農薬原体38種類について, イシガニおよびミジンコに対する毒性試験を行ない, さらにイシガニについては化学薬品4種類についても実験を行った。
1. 有機りん系殺虫剤に対しては両者ともに高い感受性を示したが, ジメトエートは例外であった。
2. 有機塩素殺虫剤に対しては, イシガニはかなり高い感受性を示すが, ミジンコの感受性は低かった。
3. イシガニ, ミジンコともにカーバメート系殺虫剤に対しては有機りん系殺虫剤ほどではないが高い感受性を示し, 両者のTLm値は近似していた。
4. 殺ダニ剤に対しては両者ともに感受性は低かった。
5. 本実験で供試した殺菌剤に対しては, 有機りん剤を除いて両者の感受性は低かった。
6. 除草剤に対しては, PCP-Na塩をはじめ両者の感受性は一般に低い。甲殻類に対してはPCP-Na塩の毒性は魚類に比較してかなり感受性が低い。
7. 農薬に対する感受性の高低の基準はコイに対するPCP-Na塩の毒性 (48時間後のTLm値≒0.1ppm) を参考とした。
8. イシガニを用いて, 化学薬品 (CN
-, Cr
6+, Zn
2+, Cu
2+について) 4種類のTLm値を求めた。
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