1) 養殖生態系の保全を目的としてクルマエビを用い, その飼育過程におけるアナアオサ変異種との混養を試みた。
2) 実験は屋外 (半透明上屋付き) 飼育場で行い, アオサ混養量の多寡により4実験区 (A区: 0g混養, B区: 100g混養, C区: 300g混養, D区: 500g混養) を設定し, 各区に平均9.2gのエビを12尾ずつ放養し, 72日間, 飼育実験を継続した。
3) A~D各区におけるエビの生残率はそれぞれ83%, 92%, 100%及び100%であった。同様に日間成長率はそれぞれ0.54%, 0.67%, 0.80%及び0.87%であった。また, 餌料係数はそれぞれ3.1, 2.9, 2.3及び2.0であった。
4) アオサを混養したB~D区におけるエビの生産量は64.6g, 81.5g及び93.0gであり, アオサの生産量はそれぞれ1, 567g, 1, 944g, 及び2, 160gであった。従って, これら各区における植物/動物生産比はそれぞれ24.3, 23.9, 及び23.2と算出された。
5) A区 (アオサ0g混養区) のNH
4-N, NO
2-N, NO
3-N, 及びTotal-Nはそれぞれ88.2, 15.7, 32.2及び182.6μg-at・l
-1と高い値を示したが, 最も浄化能の高かったD区 (アオサ500g混養区) におけるそれらの値はそれぞれ15.7, 0.9, 4.2, 及び107.3μg-at・l
-1であった。同様にA区のPO
4-P及びTotal-Pは, 29.8及び55.0μg-at・l
-1であったが, D区ではそれぞれ8.2及び14.4μg-at・l
-1と低い値が得られた。
6) B~D区におけるエビの好生残・成長率はアオサの混養による飼育生態系の保全による副次的効果と考察された。
抄録全体を表示