9月に50%を超えたが,12~3月は未成熟藻体のみであった。食痕と付着海藻(主にイギス属)の出現率は5~9月に50%を超えた。7月の植食動物11種(各3個体)を用いた摂餌実験(240 l 水槽)では,シラヒゲウニ,ニセカンランハギおよびニザダイの摂餌量が大きかった。本種は,漁業権のない住民が採取していることもあり,資源の保護や増殖には採取規則の整備や食害対策が必要である。
  • 松重 一輝, 望岡 典隆
    2020 年 68 巻 2 号 p. 129-138
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    黄ウナギが砂底に潜る際の行動(潜砂行動)を実際に観察可能な水槽実験を実施し,底質環境の違いによる潜砂行動の変化を検証した。平らな砂底(粒径約1 mm)のみ,ならびに砂底上に砂利(長径約60 mm)を1つ配置した底質条件と比べて砂底上に砂利を5つ配置した底質条件では,魚体を激しく振って砂底に穴を掘る掘削の段階を伴う潜砂行動の回数が少なく,潜砂行動1回あたりの掘削の継続時間も短かった。潜砂行動が成功して砂に隠れられる確率は,砂底上に砂利を1つあるいは5つ配置した底質条件と比べて平らな砂底のみの底質条件で低かった。さらに,黄ウナギは砂に潜り始める際に砂利や砂利の重なりに吻を押し当てて,容易に潜砂するための基質として利用することが示された。以上の結果から,黄ウナギが河川内で石や砂利の多い底質環境に高密度で分布するのは,単調な砂泥底よりも潜砂行動,とくに掘削に要する時間を短くできるためだと考えられた。
  • 村山 史康, 草加 耕司, 東畑 顕, 石田 典子
    2020 年 68 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    2017年度に備讃瀬戸海域で生産された1等級から3等級の乾海苔について,色彩色差計による色調(L*a*b*表色系),食感測定器による咀嚼回数(咀嚼値)および味覚センサによる呈味を調べ,品質と単価の関係を明らかにするとともに,官能評価との整合性についても検討を行った。その結果,乾海苔の色調(L*値),咀嚼値および旨味先味と単価の相関係数はそれぞれ r = -0.50,r = -0.70および r = 0.66となり,有意な相関関係が認められた(P < 0.01)。さらに,これらの数値をもとに重回帰分析を行ったところ,呈味が価格形成において重要であると考えられた。また,機器分析結果と官能評価結果が一致していたことから,機器による乾海苔品質の客観的な評価の可能性が示唆された。
  • 鈴木 崇史, 鈴村 優太, 秋山 信彦
    2020 年 68 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    産業廃棄物となっている焼きノリの端材を有効利用することを目的として,カワハギを用いて魚類用配合飼料原料としての有効性を検討した。焼きノリで魚粉を11,34,56,67%代替した飼料を与えた結果,魚粉を焼きノリで11,34%代替した飼料でタンパク質量が魚粉のみの飼料よりも少ないにもかかわらず,飼料効率が高かった。次に,タンパク質と脂質の含有率を統一するために小麦粉とフィードオイルで調整し,基準飼料の魚粉と小麦粉を合わせた量に対して焼きノリで11,34,56,67%代替した飼料を与えた結果,代替率の増加に伴い飼料効率は高くなり67%代替した飼料で最も高かった。以上の結果から焼きノリ端材はカワハギの飼料原料として有効であることが明らかになった。
短報
資料
  • 清水 大輔, 安藤 忠, 東畑 顕, 石田 典子, 二階堂 英城, 水澤 寛太, 高橋 明義
    2020 年 68 巻 2 号 p. 169-176
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー
    緑色光により成長が促進したホシガレイ成魚の品質を調べた。本研究において緑色光照射下で60日間飼育したホシガレイは対照区(環境光:自然光を含む屋内光)に比べて速く成長した。有意差は全長の実測値および全長と体重の日間成長率において認められた。以上の結果は,緑色光が,過去我々が研究を行った稚魚に加えて,成魚の成長促進にも有効であることを示す。これらの筋肉の品質について以下の特性を調べた(n = 3);一般成分(水分,タンパク質,脂質,灰分など),遊離アミノ酸組成,味(苦味雑味,旨味,塩味,旨味コクなど)。その結果,緑色光区と対照区の間に有意差は認められなかった。また,刺身に対する歯ごたえ,脂ののり,香り,および美味しさについて官能試験を行ったところ,緑色光区と対照区の間に有意差は認められなかった(被験者数79名)。以上の結果から,緑色光下のホシガレイの品質は通常飼育のものと同等と考えられる。
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